歯医者の診療科目に「予防歯科」がありますが、何を治療するのですか? blog

2017.04.13

杉並区の歯医者さん、浜田山おとなこども歯科・矯正歯科です。今回のテーマは「予防歯科の治療内容」です。
歯科医院の中には、診療科目の中に「予防歯科」を設けているところもあります。
歯科医院の治療は症状を治すための治療が主ですが、予防歯科では文字どおり予防のための治療を行います。

具体的には、虫歯や歯周病を未然に防ぐための治療を行うのです。
最も、それなら歯磨きをすればいいと思う人もいるかもしれませんが、
実際にはそれだけで虫歯や歯周病を予防するのは難しく、徹底予防には予防歯科での治療が必要不可欠です。

1. 歯磨きだけでは予防が難しい理由

虫歯や歯周病の要因となる細菌はプラークに潜んでいるため、それを全て除去できれば予防は可能です。
またプラークは歯磨きで除去できるため、これらの点で考えれば一見歯磨きだけで充分予防可能に思えます。
しかし、現実的に考えてそれはまず不可能であり、以下の説明がその理由です。

  • 目に見えないプラークを歯磨きするたびに常に全て除去するのは難しい
  • プラークが残れば歯石になり、一旦歯石になると歯磨きでは除去できない
  • デンタルフロスや歯間ブラシを使用してもプラーク除去率は8割程度が限度とされている

…このような理由から、歯磨きだけで虫歯や歯周病を完全に予防するのは難しいのです。
磨き残しがあった時点で虫歯や歯周病のリスクが発生するわけですからね。
そんな虫歯や歯周病の予防に効果的なのが予防歯科の治療です。
ではここで、予防歯科の治療内容がどんなものなのかを説明していきます。

2. 虫歯や歯周病の検査

いくら予防歯科とは言え、お口の中を全く見ないわけではありません。
何しろ既に虫歯や歯周病が起こっている可能性もあるわけですから、まずはそれがないかをチェックします。
特に虫歯も歯周病も本当の初期段階では自覚症状がほとんどなく、見た目からも分かりません。

しかし、予防歯科で検査すればそんな初期段階の虫歯や歯周病を早期発見できます。
いくら怖い虫歯や歯周病も初期段階なら容易に治療できますし、治療内容も簡単なものですみます。
特に虫歯に至っては、痛みのない初期段階で発見できれば削らずに治療することも可能です。

3. 唾液の検査

唾液を検査することで、その人が虫歯か歯周病かどちらになりやすいかが分かります。
そうすることで、その人にどんな予防治療が必要なのかを知ることができるのです。
もちろん検査の結果は聞くことができるため、自分が虫歯や歯周病になりやすいことを自覚できます。

もし虫歯になりやすいことが発覚すれば虫歯予防をメインに行うわけで、
その人にとって最も効果のある予防治療を受けることができるのです。
また、自分でなりやすい病気を自覚することは、予防意識を高める点でもプラス効果があります。

4. フッ素の塗布

虫歯予防にフッ素が効果的なのは一般知識化しつつあり、ほとんどの歯磨き粉にフッ素が含まれています。
そして、予防歯科の治療においても定期的にフッ素を塗布します。
そんなフッ素ですが、「虫歯予防に効果的と聞いたけど理由は知らない」という人も多いと思います。

そこで、フッ素で得られる効果を改めて説明しておきます。まず虫歯菌の働きを抑制する効果があり、
歯を溶かすための酸を作りにくくするのです。さらに歯質を強化して酸に溶かされにくい歯を作ります。
要するに、フッ素はお口の中を虫歯になりにくい環境にする効果があるのです。

5. PMTCとSRP

分かりやすく言うと「PMTC=歯のクリーニング」であり、「SRP=歯石の除去」です。
PMTCは一見歯磨きと同じように思えますが、専用器具を使ってバイオフィルムを除去できます。
バイオフィルムは歯の表面に付着した細菌の塊で、お風呂場のぬめりのようなものとイメージしてください。

これは本来歯磨きでは除去できないのですが、PMTCを行うことで綺麗に除去できます。
また、SRPと呼ばれる歯石の除去ですが、歯石も歯磨きでは除去できないのです。
歯磨きで対応しきれないバイオフィルムと歯石を除去することで、お口の中を格段に綺麗にできます。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、予防歯科の治療内容についてまとめます。

  1. 歯磨きだけでは予防が難しい理由 :例えデンタルフロスを使ったとしても必ず磨き残しが発生する
  2. 虫歯や歯周病の検査 :まだ自覚症状もないほど初期段階の虫歯や歯周病を発見できる
  3. 唾液の検査 :虫歯へのなりやすさなどが分かり、それに応じた効果的な予防治療ができる
  4. フッ素の塗布 :定期的にフッ素を塗布することで、虫歯になりにくい環境作りができる
  5. PMTCとSRP :歯磨きでは対応できない汚れを除去する、言わばお口のクリーニング

これら5つのことから、予防歯科の治療内容が分かります。
予防歯科ではこれらを組み合わせた治療を行います。
また、歯磨きの仕方を指導してもらうこともできるため、自身のブラッシング技術を高めることもできます。
お口の病気を治すためではなく、お口の健康を守るためにも定期的に予防歯科を利用しましょう。