健康保険で受けられない治療はどんなもの? blog

2015.09.15

病院で受ける治療は、保険が効くものだと助かりますよね。
歯医者で治療を受けるときには、保険が効く治療と、効かない治療について説明を受けることがあります。
同じ虫歯を治すとしても、保険が効くものと効かないものがあります。
いったいどういう違いがあるのでしょうか。
また、健康保険で受けられない治療にはどんなメリットがあるのでしょうか。

健康保険で受けられる治療について

保険の効かない治療について考えるために、まずは健康保険が適用される治療について考えてみましょう。
保険が適用される治療とはどういうものでしょうか。
よく使われる答えとして「必要な治療は保険」というものがあります。
虫歯は治療する必要はありますが、歯が数本なくても生活はそのまま送ることができます。

虫歯治療

虫歯治療は、虫歯部分を取り除いて、消毒をする治療などはすべて保険が適用されます。
また、特定の種類の被せ物や詰め物も保険が適用されます。
実は、世界の虫歯治療は、抜歯以外のものは保険が適用されない場合が多く、歯を残しながらの虫歯治療を、すべて保険適用で行なうことができるのは、世界的にも珍しいのです。

歯周病治療・予防歯科

定期検診や、歯石除去、PMTCなどの一般的に「歯のお掃除」と呼ばれる治療、また歯周病治療の多くは保険が適用されます。
歯のお掃除は、歯がきれいになったように感じますが、目的は歯周病の予防なので、「必要な治療」に分類されています。

入れ歯

入れ歯は、特定の材料で作ったものだけが保険適用されます。
一般に保険の入れ歯は質が悪いと言われますが、必ずしも保険適用のものは質が悪いとは限りません。
世界では、入れ歯を作ることに保険が適用されること自体が珍しいのです。

保険が適用されない治療とは?

保険が適用されない治療は、思いの外たくさんあります。
保険が適用されないものは、「保険で指定された材料以外のものを使った技工物」や、「美容歯科に当てはまる治療」、「インプラント治療」などが挙げられます。

自費の補綴物

虫歯を治療した後、保険だと金属またはプラスチックの被せ物や詰め物が入ります。
被せ物の場合、プラスチック製にできるのは保険では前から3番目(犬歯)までです。
それ以降は金属の被せ物のみが保険適用になります。
よくあるのが、犬歯の後ろにある4番目の歯の被せ物を白くしたいというお願いです。
白くする場合、保険が適用されません。

また、材質によっても保険が適用されません。
幾つか種類がありますが、「セラミック」を使用しているもの、ゴールドのものは保険が適用されません。
セラミックの場合は、見た目がかなり自然に近くなり変色も少なく、また強い被せ物を作ることができます。
ゴールドのものは、金属が口の中にあるがゆえの不快感が軽減されるのと、歯になじみの良い材質で長持ちするという点で優れています。

自費の入れ歯

入れ歯は保険のものしかないと思っておられる方は多いようです。
特に総入れ歯の場合は、歯茎にしっかり馴染む必要があります。
保険適用の入れ歯は、特定の素材のみが許されています。
保険の入れ歯で生活できるという方もいらっしゃいますが、多くの方がかなりの頻度で歯医者に通い微調整を何度も行なわなければ、痛くて食事をすることもできません。

自費の入れ歯は、金属を使用したもの、磁石などを歯茎に埋め込んで動かないようにしたものなどがあります。
入れ歯を作るまでの過程も保険のものより多く、保険が効かない素材で型取りをしたり、できあがるまでに細かい調整がほどこされます。
また、自費の入れ歯は、天然の歯の色に合わせて作り、固定する金属部分も表から見えないように作ることができるので、審美的です。

インプラント

現在、インプラント治療は、どこでも自費治療となっています。
インプラントをしなくても、保険適用の入れ歯で代用できるからです。
つまり、インプラント治療は「より快適に過ごすための治療」になります。

インプラントとは、歯がなくなってしまった部分に金属の土台を埋め込み、人口の歯をかぶせるというものです。
入れ歯と違い、生来の歯と同じように土台があるので、今まで歯があったのと同じように食事をとることができます。
また、見た目にも人口のものが入っているとはわかりにくく審美的です。

美容歯科

ホワイトニングや矯正歯科などがこれにあてはまります。
矯正歯科の一部は必ず治療として受けるべきものとして、保険適用される場合もあります。
ただ、歯並びを良くするための矯正は当てはまりません。

ホワイトニングは歯を白くするのが目的で、今すぐ治療が必要なものというわけではなく、保険は適用されません。
歯医者さんで行なう場合でも、家で薬を使って行なうものも、保険適用外です。
しかし、他の自費治療に比べて、リーズナブルなので、気軽に始める方も増えています。

保険適用か自費かを決めるには

説明をきちんと聞く

保険適用される治療が、必ずしも自分に合わないわけではありません。
保険適用のもので十分なのに、なんでもかんでも自費治療の高額なものを選ぶ必要はないのです。
しかし、保険適用のものを使うとどうしても他の歯に影響が出たり、口に負担がかかるという場合もあります。
自分自身の状況がどういうものなのか、歯医者さんでの説明をしっかり聞いて決めるようにしましょう。

例えば、歯を1本抜いた場合、両脇の歯に被せ物をして「ブリッジ」と呼ばれる橋渡しの補綴物を入れる場合があります。
これはもちろん認められた素材で作れば保険が適用されますが、健康な歯を2本削ってしまいますし、橋渡しにすることで、両脇の歯に必ず負担がかかります。
将来的にこの両脇の歯まで抜歯することになってしまいます。
そうならないために、自費のインプラントを選択するという方もおられるのです。

自分が何を目指しているのかを知る

ぜったいに見た目に入れ歯だとわかりたくない!と考えているのに、保険適用のものを選んだら、金属の固定金具が見える位置にきてしまったと言われる方は少なくありません。
保険適用のものは、見た目は重視していないので天然の歯茎や歯の色に近づけたいなら、自費のものを選ぶ必要があります。

ただ、生活ができる範囲で治療が受けられれば良いのか、見た目にきれいなものを使いたいのか、歯と同じような使い心地のものを選びたいのか、自分が何を目指すのかをはっきりさせる必要があります。
歯医者さんに任せっきりにするのではなく、意志を伝えることで、治療の説明もきちんと受けることができますし、そこからベストなものを選ぶことができるのです。

結論とまとめ

まとめ

自費治療は

  1. 材質の違い:より強靭なもの、審美的なものを選べます
  2. 使い心地の違い:より自然の歯に近い使い心地を目指せます
  3. 他の歯への影響の違い:他の健康な歯への負担を減らせます。

自費治療を選ぶかどうかは、自分がどのような状態を目指していて、見た目はどうしたいのか、他の歯をどれほど守りたいのかによって決まります。
自分の考えを伝えながら、歯医者さんと一緒に治療を選択してゆきましょう。