インプラントで上に被せる「被せ物」が壊れることはありますか? blog

2016.06.07

虫歯治療などで被せ物を使った経験がある人は、インプラントの被せ物に不安を感じるかもしれません。
と言うのも、被せ物は破損することがあるため、インプラントの場合も同様ではないかと思うからです。
では、実際にインプラントの被せ物が壊れることがあるのか、それについて説明していきます。
これからインプラント治療を考えている人は、治療するかどうかの判断基準として参考にしてください。

1. インプラントにおける被せ物とは

そもそも、インプラントにおける被せ物と聞いてピンとこない人もいるでしょうから、
最初にインプラントの構造と被せ物について簡単に説明しておきます。
インプラントを構成しているのは3つのパーツで、1つは人工の歯の根となるインプラント体です。

2つ目が今回テーマにした被せ物で、正式には上部構造と呼ばれており、これが人工の歯となります。
ちなみに、3つ目のパーツはアバットメントと呼ばれるもので、
これはインプラント体と上部構造を連結する、いわゆるジョイントの役割を果たすパーツです。

2. 上部構造の破損

頻度は低いものの、上部構造が壊れてしまうことは確かにあります。
壊れ方としては破損が多く、素材として使用したセラミックが割れたり、欠けるといったケースです。
こうした事態が起こり得るのがセラミックの欠点ですが、決して脆いわけではありません。

あくまで壊れることもあるというだけで、壊れやすいというわけではないのです。
丈夫さや硬さだけを追求すれば金属一択ですが、金属は見栄えが悪いので、あまりおススメできません。
費用を気にしないというなら、硬さも見栄えも抜群のジルコニアを素材にする選択肢もあります。

3. 劣化は防げない

破損しないからといって、上部構造は永遠に使用できるわけではありません。
長い期間使用することでどうしても劣化していきますし、その時には交換が必要になってきます。
ちなみに、上部構造の寿命は一般的に10年ほどが目安となります。

ただし、人によってはこの寿命が短くなるケースもあり、
強い歯ぎしりをしたり、日常生活で硬い物ばかりを噛んでいると、当然劣化も早くなります。
また、片方だけで噛むなど、特定の歯に負担が掛かるような噛み方も寿命を縮めます。

4. 長持ちさせる秘訣

一番大切なのは、治療後のメンテナンスを大切にすることです。
インプラントは、治療を終えた後もメンテナンスのための通院が必要であり、
ここで口内のクリーニングやインプラントの調整を行います。

噛み合わせの悪さは上部構造の寿命を早めますし、歯周病はインプラント体にダメージを与えます。
これらの被害を防ぐためにも、通院後のメンテナンスは欠かさないようにしてください。
また、あまり硬い物を噛まないようにするちょっとした配慮も、上部構造の長持ちに繋がります。

5. 保証について

上部構造だけの破損なら対処できるとは言え、患者さんとしては費用も気になるところです。
このため、こうした上部構造の破損に備え、多くの歯科医院では保証制度を採用しています。
これはつまり、インプラントの上部構造のトラブルに対して、何らかの保証があるというものです。

最も、これはそれぞれの歯科医院が独自で行っていることなので、
保証内容が統一されているわけではありません。
このため、保証の有無や具体的な内容は、実際に治療を希望する歯科医院で必ず確認してください。

6. 壊れることは大切

上部構造が壊れることは、実はインプラントや顎の骨を守る効果があります。
そもそも、上部構造は大きな力が掛かることによって破損します。
この時、破損しないのであれば、大きな力はそのまま奥にあるインプラント体や顎の骨まで伝わります。

インプラント体が壊れることは、インプラント自体が使えなくなるのに等しいですし、
顎の骨がダメージを受けてしまうと、やはりインプラント自体が不安定になってしまいます。
つまり、上部構造が壊れることで、インプラント体や顎の骨に掛かる力を逃がしているわけです。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、インプラントで被せる「被せ物」が壊れる可能性についてまとめます。

  1. インプラントにおける被せ物とは :正式には上部構造と呼ばれており、人工の歯に該当する
  2. 上部構造の破損 :現在主流のセラミックで稀に起こる。高額だが、ジルコニアならさらに硬くて丈夫
  3. 劣化は防げない :破損しなくても劣化はする。少なくとも、一生使うことは不可能
  4. 長持ちさせる秘訣 :メンテナンスの通院を怠らないことや、バランスよく噛むことが大切
  5. 保証について :上部構造に保証制度を導入している歯科医院が多い。内容は歯科医院ごとで異なる
  6. 壊れることは大切 :上部構造が壊れることで、インプラント体や顎の骨へのダメージを防いでいる

これら6つのことから、インプラントで被せる「被せ物」が壊れる可能性について分かります。
壊れることがあるとは言え、それは稀なことなのでそこまで心配する必要はありません。
そもそも、100%壊れない素材は存在しないですし、例え破損しなくても劣化は起こります。
それよりも、口内を清潔にしてインプラント全体を長持ちさせることを意識した方がいいですね。