インプラントの後、顎の骨が少なくなってきた気がします blog

2017.02.02

杉並区の歯医者さん、浜田山おとなこども歯科・矯正歯科です。今回のテーマは「インプラント後の顎の骨」です。
インプラントは、顎の骨に人工の歯の根を埋め込むこと手術を行います。
これによって天然の歯同様の安定性を維持できるのですが、この顎の骨に違和感を覚える人もいるのです。

と言うのも、治療後に顎の骨が少なくなったと感じるという意見を聞くことがあるのです。
もちろんそれは錯覚ではなく、骨のある性質が原因になっています。
ここでは、インプラント後に顎の骨が少なくなったと感じるケースについて説明していきます。

1. 骨吸収

顎の骨の中には歯槽骨という骨があり、言わばここは歯の根が埋まっている箇所に該当します。
この歯槽骨は加齢などが原因で吸収してしまうのですが、インプラント周囲の顎の骨にも例外なく起こります。
さらに言えば過重負担や感染などが起こると、骨吸収を起こすスピードはさらに加速します。

このようにインプラント周囲の顎の骨が吸収することで、顎の骨が少なくなったと感じるようになるのです。
ちなみに、この時の吸収の度合いによっては同じ箇所にインプラントを施すのが不可能になることもあり、
こうした骨吸収をいかに抑えるかがインプラント治療の現状の課題にもなっているのです。

2. インプラントで骨吸収が起こる理由

骨吸収は歯を失うことなどでも起こりますが、インプラントの影響によって起こることもあります。
その理由の1つとして、インプラントは天然の歯に比べてプラークが増殖しやすいことが挙げられます。
プラークが付着することで生理活性物質が作り出されるのですが、
生理活性物質はその名のとおり生体の生理活動に何らかの作用をもたらします。

この生理活性物質の影響によって骨吸収が起こりやすくなりますし、
それ以外にもアバットメントの装着時に骨吸収が見られることも明らかになっています。
また、インプラントは歯根膜がないために咬合した時の衝撃がダメージとなることもあります。
いわゆる咬合性外傷と呼ばれるもので、このダメージが逃れる際にも歯槽骨が吸収を起こします。

3. インプラント脱落の可能性

テーマのように、顎の骨が少なくなったような気がする程度であればともかく、
それを放置して骨吸収が進行してしまうと今度はインプラントが脱落する可能性もあります。
何しろインプラントは天然の歯と違うため、噛んだ時の衝撃を調節する歯根膜がありません。
このため噛んだ時の力、つまり咬合力が過剰な強さになることでそれがインプラント脱落を招くのです。

また、骨吸収が起こる原因は過剰な咬合力だけではありません。
インプラントは天然の歯同様に歯周病になり得ますが、インプラントの歯周病をインプラント周囲炎と呼びます。
このインプラント周囲炎もまた骨吸収を引き起こすため、インプラント脱落の原因になります。

4. インプラントの残存率

こうした説明をすると、インプラントが長持ちせずに脱落してしまうイメージを受けるでしょう。
確かに骨吸収で脱落の危険性はありますが、だからといってインプラントが長持ちしないわけではありません。
実際にインプラントの残存率は9割以上の割合で10年以上となっており、入れ歯やブリッジ以上に長持ちします。

最も、インプラントが長持ちするか脱落するかは運などではなく、日常生活の過ごし方が強く関わっています。
特に治療後のメンテナンスが重要で、これを疎かにすると骨吸収などの問題を次々と引き起こすでしょう。
メンテナンスは噛み合わせの調整を含め、こうしたインプラントが原因での口の中の異常を予防できるのです。

5. 歯科医院選びの重要性

インプラントして間もなく骨吸収が起こってインプラントがダメになった場合、
それはインプラント治療失敗ということになります。
歯周病などが原因で起こり得る問題ですし、その点で考えれば歯科医に責任がないように思えます。

しかし、この場合の最大の問題は歯周病があったにも関わらずインプラント治療を行ったことにあります。
つまり、歯科医が歯周病を見逃したことがインプラント治療失敗の最大の要因です。
その意味でも、インプラント治療をする際の歯科医院選びがいかに重要か分かります。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、インプラント後の顎の骨についてまとめます。

  1. 骨吸収 :インプラントの周囲の骨が骨吸収することもあり、顎の骨が少なくなって感じるのはそれが原因
  2. インプラントで骨吸収が起こる理由 :天然の歯よりプラークが増殖しやすく、咬合力のダメージも影響
  3. インプラント脱落の可能性 :骨吸収は顎の骨が少なくなって感じるだけでなく、インプラント脱落も招く
  4. インプラントの残存率 :実際にはインプラントの残存率は高く、メンテナンスを怠らなければ10年以上もつ
  5. 歯科医院選びの重要性 :インプラント治療失敗を防ぐには信頼できる歯科医院を選ぶことが大切

これら5つのことから、インプラント後の顎の骨について分かります。
顎の骨が少なく感じるのは骨吸収していることが原因だと考えられます。
こうした感覚は進行することで思わぬ事態を招くことがあるため、
例えささいな違和感だとしても歯科医院で相談することが大切ですし、メンテナンス時には必ず伝えましょう。