「歯肉炎」と「歯周病」は何が違うのですか? blog

2018.05.28

杉並区の歯医者さん、浜田山おとなこども歯科・矯正歯科です。
今回のテーマは「歯肉炎と歯周病について」です。
まず今回の質問である「歯肉炎と歯周病の違い」ですが、これらに違いはありません。

呼び方が違うだけで全く同じ病気であり、つまり歯肉炎イコール歯周病ということになります。
では、同じ病気なのになぜ呼び方が違うのでしょうか。
実は歯周病の場合、歯肉炎に限らず別の病名で表現することがあるのです。

「歯周病=歯肉炎」の理由

歯周病は進行度によって初期段階、中期段階、重度段階の3段階に分けられていますが、
実際には全てひっくるめて「歯周病」と呼び、わざわざ段階をつけて呼ぶことはありません。
ちなみに以前は歯周病という病名を使用していなかったため、それぞれの段階ごとで病名がついていました。

そして初期段階の歯周病のことを、以前は歯肉炎と呼んでいたのです。
つまり、同じ病気なのに歯周病や歯肉炎という呼び方の違いがあることに深い意味はありません。
敢えて言うなら、今の呼び方と昔の呼び方の違いと言ったところでしょうか。

<子供も歯周病になる?>
小学校や中学校の歯科検診で、「歯肉炎」と診断される子がいますよね。
「歯肉炎=歯周病」という点から、その子は歯周病…正確には初期段階の歯周病ということになります。
歯周病が高齢の人だけに起こる病気だと思っていた人は、この事実に驚いたことでしょう。

実は歯周病は年齢関係なく起こる病気で、正確には歯と歯肉があれば誰にでも起こり得るのです。
最も、代謝が活発な点から子供が重度段階の歯周病…つまり歯槽膿漏になることはないでしょうが、
初期段階の歯周病である歯肉炎になる可能性は充分あり、実際に歯周病の低年齢化が問題視されています。

中期段階や重度段階の歯周病の呼び方

昔は歯周病という病名を使わなかったため、初期段階の歯周病のことを歯肉炎と呼んでいました。
このため、当時は中期段階や重度段階の歯周病も別名で呼んでおり、中期段階の歯周病を歯周炎、
重度段階の歯周病を歯槽膿漏と呼んでいました。まとめると、次のようになります。

・初期段階の歯周病=歯肉炎
・中期段階の歯周病=歯周炎
・重度段階の歯周病=歯槽膿漏

…歯槽膿漏は今でも使うことがある病名なので、聞き覚えのある人も多いと思います。
つまり、歯科医院で歯槽膿漏と診断された場合、それは重度の歯周病だということです。

「歯肉炎」、「歯周炎」、「歯槽膿漏」と呼ぶ歯科医の意図

歯肉炎も歯周炎も歯槽膿漏も昔の呼び方で、今は全てまとめて歯周病と呼んでいます。
しかし、歯科医によっては今でも昔の呼び方を使いますが、これはなぜなのでしょうか。
もちろん、正確な理由はその歯科医に聞かないことには分かりません。

歯科医としての経験が長く、習慣から昔の呼び方をしている可能性もあるでしょう。
また、そうではなく患者さんに危機感を持ってもらうため、敢えて昔の呼び方をする歯科医もいます。
特に歯槽膿漏は「膿みが漏れる」という漢字にインパクトがありますからね。

また、歯肉炎や歯周炎の「炎」も炎症を連想するため、やはり歯周病と呼ぶよりインパクトがあるでしょう。
歯周病は虫歯のような辛いはなく、そのため歯周病という病気を軽視する人が少なくありません。
だからこそ敢えて昔の呼び方を使い、歯周病の怖さを知ってもらいたいという意図もあると考えられます。

歯周病の予防意識を高めよう

「歯肉炎=歯周病」である以上、歯周病は子供でもなる病気であることが分かります。
このため、これまで歯周病は高齢の人だけに起こる病気だと思っていた人は、
この機に歯周病を身近なものと考えて予防意識を高めてください。そこで、歯周病の予防方法をお伝えします。

・精度の高い歯磨きをする
歯周病予防の基本は歯磨きですが、磨き残しが多ければ予防効果は半減します。
そこで、ただ磨くだけでなく精度の高い歯磨きをしてください。
歯間ブラシやデンタルフロスの使用、さらには定期検診でブラッシング指導を受けることが効果的です。

・定期検診を受ける
歯科医院で定期検診を受ければ、口の中のクリーニングなどを行うため予防効果が高まります。
また、例え歯周病になっても初期段階の時点で発見できるため早期治療が可能です。
理想は3ヶ月に1回、それが無理なら6ヶ月に1回は歯科医院で定期検診を受けましょう。

・生活習慣を見直す
歯周病はその原因菌…つまり細菌に感染することで起こる病気です。
そして、細菌への感染を防ぐ上で重要なのが身体の免疫力です。
このため生活習慣を見直し、免疫力の向上を目指すと同時に免疫力の低下を防ぎましょう。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、歯肉炎と歯周病についてまとめます。

1. 「歯周病=歯肉炎」の理由 :今の呼び方と昔の呼び方の違い。昔は歯周病の段階ごとに病名で呼んでいた
2. 中期段階や重度段階の歯周病の呼び方 :中期段階の歯周病は歯周炎、重度段階の歯周病は歯槽膿漏
3. 「歯肉炎」、「歯周炎」、「歯槽膿漏」と呼ぶ歯科医の意図 :患者さんに危機感を持ってもらうため
4. 歯周病の予防意識を高めよう :精度の高い歯磨き、定期検診、生活習慣の改善が大切

これら4つのことから、歯肉炎と歯周病について分かります。
歯肉炎と歯周病はイコールであり、単に昔の呼び方と今の呼び方の違いです。
歯肉炎とは正確には初期段階の歯周病を意味しており、
ちなみに中期段階の歯周病は歯周炎、重度段階の歯周病は歯槽膿漏とそれぞれイコールです。