そもそもなぜ虫歯になると歯が痛くなるのですか blog

2017.11.17

杉並区の歯医者さん、浜田山おとなこども歯科・矯正歯科です。
今回のテーマは「虫歯になると歯が痛くなる理由」です。
歯科医院に行った時、痛みもないのに虫歯だと診断された経験のある人も多いと思います。

そんな時、思わず診断が間違っているのではないかと思ってしまいますよね。
なぜなら、ほとんどの人が「虫歯=歯が痛む」という認識を持っているため、
逆に歯が痛まない場合は虫歯にかかっているとは想像できないからです。

さて、このように虫歯で痛む場合と痛まない場合がある理由についてですが、
それはそもそもなぜ虫歯になると歯が痛むのか?…その答えを知ることで分かります。

歯の構造

歯の構造を簡単に説明すると、歯の表面にはエナメル質があり、その奥に象牙質、さらに奥に神経があります。
神経に近い象牙質は刺激に敏感で、虫歯の痛みはもちろんのこと、
例え虫歯でなくても温度差やちょっとした刺激で痛みやしみを感じるようになっています。

では普段の生活の中でなぜ痛みを感じないのか?…それは表面のエナメル質のおかげです。
歯の表面にあるエナメル質が象牙質を刺激から保護しているため、普段痛みを感じずにすむのです。
逆に言えば、エナメル質が失った歯は象牙質が剥き出しになり、ちょっとした刺激でも痛みを感じてしまいます。

歯の表面にはエナメル質があり、その奥には象牙質、さらに奥には神経がある
神経に近い象牙質は刺激に対して敏感
エナメル質によって象牙質が刺激から保護されている

…まとめるとこのような状態になっており、この3つのことが虫歯で歯が痛む理由に関係してきます。

虫歯とエナメル質

今度は虫歯について説明していきます。虫歯は歯の病気でどの歯も虫歯になり得ますが、
1つ共通しているのは「虫歯は最初、歯の表面にできる」ということです。
つまり、歯の奥にある象牙質に突如虫歯ができるということは絶対にないのです。

さて、歯の表面にはエナメル質がありますから、最初はエナメル質が虫歯に侵されるということになります。
ただエナメル質は象牙質のように刺激に敏感ではないですから、
例え虫歯になったとしてもこの時点で痛むことはありません。

つまり、初期段階の虫歯はエナメル質だけが虫歯に侵された状態であるため、痛みはないのです。
冒頭で触れた「痛みがないのに虫歯と診断された」というのは、この状態の虫歯を意味しているのです。

虫歯の進行と象牙質

初期段階のエナメル質が虫歯に侵された状態なら痛みは感じませんが、進行すれば話は別です。
知ってのとおり虫歯になると歯に穴があき、進行することで穴はどんどん深くなっていきますね。
そして、エナメル質の奥には象牙質があり、象牙質は刺激に対して非常に敏感です。

進行することで虫歯の穴はやがて象牙質に到達し、
この状態になってしまうとエナメル質の保護が行き届かず、痛みを感じるようになってしまいます。
では少し話を変えて、ここで冷たい水を飲んだとしましょう。

象牙質は冷たさや熱さも刺激となって痛みやしみを感じます。
そして、虫歯が象牙質まで到達すると患部はエナメル質の保護が失われているため、
冷たい水が象牙質への刺激となって痛みやしみを感じてしまうのです。

虫歯になると冷たいものや熱いものの飲食で歯が痛むのは、これが理由になっています。

痛みの変化と神経

虫歯の痛みを感じつつも放置すると、痛みは激痛へと変化します。
こうなると常に歯がズキズキと痛むようになり、夜も眠れないほどの痛みを感じます。
ではなぜ虫歯の痛みはこのように変化するのでしょうか。

その理由に関係してくるのが神経です。歯の神経のことを歯髄と呼びますが、
虫歯がさらに進行すると象牙質の奥にある歯髄まで到達します。
その影響で神経が炎症を起こしてしまうため、痛みどころか激痛を感じるようになるのです。

ここまで虫歯が進行してしまうと、
多くの人がイメージしている「歯を削って詰め物を入れる」だけでは治すことができません。
細菌に感染した神経を除去して根管を清掃・消毒する根管治療が必要になってきます。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、虫歯になると歯が痛くなる理由についてまとめます。

1. 歯の構造 :表面はエナメル質で覆われており、その奥に象牙質、さらに奥には神経がある
2. 虫歯とエナメル質 :最初はエナメル質が虫歯に侵されるが、エナメル質は刺激を感じないので痛くない
3. 虫歯の進行と象牙質 :象牙質は刺激に敏感なので、そこまで虫歯が進行すると痛みを感じるようになる
4. 痛みの変化と神経 :さらに虫歯が進行すると歯の神経まで虫歯に侵され、痛みは激痛に変化する

これら4つのことから、虫歯になると歯が痛くなる理由が分かります。
虫歯で歯が痛むのは、歯の奥にある象牙質まで虫歯に侵されてしまうためです。
逆に言えば、象牙質まで進行していない虫歯では痛みを感じないのです。

つまり、痛くないのに虫歯だと診断された場合は虫歯がまだ象牙質まで進行しておらず、
言わば初期段階の虫歯だと考えられます。その場合は本当に虫歯なのかと疑うのではなく、
痛む前の初期段階で虫歯を発見できたのだとプラスに捉えるべきでしょう。