インプラントの治療期間はどのくらいですか? blog

2016.12.08

失った歯を取り戻せるインプラント治療は、従来の入れ歯と比較して多くのメリットがあります。
しかし、逆にデメリットがあるのも事実であり、例えば治療期間が長いのも一つのデメリットになります。
特に、遠方からの通院や仕事が忙しい患者さんは、治療期間の長さが最も気になる点だと思います。
そこで、ここではインプラントの治療期間がどのくらいなのかについて説明します。

インプラントの治療期間

一概に治療期間を断言することはできませんが、平均でいうなら3ヶ月~10ヶ月ほどになります。
3ヶ月と10ヶ月では半年以上も差がありますが、ここまでまばらになってしまうのには理由があります。
それは治療の中で定着期間が必要になるからです。インプラント治療では基本的に2度の手術を行います。
1度目の手術でインプラントを埋め込んだ後、インプラントと顎の骨がしっかり結合するために期間を空けます。

これが定着期間であり、しっかりと結合が確認された後に2度目の手術を行います。
問題は定着期間には個人差があり、必ずしも一定の期間ではないということです。
これも平均でいうなら3ヶ月~6ヶ月ほどになり、この定着期間の長さが治療期間に影響してくるのです。
つまり定着期間が長いが短いかで、治療期間が長くも短くもなるのです。

骨の状態次第で治療期間は長くなる

インプラント治療は顎の骨の状態が治療の可否の判断基準になります。
例えば、インプラントを入れる部分の骨が足りなければ、安全上の理由でインプラント治療はできません。
最も、医療技術も進歩しているため、単純に治療不可で断られてしまうことにはなりません。
人工の骨を入れるなど、インプラント治療をできるようにするための対処もできるのです。

ただし、こうした全く別の治療をすることは治療期間の長さにも影響してきます。
骨造成や骨移植などを行った場合、従来のインプラント治療に比べて治療期間が長くなるのです。
ちなみに、インプラント治療にあたってその患者さんが骨造成や骨移植が必要かどうか、
それは治療前の精密検査で分かります。

治療後も通院が必要

インプラント治療の場合、治療が終わっても通院が必要になります。
このため、「治療期間=通院する期間」とだけ考えてしまうのは間違います。
インプラント治療後は定期的にメンテナンスを行うため、そのための通院が必要です。
ただし、これは頻繁に通院するわけではなく、理想でいうなら3ヶ月に1回ほどの割合です。

患者さんとしては治療を終えているということで、例え3ヶ月に1回の通院でも面倒に感じるかもしれません。
しかし、メンテナンスはインプラントを長持ちさせるために必要なことですし、
単にインプラントの調整だけでなく虫歯や歯周病予防のためでもあるのです。
特にインプラント治療後の歯周病には要注意で、歯周病はインプラントが抜け落ちる要因になり得ます。

一回法の検討

インプラント治療では、基本的に2度の手術を行います。
「基本的に」と付けたのは、1回の手術で終える一回法という治療方法もあるからです。
まとめると、インプラント治療では1度の手術だけで治療する方法を一回法、
従来どおり2度の手術を行って治療する方法と二回法と呼んでいます。

そして、治療期間で考えるなら一回法だと治療期間が若干短くなるのです。
ただし、格段に短くなるわけではないですし、単に治療期間の差でどちらかを決めるのはおすすめできません。
と言うのも、一回法と二回法ではそれぞれ独自の特徴や注意点があるからで、
これらの特徴や注意点、全てを把握して考慮した上でどちらの治療にするかを決めるべきでしょう。

治療期間だけに捉われない

治療期間が短い方がいいというのは患者さんの心理として当然です。
しかし、歯科医の立場からするとそれだけでインプラント治療を決めるのはリスクを伴います。
インプラント治療は歯科治療の中でも手術を必要とした大掛かりな治療です。
だからこそ、安全性を最優先した治療を心掛けています。

仮に治療期間の短さを謳う歯科医院があったとして、
治療期間だけにこだわる患者さんにはそれが魅力に感じるかもしれません。
しかし精密検査を疎かにするなど、治療を省くことでの治療期間の短縮ならそれは安全性に関わります。
治療期間を考えることも大切ですが、それだけを基準した歯科医院は選びはしない方がいいでしょう。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、インプラントの治療期間はどのくらいなのかについてまとめます。

  1. インプラントの治療期間 :平均で3ヶ月~10ヶ月。手術後の定着期間がまばらなのでここまで差が出る
  2. 骨の状態次第で治療期間は長くなる :骨移植や骨造成などを行うことで治療期間が長くなる
  3. 治療後も通院が必要 :治療が終わっても一定期間ごとにメンテナンスのための通院が必要
  4. 一回法の検討 :一回法は手術が1度ですむため、二回法に比べて治療期間が少し短くなる
  5. 治療期間だけに捉われない :治療期間の短さだけで歯科医院を選ぶのは安全性に関わる

これら5つのことから、インプラントの治療期間はどのくらいなのかが分かります。
インプラント治療は確かに治療期間が長いですが、だからといって頻繁に通院するわけではありません。
治療期間が長くなる理由の主は定着期間があるからで、それぞれの治療において日数は掛かりません。
ただし、長期間の通院が必要になることは確かです。このため、治療する歯科医院を決める時は、
そこに長期間通えるかどうかも歯科医院選びの判断基準にするべきです。