歯周病は母子感染する? blog

2016.08.16

歯周病は、細菌の感染によって引き起こされる病気です。
最も、これは誰もが知っている事実ですが、よくよく考えるとある疑問が浮かびます。
“細菌の感染によって起こる病気なら、人にうつのではないか?”という疑問です。
実はそのとおりで歯周病は人にうつりますし、特に問題となるのが母から子への母子感染です。

1. どうやってうつるのか

生まれたばかりの子供には歯がないですし、口内に歯周病菌も存在していません。
このため、うつるきっかけとなるのは母の口内に存在する歯周病菌になります。
唾液を通じてうつるため、口移しによる食事や、スプーンなどの食器の共有が主な原因です。

最も、これらの行為で必ずうつるというわけではないものの、
母親が歯周病菌を多く持っているほど、当然感染するリスクも高くなるのです。
その意味でも、母親は常に口内を清潔に保つ必要があるため、従来以上に口内への気配りが必要です。

2. 自覚症状のなさが厄介

歯周病の厄介なところは自覚症状がない点です。
このため、実際に母親が歯周病だったとしても、そのことに本人が気付かないケースが多いのです。
また、歯周病は歯の隙間に溜まったプラークや歯石内の細菌が発病の元になります。

つまり、虫歯のように歯に穴が空くような目立つ異変が起こらないわけで、
健康だと思っている人が実は歯周病になっていたというケースは珍しくないのです。
実際に、日本の成人の約7割が歯周病になっていると言われています。

3. 歯周病は感染症

歯周病と聞くと、歯を失うイメージから年配の人が患う病気だと思っている人がいます。
しかし、歯周病が起こるきっかけは老化ではないのです。
歯と歯茎の間にあるプラークや歯石、これらの中には億単位の細菌が潜んでいます。

そして、そんな細菌の毒素がきっかけで歯周病が引き起こされるのです。
つまり、歯周病には年齢は関係ないですし、上記で説明したように感染症なのでうつります。
このため、例え10代や20代の母だとしても、子供にうつってしまう可能性があることは変わらないのです。

4. 妊娠中も注意が必要

歯周病は母から子にうつりますが、出産前の歯周病にも問題があります。
歯周病が悪化することで炎症を引き起こす物質が発生しますが、この物質が胎盤を刺激するからです。
この場合、早産や低体重児出産のリスクが伴ってしまい、これは実際にデータで明らかになっています。

また、厄介なことに妊娠中の女性は歯周病になりやすい特徴があります。
出産後は子供にうつり、出産前でも胎児に悪影響を及ぼしてしまうわけですから、
女性は母になる未来が約束された時点で、歯周病対策を万全に行わなければならないのです。

5. 歯周病対策

基本となるのは言うまでもなく毎日のブラッシングですが、それだけでは不充分です。
歯周病は自覚症状がないですし、進行していなければ見た目でも分かりません。
このため、実際に歯周病が引き起こされたとしてもそれに気付きにくいのです。
このため、自身の力だけで歯周病を完全に予防することは困難です。

子供がいる女性は歯科医院で定期検診を受けて徹底予防するべきですし、
妊娠中の女性もやはり歯科医院で口腔内検査を受けるべきでしょう。
ちなみに、口腔内検査は妊娠中の女性でも安心して受けられます。
歯科医院に通っていれば、例え歯周病が発覚しても早期発見と早期治療が可能です。

6. 虫歯もうつる

同じ口内の病気で言えば、歯周病と同じくらい一般的なのが虫歯です。
そして、虫歯もまた虫歯菌という菌から引き起こされるため、歯周病同様にうつります。
特に、子供に乳歯の奥歯が生える1歳半から3歳頃は最も感染のリスクが高くなるのです。

虫歯も母親の唾液を通じて子供に感染しますし、
母親は歯周病だけでなく虫歯にも注意する必要があるのです。
まとめて言うなら、口内全ての健康を保たなければなりません。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、歯周病は母子感染するのかについてまとめます。

  1. どうやってうつるのか :唾液でうつるため、口移しの食事や食器の共用が要因になる
  2. 自覚症状のなさが厄介 :歯周病は痛みなどの自覚症状がないため、発病に気付きにくい
  3. 歯周病は感染症 :歯周病がうつるのは、歯周病は細菌によって引き起こされる感染症だから
  4. 妊娠中も注意が必要 :妊娠中の歯周病は早産や低体重児出産のリスクが発生する
  5. 歯周病対策 :自身のケアだけでは不充分。歯科医院の定期検診や口腔内検査で予防するべき
  6. 虫歯もうつる :歯周病だけでなく虫歯もうつる。このため、母親は口内全体の健康維持が必要

これら6つのことから、歯周病は母子感染するのかが分かります。
多くの人が歯周病に間違った知識を持っています。
歯周病は年配の人だけの病気、歯の病気だから人にはうつらない、これはどちらも間違いです。

また、今自分の歯が健康だと思っている人は、痛みが一切ないというのをその根拠にしていませんか?
しかし、歯周病には自覚症状がないため、実際に引き起こされても自身に違和感はありません。
このため、もしかするとあなたも歯周病になっている可能性があるのです。
特に、子供がいる女性は妊娠中も出産後も歯周病に警戒する必要があるのです。