インプラントはどんな人でもできるのでしょうか? blog

2016.02.02

残念ながら、インプラントは誰にでも受けられる治療と言うわけではありません。
治療ができるかどうか、その判断の対象となるのは患者さんの年齢や体調がキーになってきます。
そこで、具体的にインプラントを受けることができないケースをいくつか挙げ、
それぞれのケースにおける理由も解説していきます。

年齢に関して

基本的に、15歳未満の患者さんへのインプラントは禁止しており、
歯科医の判断によるものの、18歳以下や20歳以下の患者さんへのインプラントもおススメできません。
これは、永久歯や骨の成長が理由になっています。
15歳未満だと永久歯が成長しきっておらず、永久歯が生え揃うのは16歳頃と言われています。

また、18歳や20歳以下だと、永久歯は完成していても骨の成長が止まっていない可能性があるのです。
このように、インプラントに関わる箇所が成長途中の場合、治療前と治療後で骨に変化が生じます。
そうなると、完成したインプラントに不具合が生じるケースが起こり得るため、
そのリスクを回避するために、ある程度の年齢制限が設けられているのです。

持病に関して

口内の状態に関わらず、特定の持病を持っている患者さんはインプラントを受けられないことがあります。
一般的に該当するのは、糖尿病、心臓病、肝疾患などの病気が該当します。
糖尿病の場合は、免疫力の低下で細菌の感染に対する抵抗力が弱く、手術に支障をきたします。
心臓病の場合は、心臓に負担がかかるために手術が困難と判断されることがあります。

肝疾患の場合は、手術時の出血が止まらなくなる危険性があることが、治療不可の原因になります。
いずれの場合も、100%インプラントを受けられないというわけではないものの、
身体の安全性を考慮した結果、インプラントを受けられないと判断されるケースがあるのです。
つまり、健康状態に関しては、口内が健康なら問題ないと言うわけではないのです。

口内の状態に関して

重度の歯周病を持つ患者さんは、インプラントを受けられない可能性があります。
歯周病は歯茎が炎症を起こし、やがて歯を支える骨を溶かしてしまう病気です。
ちなみに、インプラントは骨に埋め込むことで安定性を確保できます。

つまり、インプラントを成功するには、骨が充分な状態であることが必須条件なのです。
このため、重度の歯周病を患っていることで骨が溶けてしまっていると、
インプラントの埋め込み自体が困難であり、それが原因で治療を受けられなくなるのです。

喫煙に関して

ヘビースモーカーの患者さんはインプラントができない、そう聞いたことのある人もいるでしょう。
これは、喫煙によって白血球の機能障害などを起こしている場合、
インプラントに悪影響を及ぼすことが治療できない理由になっています。

逆に言えば、機能障害などを起こしていなければ喫煙者でもインプラントを受けられますが、
少なくともインプラント治療前後の一定期間は、禁煙が必要になってきます。
また、喫煙による血管の収縮や血流阻害なども、インプラントできない理由に関わってきます。

その他、インプラントできない例

上記で挙げた以外にも、インプラントできない、おススメできない患者さんは存在します。
インプラントできないその他の例をズラリと挙げていきます。
妊婦、高血圧、癌の治療中、骨粗そう症、高年齢で手術や治療後の通院が体力的に不可などの場合です。

これらの中で、一つでも該当する患者さんはインプラントをおススメできません。
もちろん、それぞれの状態でインプラントできない理由があり、
共通するのはインプラントの失敗を招きやすい、身体の健康面や安全面にリスクがあることです。

判断するのは医師である

そもそもインプラントが可能かどうか、それはルールや法律で基準が定められているわけではありません。
明らかに無謀と言えるような状態で治療を希望するなら別ですが、
基本的には治療可能かどうかの最終判断は、担当の歯科医がくだすことになります。

このため、患者さんとしては一方的に治療不可と考えてしまうのではなく、歯科医に相談したり、
カウンセリングの中で話し合うことが大切なのです。
実際に、ある歯科医院では治療不可と判断されても、別の歯科医院でゴーサインが出る例もあります。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、インプラントはどんな人でもできるのかについてまとめます。

  1. 年齢に関して :20歳以下だとおススメできない。骨の成長が止まっていないことが理由である
  2. 持病に関して :糖尿病、心臓病、肝疾患の持病を持つ人は、身体の安全を考慮しておススメできない
  3. 口内の状態に関して :重度の歯周病で骨を失っていると、インプラントを埋め込むことができない
  4. 喫煙に関して :喫煙によって白血球などに問題があるとインプラントできない。
  5. その他、インプラントできない例 :妊婦、高血圧、癌の治療中、体力的に難しい場合などがある
  6. 判断するのは医師である :治療不可の絶対的な基準はなく、最終判断するのは歯科医である

これら6つのことから、インプラントはどんな人でもできるのかが分かります。
インプラント不可かどうかの判断は、治療前のカウンセリングによって判断されます。
また、喫煙のようにライフスタイルがインプラントに支障を及ぼすこともあるため、
患者さんとしても歯科医に積極的に相談することが、インプラントの安全性を高めることになるのです。