歯周病と虫歯の予防方法は違うのでしょうか? blog

2015.08.04

口内の病気として一般的に有名なのは、歯周病と虫歯です。
それぞれ病名が異なる以上、当然起こり得る症状も異なりますが、予防方法はどうなのでしょうか。
ここでは、歯周病と虫歯の予防方法を含めた違いについて説明していきます。

1. 歯周病と虫歯の違い

これら二つの違いを簡単に説明すると、歯周病は「歯茎の病気」であり、虫歯は「歯の病気」です。
虫歯はプラークの出す酸によって歯が溶かされると起こり、歯周病はプラークが歯石になってしまうことで起こります。

これは病名の漢字を見るとイメージしやすいと思います。
歯周病、すなわち歯の周りの病気であり、虫歯は歯が菌に侵される、これらのことが漢字から想像できます。
また、患者側として大きな違いを実感するのが自覚症状です。

虫歯には“痛み”や“しみる”といった自覚症状がありますが、歯周病には自覚症状はありません。
そう考えると、歯周病の方が気づきにくいという特徴があり、気づいた時には進行していることが大半です。
歯科医側にも歯周病と虫歯を比べた時、治療方法が異なるという大きな違いがあります。

2. 予防方法について

歯周病と虫歯の予防方法は全く同じで、丁寧なブラッシングが基本になります。
ただし、どちらもプラークが原因となるものの、要注意となる箇所は異なります。
虫歯の場合は歯の表面についたプラークが症状を招きやすいのに対して、歯周病は歯の隙間など、歯の周辺の磨きにくい位置にたまったプラークが症状を引き起こします。

このため、歯の表面も周辺も、口内のプラーク全てを除去することで、歯周病と虫歯を予防できます。
また、どちらにおいても完全にプラークを除去することは難しいので、歯科医院での定期検診が最も効果的な予防である点も同じです。

また、プラークは石灰化して歯石となり、そうなってしまうとブラッシングで除去することは不可能になります。
そして、この歯石が歯周病を引き起こす大きな要因になります。
つまり、一旦歯石ができてしまうと、いくらその後のプラークを完全に除去できたとしても、歯科医院で歯石を除去してもらわない限りは、いずれ歯周病を招いてしまうことになります。

3. どちらの症状が重いか

虫歯と歯周病、それぞれの症状は違うものの、どちらの症状も甘く見てはいけません。
虫歯の場合は歯が痛み、それを放置することで虫歯の菌が血液をとおして全身に回ることもあります。
また、歯周病も、痛みは感じないものの、放置しておくことで歯が抜け落ちてしまいます。

特に歯周病は歯が抜け落ちるという症状から、年齢層の高い人がかかる病気だと思われがちです。
しかし、プラークが歯石になって歯周病を引き起こすという特性上、年齢とは全く無関係であることが分かります。

また、自身では気づきにくいかもしれないですが、歯周病は口臭の原因にもなります。
これらの点をまとめると、どちらも重い症状を招く病気であり、歯周病も虫歯も、若い年齢でも引き起こしてしまう可能性は充分にあるのです。

4. 予防方法が同じなのに、どちらかの症状を引き起こす理由

歯周病も虫歯も予防方法が同じであることから、同時に予防できると思われがちです。
それは確かにそうですが、それでもどちらの症状を引き起こしてしまうことがあります。
例えば、ブラッシングを丁寧に行っていた結果、虫歯は予防できたけど歯周病になってしまった、そんな状態になってしまうことがあります。

この場合、なぜ虫歯は防げたのに関わらず、歯周病は防げなかったのでしょうか?
その理由は簡単で、虫歯と歯周病は、それぞれ引き起こす箇所が異なるからです。
歯の表面のプラークは綺麗に除去できて虫歯は防げたものの、歯茎周辺の細かいプラークが残ってしまい、それが歯周病と招いてしまったわけです。

このため、虫歯も歯周病も予防するためには、丁寧で正しいブラッシングを知る必要があります。
これがいわゆる“正しい歯磨きの方法”であり、実際に多くの歯科医院で、こうした正しい歯磨きの方法を患者さんに指導しているのです。

いかがでしたか?
最後に歯周病と虫歯の予防方法についてまとめます。

  1. 歯周病と虫歯の違い :虫歯は歯の病気であり、歯周病は歯茎の病気。これらは漢字からも連想できる
  2. 予防方法について :全く同じでブラッシングが基本となり、歯科医院の定期検診も効果的
  3. どちらの症状が重いか :症状は異なるものの、どちらも生活に支障が出る大きな症状を招く
  4. 予防方法が同じなのに、どちらかの症状が起こる理由 :症状を引き起こす箇所が異なるため

これら4つのことから、歯周病と虫歯の予防方法について分かります。
同じ予防方法ではあるものの、引き起こす箇所が異なるため、結果的に口内のプラークを完全に除去しないと、両方を同時に予防することは不可能です。

特に歯周病は自覚症状がなく、気づいたら進行していたというケースも多いのです。
このため、治療ではなく、予防の意味でも歯科医院に通い、三ヶ月に一度の定期検診を受けることをおススメします。