どんな場合インプラントの手術ができない? blog

2016.03.03

インプラントは失った歯を取り戻せる画期的な治療方法ですが、残念ながら誰にでも治療ではありません。
と言うのも、インプラントは治療の過程で手術が必要でありますが、患者さんの状態によっては手術できないと判断されるケースもあるのです。
では、実際にどんな場合にインプラントの手術ができないのか、それについて説明していきます。

1. 重度の歯周病の場合

歯周病は歯の周りの骨を溶かす病気で、進行するほど症状は酷くなります。
一方、インプラントは歯の骨にインプラントを埋め込む手術を行います。
つまり、インプラントの手術を行うには、歯の骨が充分であることが必須条件になるのです。

しかし、重度の歯周病になっていると、歯の周りの骨がほとんど失われているため、インプラントを埋め込むことができないのです。
ちなみに、このケースのように骨の量が少なくて手術できない場合は、骨移植によって手術可能になることもあります。

2. 全身疾患がある場合

全身疾患がある患者さんは、安全上の理由からインプラントの手術ができないことがあります。
例えば、肝疾患を患っている場合、手術時に出血が止まらなくなることがあります。
また、腎疾患の患者さんは骨がもろくなっているため、やはり手術時のリスクが高くなります。

このように、全身疾患がある場合、物理的に手術が困難というわけではないものの、患者さんの安全上、インプラントの手術はおススメできないのです。
いくら魅力的な治療でも、リスクを冒してまでするものではないということです。

3. 糖尿病の場合

糖尿病になると、細胞の中に糖が取り込まれないため、細胞がエネルギー不足の状態になります。
これによって細胞に障害が起こってしまうと、傷の治りが遅くなったり、細菌への抵抗力が衰えます。
これらの障害が手術時に支障をきたしてしまうというのが、手術できない理由です。

最も、糖尿病の場合、血糖値のコントロールが良好であれば手術は可能です。
しかし、あくまで歯科医の判断になるものの、例え手術ができたという場合でも、手術する規模が抑えられる、治療に制限がつくことになります。

4. 年齢に関して

一般的には20歳未満の若い患者さんや、高齢の患者さんは手術できないことがあります。
これは法で定められているわけではないため、具体的な年齢の基準は歯科医によって異なります。
若い患者さんの場合、歯や骨が成長段階であるため、長期間の治療が必要なインプラントは難しいです。
歯や骨の成長を予測することは困難なので、インプラントによって成長に支障をきたす可能性があるのです。

また、高齢の患者さんについては、純粋に手術に耐えうることができるかどうかがポイントになります。
何しろ、インプラントは長期の通院が必要になりますし、治療後もメンテナンスの通院が必要です。
体力面を考慮し、これが困難と判断されると、インプラントの手術が受けられなくなるのです。

5. 骨粗鬆症の場合

骨粗鬆症の場合は、症状そのものよりも、そのため治療が手術に支障をきたす可能性があります。
骨粗鬆症の治療をする場合、ビスフォスフォネート系の薬剤が用いられます。
この薬剤を服用していたり、注射していると、手術によって骨が死んでしまう危険性があるのです。

つまり、骨粗鬆症の症状ではなく治療薬が、インプラントの手術ができない要因なのです。
ただし、服用の期間や時期によっては手術可能と判断されるケースもあるため、歯科医に実際に相談してみることをおススメします。

6. 妊婦

妊娠している女性も、妊娠期間に関わらず手術はおススメできません。
悪阻で気分がなることがありますし、早産を招くリスクがあるとも言われています。
また、手術後の話になりますが、薬の服用が胎児に悪影響を及ぼす危険性があるのです。

このため、妊娠中の女性はインプラントの手術をしない方がいいでしょう。
もちろん、出産して時期が経てば手術可能になるため、敢えて妊娠中にリスクを冒してまで手術する必要はありません。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、どんな場合にインプラントの手術ができないかをまとめます。

  1. 重度の歯周病の場合 :骨が溶けてしまっているため、インプラントを埋め込めない
  2. 全身疾患がある場合 :疾患の種類によって、出血が止まらなくなったり、骨がもろくなったりする
  3. 糖尿病の場合 :血糖値がコントロールできない場合、手術の傷の治癒が悪かったり、細菌に感染しやすい
  4. 年齢に関して :歯や骨が成長段階の若い患者さん、手術に耐える体力がない高齢の患者さんが対象
  5. 骨粗鬆症の場合 :ビスフォスフォネート系の薬剤を服用していると、手術で骨が死んでしまうことがある
  6. 妊婦の場合 :悪阻や早産のリスク、手術後の薬の服用が胎児に悪影響を及ぼす可能性があるため

これら6つのことから、どんな場合にインプラントの手術ができないかが分かります。
まとめると、手術に必要な条件としては、充分な骨の量があること、安全に手術できる体質であること、手術後に危険性を伴う要因を持っていないこと、これらが条件になります。
ただし、手術の可否に明確な基準はないため、確実なのは歯科医に相談してみることです。