虫歯ってそもそもどういう状態なの? blog

2015.10.22

「虫歯」という言葉は皆さん知っていると思いますが、意外と虫歯がどういう状態かは知らない人がいます。
虫歯だからといって侮ってはいけません。虫歯が進行すれば治療は長引き、抜歯しないといけない場合もあります。
きちんと虫歯のメカニズムを理解して、健康な歯を保つために予防と早期発見・早期治療を心がけましょう。

虫歯は酸によって歯が溶けてしまう病気

口の中にはたくさんの細菌が生息していますが、虫歯の原因となる細菌は「ミュータンス菌」と呼ばれています。
ミュータンス菌はチョコレートやキャラメル、飴といった糖分を含むお菓子などによって活発に働き始めます。
活発に働き始めたミュータンス菌は、集結してプラークを形成します。
磨き残しなどがあり、このプラークが放置されていると、どんどん細菌は増殖していきます。
プラークには数えきれないような細菌が生息しています。このミュータンス菌をはじめとするプラークが酸を発生させます。

人間の口の中は通常PH7に近い弱酸性の状態を保っています。
しかし、このプラークが酸を発生させることで、PH5.5を下回り酸性に切り替わります。
酸性に変わるとエナメル質の内部から歯の成分であるカルシウムやリンが溶け出し、口の中は虫歯になりやすい環境になります。
歯はこの酸をとても苦手としているのです。PHの調整は唾液によって行われますが、お菓子など間食が多かったり、きちんと歯磨きがされていないと弱酸性に戻ることなく酸性化してしまいます。
また就寝中は唾液が出ないので、食事をしてそのまま寝てしまうと口の中が長く酸性の状態になり、虫歯を引き起こしやすくなります。

このように虫歯はミュータンス菌によって作りだされた酸によって歯が溶かされていく病気です。
それでは、虫歯はどのように進行していくのでしょうか。

虫歯の進行について

虫歯の進行度合いは4段階に分けられます。Cは英語で虫歯の意味であるcariesの頭文字からきています。
Cに続く数字が大きくなれば虫歯の進行レベルを示しています。

C0.歯の表面が溶け始めた状態

歯の表面が少し溶け始めた状態であれば、治療をしなくても歯磨きで治ることがあります。
歯の再石灰化と言い、歯を削らずに治るように様子を見ます。
まだ穴も開いていない状態であるため、健康な状態に戻すことができます。

C1.虫歯の初期症状

虫歯の初期症状が始まりますが、痛みはほとんどありません。
エナメル質が溶けて浅い穴が出来た状態です。
虫歯の部分を削り落として、樹脂や金属などの詰め物をすることで治療は完了します。
進行した虫歯は、もう自然に治すことはできません。

C2.虫歯の中期症状

初期症状よりも虫歯の削る量が多くなります。
削った部分の型をとって、詰め物で治療をします。

C3.虫歯の後期症状

虫歯が象牙質を破壊して歯髄まで到達しているため、神経を取らなければいけません。
歯の根の中まで治療をするため、根管治療と呼ばれています。
この段階になると激しい痛みを伴うことがあり、発熱することもあります。
これまでの虫歯治療よりも回数が増え、麻酔を使用した治療がほとんどになります。

C4.虫歯による抜歯

歯の根っこまで虫歯に犯され、もうほとんど歯が残っていない状態です。
場合によっては膿が出てきてしまうことがあります。
根管治療、もしくは抜歯によって治療するしかありません。
治療も一番長引いてしまいます。

自宅でできる虫歯予防

虫歯予防は寝る前の歯磨きが一番大切です。寝ている時間は唾液の量が減り、虫歯になりやすい時間です。
寝る前は虫歯予防のためにも必ず歯磨きをしましょう。
歯磨きで気をつけることは歯と歯の間まで汚れを落とすことです。
虫歯のほとんどが歯の間から発症します。
歯ブラシだけでなくデンタルフロスを併用することで磨き残しを減らします。
歯磨き粉のゆすぎは2~3回程度で口に味が残る程度が効果的です。
歯科医で販売されているフッ化ナトリウム洗口液を使用すると、さらに虫歯のリスクを抑えることができます。
後は、間食をなくす食生活の改善やキシリトールガムを噛むなど虫歯に対する意識を高めるだけでも虫歯予防に繋がります。

歯科医での予防歯科ではホームケアではできないようなクリーニング、ブラッシング指導が受けられるので、定期健診を受けることが一番の予防法です。
親知らずの抜歯や矯正治療も汚れのたまりやすい歯を改善するので、虫歯予防になります。

まとめ

虫歯になってしまうメカニズムと進行について、そして虫歯予防法をご紹介しました。
虫歯のほったらかしは危険が高まります。日々の予防と早期発見・治療で健康な歯を保ちましょう。