歯磨きのとき、歯磨き粉を使うのは本当に良いことなのでしょうか? blog

2015.07.21

歯磨き粉の歴史

みなさんは歯磨きをするときに歯磨き粉を使用していますか?
はいと答える人が多いことでしょう。
ではまずは歯磨き粉の歴史から見てみましょう。

世界で最初に確認されている歯磨き粉は紀元前1550年頃の古代エジプト時代までさかのぼります。
日本では1625年に販売されていることが確認されています。
主成分は漢方を配合したもので、当時の謳い文句は『歯を白くする』や『口の悪しき臭いを改善する』といったもののようでした。
現代とあまり変わりはないですね!

歯磨き粉の歴史

では現在現在市販されている歯磨き粉はどのようなものがあるのでしょう。
ペースト状、ジェル状、液状、液体、フォーム状、粉状などの多くの種類の歯磨き粉が販売されています。

歯磨き粉に入っている代表的な成分としては、

  1. 清掃剤(研磨剤)
  2. 湿潤剤
  3. 発泡剤
  4. 粘結剤
  5. 香味剤
  6. 保存料
  7. 薬用成分

等が配合されています。
特に7.の薬用成分であるフッ化物には虫歯予防の効果があり、市販されている多くの歯磨き粉に配合されています。

歯磨き粉を使用して歯磨きをする利点はどのようなものがあるでしょうか。

毎日歯磨き粉を使用して歯磨きを行うことにより、歯磨き粉の中に含まれる薬用成分を効果的に利用することで虫歯や歯周病の予防をすることが可能です。
歯磨き粉を使用せずに歯を磨くよりも、使用する利点の方が多いと思うので、私は使用することをお勧めします。

主な効果として期待できることは

  1. 虫歯の発生と進行を防ぐ
  2. 歯周病を防ぐ
  3. 歯を白くする
  4. 歯の着色を防ぐ
  5. 口中を浄化する
  6. 口臭を防ぐ
  7. 歯石が溜るのを防ぐ
  8. タバコなどのヤニを付きにくくする

等です。

また、薬用成分に配合されているフッ化物により虫歯になりにくい口腔内環境にすることや、歯周病予防のために配合されている薬用成分の働きにより、歯磨き粉を使用した方が明らかに良いデータもあります。

フッ化化合物について

ここで着目したいものがあります。それはフッ化物です。
現在日本では、フッ化物配合歯磨剤は医薬部外品として位置づけられており、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズの3種類の使用が承認されています。
フッ化物を使用することで最も有効性が確立されているのが、虫歯予防の目的です。
1990年の調査でアメリカなどの口腔保健の先進国では90%を超える普及率を誇ります。
日本でも、近年になってフッ素が含まれている歯磨剤のシェアが上昇しており、現在で市販されている歯磨き粉のうち、フッ化物配合歯磨剤は約90%存在しますが、日本の薬事法によりフッ化物の濃度は1000ppm以下に規制されています。

フッ化物を使用することの有効性についてお話いたいと思います。
フッ化物の配合された歯磨き粉の虫歯予防のメカニズムは、エナメル質にフッ化物が沈着することによる歯の再石灰化の促進と、歯垢中へのフッ化物の蓄積により抗菌作用を与えます。
そしてフッ化物の蓄えとして機能することよって、虫歯菌が歯への侵襲時に脱灰の抑制とともに再石灰化を促進させます。

日本での調査によると、フッ化物が配合された歯磨き粉を使用することで虫歯の予防効果は20~30%向上するようです。
また、アメリカでは水道水にフッ化物を配合することにより虫歯になる人が減少したというデータもあります。

現在日本ではフッ化物を口腔内に塗布もしくは摂取することは歯科医院での治療とフッ化物の配合された歯磨き粉のみなので、歯磨き粉は日常的に利用できる唯一のフッ化物供給源になります。

歯磨き粉を使用した場合に期待できる効果はなんでしょうか?

ホワイトニング効果

歯磨き粉の中に強力な歯磨剤を配合することにより、ヤニや沈着などを剥ぎ取り、付着しにくくすることにより歯を白くする効果を得ることができます。

歯肉炎・歯周病・歯槽膿漏の改善効果です。

実は虫歯と歯周病菌は別の菌なのです。
虫歯の原因菌は主にミュースタンス菌というものですが歯周病の原因菌は数種類の原因菌が確認されています。
ですので、虫歯を予防する薬用成分と歯周病を改善させる薬用成分は異なります。

人の口腔内には何百という細菌が存在し、微妙なバランスを保っていますが何かのバランスが崩れた時に歯周病を発症します。
その数ある歯周病菌の中から主犯格を突き止めるには歯科医院にて精密検査が必要なのですが、もし自分が選択した歯磨き粉の中の薬用成分が主犯格の病原菌に効果を及ぼすものであったら、改善の期待が持てます。

ここまで歯磨き粉の利点をお話してきましたが、歯磨き粉を使用したから虫歯にならない、歯周病を予防できるというわけではありません。
歯磨き粉はケア用品の中の一つであり、本当はしっかりとした歯磨きをしなければなりません。

しかし、大人でも正しい歯磨きをしている方はとても少ないと感じています。
ですので、浜田山おとなこども歯科・矯正歯科で歯科衛生士による正しいブラッシング指導を行ってもらった後、自分に合った歯ブラシ、歯磨き粉を選択し、毎日正しいセルフケアを行うことが歯磨き粉の効果を最大限生かすことのできる手段であると私は思います。