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妊娠中から生まれてくる子供のために出来るデンタルケアーにはどのようなものがありますか? blog

2015.09.10

まずはお母さんが虫歯にならないように気を付けてください。

ある研究結果では、妊娠中に虫歯にならなかったお母さんから生まれた赤ちゃんは、2歳のときに虫歯がある確率は約25%に対して、妊娠中に虫歯になってしまったお母さんから生まれた赤ちゃんは2歳の時に虫歯がある確率は約75%となっています。
つまり、妊娠中に虫歯になってしまったお母さんから生まれた子供のほうが虫歯になる可能性が高いと言えます。
もちろん、妊娠中に虫歯になってしまったからと言って生まれてくる赤ちゃんが将来絶対に虫歯になるとは言い切れませんが、何らかの因果関係があることは確かです。

しかし、妊娠中は虫歯になりやすくなっています。

妊娠してから虫歯になってしまった!という話をよく聞くと思います。
しかし、それは決してお腹の中の赤ちゃんのせいではありません。ではどのような原因が考えられるのでしょうか?

(1)ホルモンバランスの変化

妊娠することでホルモンバランスが変化し、それに伴い分泌される唾液の性質も変化します。
また、粘り気が出るために細菌が活動しやすくなったり、妊娠すると分泌される唾液の量が減り、自浄作用の効果が薄れ、口の中が虫歯になりやすくなります。

口の中は常に中性に近い状態が保たれており、それが食べ物や飲み物を口に含むことにより酸性になり、脱灰という歯が脆い状態になります。
それを助けるのが唾液による中性に戻す効果の再石灰化です。
しかし、妊娠によりその効果が薄れ、虫歯になりやすい口腔内環境になってしまいます。

(2)悪阻

妊娠された方なら個人差はありますが、経験されたと思います。
常に具合の悪い状態が続き、食べ物を口に含んだだけで嘔吐されてしまう方もいらっしゃると思います。

なぜ悪阻が虫歯の原因になるかといいますと、悪阻で気持ちが悪くなるとどうしても歯磨きが不十分になり、歯垢や汚れなどの磨き残りが多くなってしまいます。
悪阻が酷い方だと、歯磨き粉の味や匂いがダメだったり、むしろ歯ブラシ自体を口に入れることもできない、なんて方もいます。
また、気持ちが悪いと長時間歯磨きができなかったり回数が減るなどついつい歯磨きを怠るようになってしまい、結果虫歯菌が増えやすい口腔内環境になります。

また、悪阻で具合が悪くなり、嘔吐する方もいらっしゃると思います。
吐いてしまったら、食べ物や飲み物と一緒に胃液が出てきます。胃液は強酸性でとても歯には悪いのです。
どうしても具合が悪く吐いてしまう方は、常に口腔内が酸性になってしまい歯が脆くなり、虫歯になりやすい口腔内環境になってしまいます。

反対に食べ悪阻など常に食べ物を口にしてないと具合が悪いような方も、常に口腔内が酸性の状態になってしまい、虫歯になるリスクが高まります。

(3)食事の回数

お腹の中の赤ちゃんが成長して大きくなるにつれて、内臓が押し上げられることにより胃が圧迫され、一度に適量の食事をすることができなくなり、少量ずつ何度も食事をするようになります。
そうすると口の中で酸性の状態が長く続き、虫歯ができやすくなります。
また、不足になりがちといわれている鉄分を補うために小まめに飴などの補助食品を食べる、水分不足に陥らないようにしかし吸収のよい清涼飲料水を摂取するなど実は糖質の多い食品を口にする回数が増え、虫歯になりやすい口腔内環境になっていることが考えられます。

妊娠中の食事には気を付けて!

お腹の中の赤ちゃんは、お母さんから栄養をもらって成長します。
ですので、お母さんの栄養状態、健康状態に大きく左右されます。

特に、赤ちゃんの歯の元となる歯胚(しはい)と呼ばれる組織があり、それは妊娠初期から作られます。
その歯胚が石灰化されて、固く丈夫になるのが大体妊娠4ヶ月頃と言われています。
また、永久歯の歯胚の一部も、この時期に作り始められます。

主な栄養素との関係は、

  1. 良質なタンパク質 : 歯の基質を作る
  2. カルシウム・リン : 歯の再石灰化のために必要
  3. ビタミンA : エナメル質に必要
  4. ビタミンC : 象牙質に必要
  5. ビタミンD : カルシウムの代謝や石灰化を調整する

などがあげられます。

もちろん、妊娠初期は体の変化やホルモンバランス、悪阻などで満足に食事などできる状態にないかもしれませんが、可能な限り赤ちゃんのために野菜やくだもの、魚、肉、穀物などをバランスよく食べて必要な栄養素をしっかり摂るよう心がけることが大切だと思います。

実は怖いのは虫歯だけではありません。

赤ちゃんに与える影響として少し虫歯とは離れますが、歯周病があります。歯周病と早産の関係です。

歯周病の妊婦は歯周病でない妊婦に比べて約5倍も早産になりやすいというデータがあります。
妊娠期には、女性ホルモンの増加により炎症に対する反応が増し、口の中での歯周病原因菌が繁殖しやすくなり、体内の自分を守ろうとする細胞から、出産を促進する物質が過剰に分泌されます。
さらに、子宮収縮を促進させる物質も分泌されるので早産につながることがあります。

そうならないためにも、日々のセルフケアに加えて、歯科医院にて妊婦歯科健診を受診し、口内チェックと適切な指導と専門的なケアをしてもらうことが望ましいです。