歯周病と虫歯の違いって何ですか? blog

2015.09.17

歯周病と虫歯は、口の中で起こるものということ以外は、ほぼすべてが違います。
最終的には歯が抜けてしまうという意味では同じように思えるかもしれませんが、たどっていく過程も治療方法も異なります。

歯周病と虫歯の違い

1.原因菌の違い

虫歯の原因菌はミュータンス菌などがあげられます。
歯の表面に張り付いて、歯を溶かしてゆきます。
一方で、歯周病の原因となるのはプロフィロモナスジンジバリス菌など主に嫌気性菌と呼ばれるものです。
歯と歯茎の間でひっそりと存在し、ゆっくりと歯の周囲の組織を溶かしてゆきます。

2.部位の違い

虫歯は、歯を溶かしていきます。
虫歯菌が原因で歯茎が炎症を起こすことはありますが、虫歯自体は主に歯だけに影響を与えます。
一方で歯周病は歯には全く影響がありません。
歯周病菌が増えることで環境が悪化して虫歯になりやすい状態にはなりますが、歯周病自体は、歯の周囲組織で進みます。
歯の周囲組織というのは、歯茎・歯根膜・歯槽骨のことです。
歯を支える組織のことをいいます。

3.進み方の違い

虫歯は、歯の表面を溶かし、どんどんと進んでいって最後には歯の内側の神経部分にまで到達します。
放っておけば歯をすべて溶かしてボロボロ西てしまいます。
歯の表面を溶かして神経まで痛みが出る部分まで進むと、激痛が走ります。

一方で、歯周病は歯と歯茎の間で静かに増殖します。
長い期間をかけてゆっくりと歯の周りの組織を壊してどんどんと増えてゆきます。
最後にはすっかり歯を支える土台の部分がなくなってしまい、歯が抜けてしまうのです。
歯周病は、最後まで痛みがない場合が多く、気がつくと歯がグラグラして抜けてしまいます。

4.治療の違い

虫歯の場合、虫歯菌が侵している部分を取り除いて、そこに人工の補綴物を入れるという治療が用いられます。
歯の神経まで虫歯が到達していても、歯を抜くことは滅多にありません。
土台さえきちんとしていれば、そこに人工の歯を再形成することができるのです。

歯周病の場合、歯周病が侵している部分を削って治療するということはできません。
毎日の丁寧なブラッシングや、歯科医院での歯石除去、歯茎のケアなどによってゆっくりと菌を減らしてゆきます。
ただ、菌を除去できても、一度なくなってしまった、周囲組織はもう二度と元へは戻りません。
歯がグラグラしてしまってから治療を始めると、間に合わずに歯を抜くことになってしまうことが多いのです。
歯を失う比率は虫歯よりも圧倒的に歯周病が多いのが現実です。

虫歯と歯周病を防ぐために

1.虫歯を防ぐ

虫歯を防ぐためには、歯の表面に付着する菌をこまめに落とす必要があります。
これには毎日の丁寧なブラッシング、補助的清掃用具の使用があげられます。
自分にあった歯ブラシで丁寧に歯磨きをして、歯間ブラシなどで歯と歯の間にひそむ虫歯菌もとってあげましょう。

また、こまめに検診をうけて、虫歯になりかけの歯がないかをチェックし、定期的にお掃除をうけて歯石を除去し、歯の表面に虫歯菌がつきにくい環境を作ります。
そうすることで、虫歯になりにくい口腔内環境にしていくことができるのです。

虫歯が見つかった場合、早めに治療を受けることも大切です。
痛みが出るまで放置していると、神経をとることになってしまいます。
神経を抜いた歯は強度が弱くなり、最終的に噛む力によって折れてしまうこともあるのです。

2.歯周病を防ぐ

予防は虫歯の場合とよく似ています。
毎日の丁寧なブラッシングと補助的清掃用具の使用が不可欠です。
歯と歯茎の間にフロスや歯ブラシの毛先を入れるようにして磨くことで、潜んでいる歯周病菌を取り除き、歯周病がすすみにくい環境を作ることができます。

歯医者さんで定期的に検診とお掃除を受けるという予防方法も、虫歯とよく似ています。
歯医者で行う検診では、「歯周ポケット」の深さを測るというものがあります。
歯周ポケットとは、歯と歯茎の間の空間のことです。
歯周組織が歯周病菌に侵されていると、歯と歯茎の間の空洞は大きくなり、歯周ポケットは深くなります。
見た目にきれいだとしても、見えない部分で歯周病が進んでいる可能性があるので、検診で見つけてもらう必要があります。

歯周ポケットが深くなるのは、たいてい奥歯の歯ブラシが届きにくい場所です。
そういった場所が見つかったなら、歯ブラシや清掃用具がきちんとその場所に当たるよう、歯医者で指導を受けることができます。
そうして、歯周病を防いでいくことができるのです。

結論とまとめ

まとめ

歯周病と虫歯は以下の違いがあります。

  1. 原因菌の違い:菌の種類が異なります。
  2. 部位の違い;虫歯は歯に、歯周病は歯周組織に影響します。
  3. 進み方の違い:虫歯は歯を溶かし、歯周病はゆっくりと歯周組織を溶かします。
  4. 治療の違い:虫歯は罹患した部位を取り除き、人工物をかわりに入れます。
    歯周病は、歯磨きや専門的な掃除などによって、原因となる菌を取り除き進行を食い止めます。

虫歯も歯周病も、全く異なるものですが、毎日の丁寧な歯磨きや、歯医者さんでの検診、また定期的なお掃除がどちらも防ぐことができるのです。
歯を大切に守るために、基本的な予防を心がけたいものです。