虫歯のない人が歯周病になることはあるのでしょうか? blog

2016.09.30

口内の病気と言えば、誰もが真っ先に想像するのが虫歯です。
そのせいか、虫歯がなければ口内が健康というイメージを持つ人が多くいます。
しかし、本当にそうなのでしょうか。例えば、口内の病気で虫歯と同じくらい有名な歯周病で考えてみましょう。
虫歯ないという時点で歯周病にもなっていない、そう言い切ることができるのかを説明していきます。

1. 虫歯は歯の病気

虫歯は文字どおり歯の病気です。
プラークや歯石に含まれる虫歯菌が酸を出し、歯を溶かしてしまうことで虫歯が発生します。
ちなみに、この虫歯菌は糖を好むという特徴を持っています。

大好きな糖を摂取することで酸を出し、その酸が虫歯にさせてしまうのです。
甘いものを食べると虫歯になりやすいと言いますが、
それはこの虫歯菌の特徴から言われていることなのです。

2. 歯周病は歯茎の病気

一方、歯周病もプラークや歯石や含まれる菌によって発生します。
その点では虫歯と同じですが、肝心の菌は虫歯菌とは別物です。
歯周病を引き起こすのは歯周病菌であり、虫歯菌とは別の菌なのです。

また、歯周病は歯ではなく歯茎の病気です。
歯と歯茎の間に歯周ポケットという隙間を生み、歯の根の骨を溶かしてしまうのが歯周病の特徴です。
つまり、虫歯と歯周病は全く別の病気であり、虫歯がないからといって歯周病にならないとは限らないのです。

3. 予防方法

虫歯と歯周病の共通点の一つを挙げるなら、その予防方法です。
どちらもブラッシングでプラークを除去することが基本となります。
この予防方法が同じだという点で、今回のテーマのような勘違いをしてしまうのです。
と言うのも、虫歯がないということでしっかりとプラークを除去できていると考えます。

そして、プラークを除去できているということで歯周病も予防できていると考えてしまうのです。
確かに予防方法は同じですが、それぞれが異なる病気で異なる菌から引き起こされる以上、
どちらか一方だけの症状を引き起こしてしまう可能性は充分にあるのです。
つまり、虫歯はなくても歯周病になる可能性はありますし、その逆もまたあり得るわけです。

4. 歯石の問題

虫歯菌も歯周病菌もプラークや歯石に含まれている菌です。
と言うことは、プラークや歯石を完全に除去できていれば、確かにどちらも病気も防げます。
しかし、現実的に考えるとそれには無理があります。
まず、プラークを完全にできるのかという問題です。

歯の表面のヌルヌルがプラークなわけですが、目に見えないことを全て除去するのは難しいですし、
口内全てのプラークをブラッシングで全て除去することは、普通に考えるとまず不可能です。
また、プラークはともかく歯石に至ってはブラッシングで除去することはできません。
それはつまり、ブラッシングだけではどちらも完全には予防できないということになります。

5. 定期検診を受けるべき

虫歯と歯周病を完全に予防するなら、歯科医院で定期検診を受けるのが一番です。
歯科医院の存在価値は治療のためだけではなく、予防のためでもあるのです。
ちなみに、上記で説明した歯石も歯科医院のクリーニングなら除去することができます。

定期的に口内をクリーニング、チェックしてもらうことでこの上ない予防策になりますし、
仮に虫歯や歯周病を引き起こしても自覚症状のない初期段階で発見することが可能です。
また、ブラッシング効果をより高めるための、正しい歯磨き方法の指導も受けられるのです。

6. 恋人や家族を持つ人へ

虫歯や歯周病は、唾液を介して人にうつります。
つまり、あなたがいくら予防を徹底していても、家族や恋人が予防をおろそかにしていれば、
キスや食器の共用などによってうつされてしまう可能性があるのです。

当然逆のパターンもあり得るわけで、家族や恋人が予防を徹底していても、
あなたが予防をおろそかにしていることで、家族や恋人に余計な病気をうつすことになるのです。
その意味では、恋人や家族同士で一緒に歯科医院で定期検診を受けるのが理想です。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、虫歯のない人が歯周病になることはあるのかについてまとめます。

  1. 虫歯は歯の病気 :虫歯は虫歯菌が出す酸によって歯が溶ける、すなわち歯の病気
  2. 歯周病は歯茎の病気 :歯周病は歯周ポケットを作って歯の根の骨を溶かす、すなわち歯茎の病気
  3. 予防方法 :予防方法はどちらも同じで、プラークや歯石を除去することが予防になる
  4. 歯石の問題 :歯石は石灰化しているため、いくらブラッシングしても除去できない
  5. 定期検診を受けるべき :歯科医院の定期検診を受ければ、クリーニングで歯石も除去できる
  6. 恋人や家族を持つ人へ :虫歯や歯周病は唾液を介して人にうつる

これら6つのことから、虫歯のない人が歯周病になることはあるのかが分かります。
ここで説明してきたとおり二つの病気は全くの別物ですし、
全くの別物である以上は虫歯がなくても歯周病になることはあるのです。

どちらも完全に予防するにはプラークや歯石の完全な除去が必要です。
そして、そのためには歯科医院で定期検診を受けることが欠かせないのです。
歯科医院の定期検診を受ければ予防はもちろん、症状の早期発見と早期治療も可能になるのです。