神経は抜かないほうがいい? blog

2015.11.24

虫歯が進行すると神経にまで到達してしまい、「神経を抜く」という治療が必要になります。
神経を抜くと、痛みはなくなり、元通りになったように感じますが、デメリットはないのでしょうか?
神経を抜いた歯はどうなっているのでしょうか?神経を抜く前にぜひ知っておきましょう。

神経のたいせつな役割

その1.栄養を運んでくれる

歯の神経は血管、リンパ管、神経線維などで構成され、それらを通じて歯に酸素や水分、栄養などを運んでいます。

その2.虫歯を知らせてくれる

歯の神経は「あつい」「つめたい」に反応します。虫歯になると「しみる」「痛い」などの症状で知らせてくれます。

その3.虫歯から守ってくれる

細菌が歯の内部に侵入するのを防いでくれます。
また、歯の神経は虫歯が進行しないように歯を強くしたり、歯の組織を作ったりして虫歯から守ってくれます。

その4.おいしく食事ができる

「あつい」「つめたい」に反応するということは、食べ物の温度を感知しますので食事がおいしくいただけるということです。

神経を抜いた歯はどうなるの?

その1.歯が脆くなる

酸素や水分、栄養が運ばれなくなった歯は、枯れ木のようなものです。
耐久性は次第に劣化していき、脆くなり、割れやすくなります。
割れた歯はほとんど抜歯しなければならず、大切な歯を失うことになってしまいます。
お口の中に神経を抜いた歯が多いほど、負担が大きくなり割れやすくなります。
神経を抜く⇒割れやすい⇒抜歯の悪循環にならないようにしなければなりません。

その2.変色する

神経を抜いた歯は、死んだ状態です。
代謝を担っている血管も神経と一緒に取ってしまうことで、古くなった物質が代謝されないために、どんどんたまっていき、徐々に黒ずみ変色していきます。
元に戻ることはありません。

その3.虫歯に気づかない

神経を抜いた歯は、痛みを知らせるセンサーがないので、気づかない間に虫歯が進行していることがあります。
また、神経を抜いたあと、数年たってから細菌に感染することもあり、根っこに膿を持ったり、骨を溶かしたり、歯ぐきが腫れたり、蓄膿症や全身疾患など重症になりやすいです。

その4.治療に時間がかかる

神経を抜く治療は細菌感染を防ぐため、時間と治療回数がかかります。
神経の治療後は元どおりに噛めるように、金属やセラミックなどで修復が必要になり、時間と治療費が大きな負担になります。
せっかく治ったとしても二次感染を防ぐためや、破折を防ぐために細心の注意と定期的なメンテナンスが必要になります。

どうしても神経を抜かなければならないケース

その1.激痛がある

虫歯が神経にまで進行してしまった場合は、激痛が起こります。
この痛みを取るには神経を抜かなければなりません。
しかし、このような状態での治療は、麻酔も効きにくく、痛みに耐えながらの治療になることもあります。

その2.膿がたまっている

虫歯が神経に達し、根っこに膿をつくることがあります。
この場合は神経の一部、または全部が感染して死んでいますので、神経を抜いて内部を消毒しなければなりません。

その3.外傷

事故やケガによって前歯を強くぶつけた、折れた、割れたといった場合には、神経に大きなダメージを与えていることがあります。
また神経を取らずに修復することが困難な場合には神経を抜かなければなりません。

神経を抜いてよかったことは?

その1.痛みがなくなる

仕事も手につかないような激痛から解放されます。
ただし、二度と痛みが起きないわけではありません。
神経や細菌をすべて取り除くことができなかった場合には、痛みを感じることがあります。
その場合は再度、根管治療が必要になります。
また、定期的な健診や毎日の適切なケアが必要不可欠です。

その2.虫歯の進行を防ぐ

神経を抜くことで虫歯の進行を防ぎ、骨や根っこ、全身の病気に進行し悪化するのを防いでくれます。
ただし、神経を抜いた歯も虫歯になります。
気づきにくいので重症になりやすいことから、普段のケア、定期的な健診が必要です。

まとめ

  • 神経には歯にとって大切な役割がある。
  • 神経を抜くと歯に栄養がいかず、脆く、割れやすくなる。
  • 神経を抜いた歯は、寿命が短くなる。
  • 神経を抜いたら、痛みが無くなるということではない。
  • どうしても神経を抜かなければならないケースがある。

いかがでしたか?
歯の神経はとても大切だということがわかりました。神経を抜くことのデメリットを考えると、できるだけ、神経は抜きたくないですね。
それには虫歯にならないようにする、なるべく早く虫歯を発見し、小さいうちに治す、痛みがあったら我慢せず歯科医院を受診することが大切です。
しかし、外傷などどうしても神経を抜かなければならないケースもあります。
神経を抜いた後の歯は割れないように注意しながら大切に使っていけば、何年も抜かずに済むことも可能です。
適切なケアと定期健診で自分の歯を守りましょう。