インプラントも歯周病になると聞いたのですが、どういうことですか? blog

2016.02.11

インプラントは人工の歯を使用しているため、歯の病気とは一見無縁のように感じます。
確かに人工の歯である以上、虫歯になることはありません。
しかし、歯周病に関してはインプラントも無関係ではなく、実際に歯周病を引き起こすこともあるのです。
そこで、なぜ人工のインプラントで歯周病が引き起こされるのかについて説明していきます。

歯周病について

歯周病は感染症の一種であり、そのきっかけとなるのはプラークです。
プラークには無数の細菌が潜んでおり、プラークが歯石になることで、細菌の数はさらに増加します。
この細菌は歯の周りに棲みつくことによって、歯茎が腫れ、炎症を起こします。

これが歯周病のはじまりです。この炎症が進行、つまり歯周病が進行してしまうと、歯を支える骨が溶けていってしまい、最終的には歯を失うことになるのです。
自覚症状がないために初期段階で気づきにくく、気づいた時には進行していたというケースが大半です。

インプラントが歯周病になる理由

これは、上記の歯周病についての説明を知っていれば、実は簡単なことです。
なぜなら、歯周病は歯の病気ではなく、歯茎の病気だからです。
インプラントの構造は、人工の歯と人工の歯根、それらを連結するアバットメントの三つのパーツです。

このため、インプラントが虫歯になることはないですし、それは人工の歯だからです。
しかし、歯周病は歯茎の病気ですし、歯周病菌がインプラントを支える顎の骨に感染してしまえば、
インプラントの周囲が歯周病に侵されてしまうのです。これを正式にはインプラント周囲炎と呼びます。

インプラント周囲炎の症状

基本的には従来の歯周病と全く同じですが、被害に遭う歯が天然の歯かインプラントかの違いがあります。
また、インプラントは人工物のため、栄養が供給されることがなく、抵抗力が弱い欠点があります。
このため、従来の歯周病に比べると進行が早く、一刻も早い治療が必要となります。

具体的には、インプラント周囲炎が起こることでインプラントを支える骨が溶けていきます。
前述したように、インプラントは抵抗力が弱いため、骨は急速に溶けていきます。
骨が溶けることで支えが不安定になり、インプラントがグラつくようになりますし、
さらに進行してしまうことで、最終的にインプラントが抜け落ちてしまいます。

さらなる弊害も起こり得る

インプラント周囲炎が引き起こされるということは、口内に歯周病菌が存在していることになります。
しかも歯周病菌は増殖していくため、いずれは別の箇所も炎症を引き起こしてしまいます。
また、インプラントの支えが不安定になると、噛み合わせも当然悪くなってしまいます。

噛み合わせが悪いことで他の健康な歯に負担がかかり、それらの歯にもダメージを与えます。
進行した歯周病は自然に回復することはないため、放置すればどんどん進行していきます。
場合によっては、血液に細菌が侵入し、血管を通じて全身に細菌がまわってしまう恐れもあります。
そうなると、動脈硬化や心臓病を引き起こす可能性も出てくるのです。

メンテナンスの重要性

インプラントは、治療完了後もメンテナンスのための定期的な通院が必要になります。
正直これを面倒に思う人も多いのですが、歯周病予防にはこのメンテナンスが非常に重要になってきます。
自身のケアだけで歯周病を完全に予防するのは難しいですし、
インプラントは天然の歯以上に歯周病に注意する必要があるのです。

その点、メンテナンスを受けることで口内のクリーニングもできますし、歯周病のチェックも可能なため、歯周病予防、さらには早期発見と早期治療が叶うようになるのです。
このため、インプラント治療後のメンテナンスも歯周病予防として視野に入れるべきですし、
できれば三ヶ月ごと、長くても半年ごとにはメンテナンスを受けることをおススメします。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、インプラントも歯周病になるのかについてまとめます。

  1. 歯周病について :プラークによって歯茎が炎症を起こし、やがて歯を支える骨が溶け、歯を失ってしまう
  2. インプラントが歯周病になる理由 :歯周病は歯茎の病気。このため、インプラントと関係なく起こり得る
  3. インプラント周囲炎の症状 :従来の歯周病と同じだが、インプラントは抵抗力が弱いために進行が早い
  4. さらなる弊害も起こり得る :別の箇所も炎症を起こしたり、細菌が身体中にまわってしまう例もある
  5. メンテナンスの重要性 :インプラント治療後のメンテナンスは、歯周病予防の意味も持っている

これら5つのことから、インプラントも歯周病になるのかが分かります。
インプラントが歯周病にならないイメージがあるのは、インプラントが人工物だからです。
しかし、歯周病は歯に発生する病気ではなく、歯茎に発生する病気です。
このため、インプラントの使用の有無と全く関係なく、歯周病は引き起こされます。
むしろ、天然の歯以上に、インプラントは歯周病に注意する必要があるのです。