初期段階だろうと進行していようと、虫歯の治療方法は基本的に同じですか? blog

2016.11.15

病気の治療というのは、同じ病名でも症状が進行するほど治療も大掛かりでつらいものになってきます。
例えば、軽い風邪であれば飲み薬だけで治っても、悪化して高熱が出れば注射が必要になりますし、
場合によっては入院しなければならなくなります。ちなみに、これは歯科の世界でも同じです。

同じ虫歯でも初期段階と進行している状態とでは治療内容が全く異なり、
言うまでもなく進行している状態の方が大掛かりでつらい治療になるのです。
では、実際に治療内容がどこまで違うのかを分かりやすく説明していきます。

1. 虫歯の段階

歯科医が歯を見ながら「C1、C0」などと言っているのが気になったという人もいるかもしれませんが、
それこそが虫歯の段階を示すものです。具体的には、C0、C1、C2、C3、C4の5段階で分けられています。

イメージできると思いますが、数字が高くなるほど虫歯が進行していることになり、
最も症状として重いのがC4です。また、C0は厳密に言えば虫歯ではなく虫歯になりかけの状態です。
この5段階の進行度によって、治療内容は全く変わってくるのです。

2. C0の場合

虫歯になりかけのこの状態なら、削らずに自然に治すことも可能です。
歯科医院でフッ素を塗って歯にミネラルを与えます。そうすることで歯の再石灰化を促し、
虫歯になりかけの状態を改善することができるのです。

市販のフッ素配合の歯磨き粉でも対処できますが、歯科医院でなら濃度のフッ素治療が可能です。
もちろん、虫歯になりかけである以上、健康な歯に比べると危険な状態であることに変わりはないため、
その後のケアは歯科医院で定期検診を受けて確実に行うことが大切です。

3. C1の場合

歯に小さな穴が空いており、歯の表面が黒く変色した状態です。
虫歯菌が歯の表面のエナメル質にまでしか達していないため、この段階で痛みを感じることはありません。
とは言え、虫歯には変わらないため削って治療することが必要になります。

最も、削ると言っても虫歯になった部分までしか削らないため、削る際もやはり痛みはありません。
「削って詰め物で対処する」という、多くの人が虫歯治療でイメージする流れそのものになります。
虫歯の症状としては軽度なので、この時点なら治療期間も短くてすみます。

4. C2の場合

虫歯菌が象牙質にまで達することで、「痛み」という確実な自覚症状があります。
このため、ほとんどの人がこの時点で虫歯に気付いて歯科医院に行きます。
治療としてはC1同様に「削って詰め物で対処する」が基本になるものの、削る範囲は深くなります。

虫歯菌が象牙質にまで達しているため、削った際にも痛みを感じるのが難点です。
しかし、最近では虫歯治療の技術も向上しているため、痛まない治療も実践されています。
薬剤の使用や殺菌などを行う治療法により、痛みの少ない治療が可能になっています。

5. C3の場合

神経が侵された状態であり、ここまでになると何もしなくても激痛を感じます。
この段階になってしまうと治療も大掛かりなものになり、神経の除去が必要なケースもあります。
また、神経の治療でもある「根管治療」は治療としても難易度が高く、痛くてつらいものになります。

こんな言い方をすると怖くなってしまうかもしれませんが、
虫歯を放置しなければここまでの段階に至ってしまうことはまずありません。
なぜなら、C2の段階で確実に自覚症状がありますし、その時点で気付くことができるからです。

6. C4の場合

この段階になってしまうと、歯はボロボロになっていてほとんど元の形を失っています。
治療も困難になり、場合によっては治療不可で抜歯しなければなりません。
状態によっては被せ物を使って対処できるものの、それも確実とは言えません。

抜歯することで当然歯を失ってしまうため、その後はブリッジや入れ歯やインプラントなどで対処します。
最も、治療不可といっても放置してしまえば虫歯菌が全身に回る危険性があるため、
例え歯が残せなくても歯科医院で治療を受ける必要があります。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、初期段階だろうと進行していようと虫歯治療は同じなのかについてまとめます。

  1. 虫歯の段階 :進行に応じてC0からC4までの5段階に分けられる。C0が最も軽く、C4が最も重い
  2. C0の場合 :削らずにフッ素だけで治療が可能。ただし、その後のケアは万全に行う必要がある
  3. C1の場合 :削って詰め物で対処するが、削る範囲は歯の表面程度なので痛みはない
  4. C2の場合 :削って詰め物で対処するが、虫歯菌が象牙質に達しているため、削る際に痛みがある
  5. C3の場合 :神経まで侵されており、根管治療が必要。放置さえしなければここまでには至らない
  6. C4の場合 :治療不可で歯が残せない可能性がある。抜歯後はブリッジや入れ歯などで対処

これら6つのことから、初期段階だろうと進行していようと虫歯治療は同じなのかが分かります。
虫歯治療は進行度によって治療内容が全く異なります。
最も軽ければ削らずに治療も可能ですが、最も重いと治療不可に至ることもあるのです。
遅くても、自覚症状のあるC2の時点で治療を受けなければ、最終的につらい治療が必要になってしまいます。