歯周病が全身に及ぼす影響について blog

2024.06.29

杉並区の歯医者さん、浜田山おとなこども歯科・矯正歯科です。

今回は歯周病がどのようにして生活習慣病と関連しているのか、またその予防と管理について詳しく解説します。適切な口腔衛生と生活習慣が全体の健康をどのように支えるか、その重要性についてご紹介します。

歯周病と心臓疾患・脳血管疾患

狭心症・心筋梗塞

歯周病が心臓疾患と関連している主な理由は、口腔内の炎症が全身に広がることにあります。歯周病により炎症を引き起こす細菌が血流に入り込むと、これが全身を巡ります。特に、動脈の内壁に炎症を引き起こすことで、動脈硬化を促進し、心臓への血流を妨げるプラークが形成されやすくなります。これが狭心症や心筋梗塞のリスクを高める重要なメカニズムです。実際に、歯周病は狭心症や心筋梗塞の発生率と有意な関連があるとの研究結果もあります。

脳梗塞

歯周病による細菌が血管内で炎症を引き起こすことは、脳血管にも同様に影響を及ぼします。炎症反応によって脳の血管が狭窄すると、血流が阻害され、脳梗塞のリスクが増加します。歯周病と脳梗塞の関連についても多くの研究が報告されており、口腔衛生の向上が脳血管事故の予防に寄与することが示唆されています。

歯周病と糖尿病

歯周病は糖尿病の合併症の一つ

歯周病と糖尿病は互いに影響を与え合う関係にあります。糖尿病患者は全身の炎症反応が高まっており、血糖管理が困難であるため、感染症にかかりやすくなります。これにより、歯周病のリスクが高まります。また、歯周病が進行すると、炎症が全身に広がり、糖尿病の血糖コントロールをさらに困難にする可能性があります。

体全体の炎症応答と歯周病: 糖尿病患者では、血糖値が高い状態が持続することで、体内の炎症マーカーが増加します。これが歯肉疾患を引き起こしやすくするだけでなく、既存の歯周病を悪化させる可能性があります。

血糖コントロールの悪化: 歯周病が進行すると、歯肉からの細菌やその毒素が血流に入り、体全体の炎症を増加させることがあります。これが血糖値の不安定化を引き起こし、インスリンの効果を低下させるため、糖尿病の管理が一層難しくなります。

歯周病菌の内毒素の影響

歯周病に関与する細菌は、リポ多糖(LPS)という強力な内毒素を生産します。この内毒素が全身の免疫系を刺激し、炎症反応を引き起こすことが知られています。

全身炎症の増加: LPSはマクロファージや白血球などの免疫細胞を活性化させ、炎症性サイトカインの放出を促します。これにより、全身の炎症が増加し、糖尿病におけるインスリン抵抗性が悪化することがあります。

インスリン抵抗性の増加: 炎症が持続することで、インスリンの効果が阻害され、血糖値がコントロールしにくくなります。これが糖尿病患者における血糖管理の複雑化につながります。

 

 

歯周病と妊娠

妊娠性歯肉炎

妊娠性歯肉炎は、妊娠中に見られる一時的な状態で、ホルモンの変動が主な原因です。特にプロゲステロンとエストロゲンのレベルが上昇することで、歯肉の血流が増加し、歯肉が細菌に対してより敏感になります。この結果、軽いプラークの蓄積でも歯肉が腫れやすくなり、炎症を引き起こしやすくなります。定期的な歯科検診と優れた口腔衛生は、この状態の管理に非常に重要です。

歯周病と低体重児早産

研究によると、重度の歯周病を持つ妊婦は、早産や低体重児を出産するリスクが高まると報告されています。歯周病からの細菌やその毒素が血流を通じて胎盤に到達し、胎児の成長に影響を与える可能性があります。これにより、発育不全や早産のリスクが増加します。

歯周病とその他の疾患

誤嚥性肺炎

歯周病は口腔内に多くの細菌が存在する状態を作り出し、これらの細菌が食べ物や唾液と共に誤って肺に吸い込まれることがあります(誤嚥)。これが高齢者や免疫力が低下している人々において、誤嚥性肺炎の原因となり得ます。歯周病の管理と口腔衛生の向上は、この種の肺炎を予防するためにも重要です。

骨粗鬆症

歯周病と骨粗鬆症は互いに影響を与える関係にあります。歯周病が進行すると、歯を支える骨(歯槽骨)の吸収が進み、これがさらに骨密度の低下を促進する可能性があります。反対に、骨密度が低いと歯周病の進行が促進されるため、骨の健康を維持することが全身の健康維持につながります。

 

まとめ

本記事をお読みいただきありがとうございます。歯周病はただの口腔内の問題にとどまらず、全身の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。適切な口腔衛生と定期的な歯科検診が、これらのリスクを軽減します。何かご不明な点や、お悩みがございましたら、浜田山おとなこども歯科・矯正歯科にお気軽にご相談ください。