神経を抜くってどういうこと? blog

2015.11.17

虫歯が進行してしまうと、「神経の治療をしましょう」「根っこの治療をしましょう」「神経を抜きましょう」などと言われる時があります。
では、神経を抜くとは、いったいどういうことなのでしょうか?

神経って何?

なんとなく使っている「歯の神経」という言葉。
正式名称は「歯髄(しずい)」といい、血管、リンパ管、神経が網目状に結合した繊維性のもので、象牙質の下(歯髄腔)のなかを満たしています。
この神経や血管は心臓や体、脳へとつながっています。

神経の役割ってなに?

歯の神経は私たちの歯にとってどんな役割があるのでしょうか?
神経を抜いてしまったらどうなるのでしょうか?

1. 歯に起こった異常を教えてくれる

神経は虫歯ができると、冷たいものや熱いものが「しみる」というサインを送ってくれます。
これによって私たちは虫歯であることに気づくことができるのです。
また知覚過敏や歯にヒビが入ったなどの異常を「違和感」や「しみる」というサインで伝えてくれます。
神経を抜いた歯は痛みを感じないため、虫歯になっていても気づかず、進行してしまったということがあります。

2. 歯を虫歯から守ってくれる

神経は虫歯になると進行しないように、進入路をふさいだり、歯を強化したり、象牙質を再生しようとする防御作用が働きます。
神経を抜いた歯はこの防御作用が働かず、細菌に感染しやすいと言えます。

3. 歯に栄養を運んでくれる

歯髄の中にある血管を通して水分や酸素、栄養を象牙質へと運んでいます。
そのおかげで艶のある丈夫な歯を作ってくれています。
神経を抜いた歯は水分も栄養もない「枯れ木」のようなものなのです。
また、神経を抜いた歯は徐々に茶色く変色します。
神経を抜いた歯は神経がある歯と比べて、より寿命が短いと言われています。

4. おいしく食事ができる

神経があるおかげで「熱い」「冷たい」などの温度が伝わり、おいしく食事ができるのです。
残念ながら、神経を抜いた歯は元通りの感覚にもどることはありません。

神経を抜かなければならない歯とは?

できれば抜きたくない神経ですが、どのような状態になったら抜かなければならないのでしょうか?

1. 虫歯が神経に達している

虫歯が進行して神経に到達すると、夜も眠れないほどの激痛があります。
神経を取らなければ痛みも取れないので神経を抜く治療が必要になります。

2. 歯の根っこに膿がたまる

細菌が歯の根っこにまで感染した場合、先端部分に膿の袋を作ることがあります。
この場合は神経が死んでいることもありますが、きれいに取り除いて消毒しなければなりません。

3. 知覚過敏の歯

強いブラッシングなどで象牙質が削り取られ、神経に達した場合、強い痛みが出ることがあります。
重症の場合は神経を抜く治療が必要になります。

4. 歯並びを矯正する

歯並びを治すためや、歯の向きを治すためにセラミックなどでかぶせる時に、神経を抜く治療が必要な場合があります。

神経を抜くってどういうこと?

歯にとって、体にとって、神経はとても大切であることがわかりました。
できれば抜きたくないけど、虫歯が進行してしまった場合は抜かなくてはなりません。
では、どうやって神経を抜くのでしょうか?

Step1
神経を抜くにはまず麻酔をします。
Step2
唾液による感染を防止します。
感染してしまうと治療後に痛みが出たり根の先に膿をつくったりしてしまいます。
感染防止はとても大切な工程です。
Step3
虫歯を取り除き、歯髄腔の中の歯髄を針のような器具を使って掻き出します。
また、薬が入りやすいように根っこの形を整えています。
歯の根っこはとても複雑な形状をしていますから、拡大鏡などを使い、神経を取り残さないように丁寧におこないます。
また、レントゲンやCTで根っこの長さ、数、形状などを確認します。
Step4
消毒をして薬を入れて仮に封をして終わります。
Step5
step3とstep4を数回繰り返すこともあります。
Step6
神経はなくなった歯は非常に感染しやすいため、消毒した薬を空気が入らないように隙間なくしっかり詰めていきます。

まとめ

「神経を抜く」とは、歯の中を通っている歯髄(神経、血管、リンパ管)を取り除くことです。

「歯の神経の役割」は、虫歯を知らせてくれる、歯に栄養を運んでくれる、虫歯から歯を守ってくれる、おいしく食事ができる、の4つです。

「神経を抜く治療」は、歯の神経をとる⇒消毒する⇒薬をつめる、の3つです。

いかがでしたか?
神経を抜いた後の歯は、神経がある歯より弱くなっています。
その後も長く大切に使っていくためにも折れたり、割れたりしないように気をつけたり、歯の異常に気が付きにくいため、定期的なメンテナンスや健診が必要になってきます。
また、最近では先進的な設備や技術などで、神経を抜かない治療をしてくれる歯科医院も増えてきています。
早期発見、早期治療が一番大切ですが、なってしまった時にはあきらめないで歯科医院に相談してみることをおすすめします。