糖尿病ですが、インプラント治療はできますか? blog
2016.06.28
インプラント治療は、患者さんの身体の状態によってはできないことがあります。
口内の状態はもちろんですが、持病によってできないこともあるため、誰にでもできる治療ではありません。
そこで、ここでは持病の中でも特に多い、糖尿病について考えてみます。
つまり、糖尿病を持った患者さんがインプラント治療することは可能なのか、それについて説明します。
1. 歯周病へのリスク
糖尿病とインプラント治療、一見全く無関係に思えるこの二つですが、実はそうでもありません。
なぜなら、糖尿病で起こる症状が、安全にインプラント治療を行う上での問題点になり得るからです。
糖尿病が進行していると、身体の抵抗力や免疫力が低下してしまうため、
従来の患者さんに比べて歯周病を引き起こす確率が高くなります。
一方、インプラントには大きな天敵が存在しており、それが歯周病なのです。
と言うのも、インプラントは人工の歯の根を骨に埋め込むことで安定させています。
しかし、歯周病が進行して骨が溶けてしまうと、安定性を失ったインプラントは抜け落ちてしまいます。
つまり、糖尿病であることで、インプラントにとって最も危険な歯周病を引き起こすリスクが高まるのです。
2. できるケースとできないケース
結論から言うと、「糖尿病=インプラント治療できない」とは限りません。
正確には、「糖尿病=インプラント治療できないことがある」と言うのが正解です。
つまり、インプラント治療できることもあれば、できないこともあるということです。
ひどく漠然的な回答になってしまいましたが、これは血糖値のコントロールが一つの判断基準になります。
血糖値が高いと感染症のリスクが高まるため、インプラント治療ができないのです。
これは、インプラント治療の過程で手術を行うことが理由になります。
傷口の回復も遅いため、こうした出血を伴うような大きな治療はできなくなるのです。
逆に言えば、血糖値がコントロールできるのであれば、糖尿病の患者さんでもインプラント治療が可能です。
3. 主治医同士の連携が大切
歯科医は歯に関してはプロですが、糖尿病治療のプロではありません。
このため、実際に糖尿病の患者さんがインプラント治療を希望する際には、
糖尿病治療をしている主治医との連携が必須になってきます。
処方している薬、インスリンの量と種類、これらを歯科医が把握する必要があるからです。
もちろん、患者さん自身がこのことを歯科医に伝えることも大切ですが、
歯科医が糖尿病治療の主治医に連絡を取り、確認するのが一番安全だからです。
4. 発作への対処
糖尿病を持っていて、なおかつ低血糖発作の経験がある患者さんは、
インプラントの治療中にも発作が起こる可能性を考えなればなりません。
低血糖発作が起きた場合、効果的な対処方法は糖分を摂取することです。
このため、治療の際には低血糖発作への対処として、アメや氷砂糖などを所持しておくといいですね。
また、少しでも発作が起きる可能性を防ぐため、発作が起きにくい時間帯を考えるのも効果的です。
食事の後は比較的発作が起きにくいため、より安全性を高めるなら、食後の時間帯に治療をすべきです。
5. その他でインプラントできないケース
ここでは、糖尿病の患者さんがインプラント治療できるかどうかを説明してきましたが、
インプラント治療可否の判断基準は、糖尿病だけではありません。
例えば、全身疾患や心臓病を持っている患者さんも、インプラント治療できないことがあります。
さらに、持病がなくても顎の骨の量が少なかったり、
重度の歯周病の患者さんも、インプラントできないことがあるのです。
つまり、例え糖尿病の点でクリアできても、全く別の理由でインプラント治療できないこともあり得ます。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、糖尿病でもインプラント治療できるのかについてまとめます。
- 歯周病へのリスク :糖尿病だと抵抗力や免疫力が低下するため、厄介な歯周病になりやすい
- できるケースとできないケース :糖尿病=治療不可とは限らず、血糖値をコントロールできるかで決まる
- 主治医同士の連携が大切 :その場で歯科医が糖尿病治療の主治医に連絡することがある
- 発作への対処 :低血糖発作への対処として、糖分摂取のためのアメや氷砂糖を持っておくと良い
- その他でインプラントできないケース :糖尿病以外にも、インプラント治療できないケースが存在する
これら5つのことから、糖尿病でもインプラント治療できるのかが分かります。
ネットなどで調べてみると、実際にインプラント治療できたという声とできなかったという声があります。
つまり、可能という意見も不可能という意見もあり、これが患者さんが悩んでしまう要因になっています。
確かに、インプラント治療できることもあれば、できないこともあるというのが事実です。
では、なぜ同じ糖尿病でもなぜ二つのケースがあるのかと言うと、
そこには血糖値のコントロールができるかどうかの違いがあるのです。