高血圧ですが、インプラント治療はできますか? blog

2016.07.28

インプラント治療は歯科で行うものとは言え、手術を伴う大掛かりな治療内容です。
このため、一般的な虫歯や歯周病治療と異なり、
身体の健康状態によっては治療が受けられないことがあります。
今回、そんな健康状態の中から高血圧をキーワードにして、インプラント治療の可否を説明していきます。

1. 対処次第で治療可能

高血圧の患者さんでもインプラント治療は可能ですが、それなりの準備や対策が必要となります。
少なくとも、歯科医師に高血圧だと告げただけでそのまま治療することはできません。
まず、高血圧の患者さんがインプラント治療する場合は、内科で血圧をコントロールされている必要があります。
さらに、治療時の痛みや緊張によって血圧が上昇する可能性もあります。

また、使用する麻酔薬自体に血圧を上昇させる成分が含まれている場合もあるのです。
これらの対策としては、リラックスできるように点滴麻酔による鎮静法を用いたり、
血圧の薬を飲んで調整しながらインプラント治療を行うことになります。

2. 重度の高血圧の場合

高血圧は、一般的に最高血圧が140mmHg以上、最低血圧が90mmHg以上とされています。
高血圧といっても患者さんごとで数値に差がありますし、中には重度の高血圧症の患者さんもいるでしょう。
この場合、必要に応じて内科の担当医師(主治医)に連絡をとる場合があります。
その際の担当医師の判断によっては、インプラント治療ができない可能性もあります。

ちなみに、高血圧の患者さんは自身の血圧の数値をある程度把握しているでしょうが、
緊張や痛みを伴う手術においては、その数値よりもさらに上昇する可能性が見込まれます。
そういった点も含め、インプラント治療をしても問題ないかを相談することになりますし、
もし不可能ということであれば、入れ歯などの別の治療方法を提案することになります。

3. 治療よりも安全性を優先

患者さんの中には、多少リスクがあってもインプラント治療を優先したいと思う人もいるでしょう。
しかし、歯科医師としてはリスクよりも安全性を優先することになります。
このため、高血圧の状態によっては治療が受けられないこともあるのです。

そもそも、インプラント治療は手術などによるリスクが伴いますし、実際に失敗した例もあります。
難易度の高い治療である以上、患者さんの安全性を最大限配慮しているのです。
確かに、インプラントは魅力的な治療です。しかし、リスクを冒してまでする治療ではないのです。

4. 設備が充実した歯科医院を選ぶべき

上記で説明してきたように、高血圧の患者さんはインプラント治療のリスクが高まります。
このため、実際に治療する歯科医院も、それなりに設備が充実した歯科医院を選ぶことが大切です。
何らかの問題が生じた時、すぐ対処できる状態にある歯科医院が理想です。

例えば、歯科医院によっては血圧や心拍数をリアルタイムで計測し、
執刀医とは別に麻酔認定医がそれを監視する体制を確立しているところもあります。
また、血圧が上昇しない鎮静法で麻酔ができる設備を持つ歯科医院もあります。

インプラント治療ができる歯科医院は限られているため、
治療を希望する患者さんは、対応できる歯科医院をネットで探すことが多いです。
高血圧の患者さんは、そんな歯科医院選びの際に、
「高血圧」をキーワードに含め、万全の処置と対策を実践している歯科医院を選ぶべきでしょう。

5. 起こり得る問題

実際に高血圧の患者さんがインプラント治療した場合、どんな問題が起こり得るかを説明します。
まず、出血が止まりにくいために手術後の止血がうまくいかなくなる可能性があります。
また、一定以上の血圧の数値になることで、気分も悪くなってしまいます。

さらに、急な血圧の上昇で心臓に負担を掛けることになりますし、脳出血を招く恐れもあるのです。
こうしたリスクが生じることが、インプラント治療をおススメできない理由でもあるのです。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、高血圧でもインプラント治療できるのかについてまとめます。

  1. 対処次第で治療可能 :おススメはできないものの、血圧のコントロールなどで治療は可能
  2. 重度の高血圧の場合 :重度の高血圧の場合、内科の担当医師に連絡を取って相談することもある
  3. 治療よりも安全性を優先 :インプラントは危険を冒してまでする治療ではない。安全性を最優先するべき
  4. 設備が充実した歯科医院を選ぶべき :高血圧の患者さんに対処できる歯科医院を選ぶべき
  5. 起こり得る問題 :止血がうまくいかない、脳出血のリスク、気分が悪くなるなどの可能性がある

これら5つのことから、高血圧でもインプラント治療できるのかが分かります。
実際の血圧の数値、それに対する歯科医師の判断、これらの点から結論を出すと、
漠然的になってしまいますが、“インプラント治療できることもあればできないこともある”です。
ただし、ここで説明したように、従来の患者さんに比べてリスクが高まってしまうことは事実です。