金属アレルギーですが、インプラントはできますか? blog

2016.06.21

金属アレルギーの人にとっては、インプラントをすることに不安を感じるでしょう。
実際に銀歯で金属アレルギーを引き起こした人もいますし、
インプラントで金属を使用していないかどうか、それが気になるのは当然のことですね。
ここで、インプラント治療と金属アレルギーをテーマにして考えていきます。

1. インプラントで金属は使用するか?

インプラントは、歯の役割を果たす上部構造、歯の根となるインプラント体、
これらをジョイントするアバットメントの3つのパーツから成り立っています。
この中で、上部構造とアバットメントに関しては、非金属の素材を選択することが可能です。
例えば、上部構造=被せ物となるため、オールセラミックやジルコニアが選択できます。

ただし、インプラント体(人工の歯の根)では金属が使用されています。
ほぼ全ての歯科医院に言えることですが、
インプラント体ではチタン製のタイプを使用することが多く、これは金属に該当します。
そもそも、厚労省で認められているインプラント体は、医療用グレードチタンのみになります。

2. 金属アレルギーのリスクは?

金属アレルギーという名称であるものの、実際には全ての金属がアレルギー対象ではありません。
具体的に挙げるなら、銀やパラジウムやニッケルなどが金属アレルギーを引き起こしやすい金属です。
一方、チタンは金属アレルギーを起こしにくい特徴を持っています。
つまり、金属の中でもチタンは金属アレルギーを引き起こす確率が極めて低いのです。

このため、実際に多くの業界でチタンは重宝されています。
医療の世界で挙げるなら、人工関節やペースメーカーに応用されていますし、
ファッションの業界ではチタン製のアクセサリーが数多く存在しています。
これは、チタンが金属の中で最も身体に安全だという点が考慮されているのです。

3. チタンアレルギーの可能性は?

これはゼロではなく、チタンアレルギーを持った人がいることは事実です。
このため、金属アレルギーの人がインプラント治療を希望する場合、
金属アレルギーが起きる可能性は極めて低いものの、絶対に起こらないと断言することはできません。
安全に考えるなら、インプラント治療をする前に皮膚科でアレルギー検査をしておくと確実です。

また、チタンアレルギーを持つ人がいかに少ないか、そのデータを少々紹介しておきます。
愛知学院大学の歯学部でテストを行った結果では、1000人中5人にチタンの陽性反応がありました。
スペインのオビエド大学でテストを行って結果では、1500人中9人にチタンの陽性反応がありました。
それぞれ確率で挙げるなら、0.5%と0.6%なので、従来の金属に比べて可能性が低いのは確かです。

4. 治療後にチタンアレルギーが起きたら?

もしインプラント治療後に金属アレルギーが出た時は、検査を行ってアレルギーの要因を調べます。
そこでチタンと発覚した場合、インプラント体を取り除かなければなりません。
アレルギーの原因を除去しない限り、症状が改善されないからです。

そしてインプラント体を除去した後は、該当する箇所を別の治療方法で対処します。
この場合の選択肢は2つで、入れ歯かブリッジの治療です。
最も、ブリッジは金属を使用するとマズいので、ここでは素材としてセラミックを選択することになります。

5. チタンはなぜ安全性が高いのか?

これは、金属アレルギーが引き起こされる仕組みと関係してきます。
金属アレルギーの仕組みは、使用した金属が体液や唾液に触れることが発端になります。
体液や唾液によって金属が微量に溶け、これがイオン化して体内に入ることでアレルギーを引き起こします。
つまり、金属が溶けてイオン化することが、金属アレルギーを引き起こす要因なのです。

一方、チタンの場合は金属イオンが溶けだすことがありません。
これは、チタンが空気に触れることで表面に膜ができるという特性を持っているからで、
前述したような金属アレルギーを引き起こす要因に至らないのです。
これが、チタンは安全性が高いといわれる根拠です。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、金属アレルギーでもインプラントできるのかについてまとめます。

  1. インプラントで金属は使用するか? :インプラント体ではほとんど歯科医院でチタンを使用している
  2. 金属アレルギーのリスクは? :チタンは金属アレルギーを起こしにくいが、絶対に起きないとは言えない
  3. チタンアレルギーの可能性は? :可能性はゼロではないので、確実なのは皮膚科で検査すること
  4. 治療後にチタンアレルギーが起きたら? :インプラントを除去した後、ブリッジか入れ歯で治療する
  5. チタンはなぜ安全性が高いのか? :金属イオンが溶けださないため、従来の金属より安全性が高い

これら5つのことから、金属アレルギーでもインプラントできるのかが分かります。
インプラント治療で金属アレルギーが起こる確率は極めて低いものの、絶対に起きないとは言えません。
このため、治療自体は可能なものの、事前に皮膚科などでチタンアレルギーの検査をしておくと安心です。