矯正治療ではどうしても抜歯が必要ですか? blog

2018.08.22

杉並区の歯医者さん、浜田山おとなこども歯科・矯正歯科です。
今回のテーマは「矯正治療における抜歯について」です。
矯正治療では抜歯が必要なケースが多く、これは矯正治療の1つのデメリットと言えるでしょう。

何しろ健康な歯を抜くわけですし、抜歯自体が患者さんにとって負担になってしまいますからね。
ただ、中には非抜歯で矯正治療できた方もいますし、矯正治療において抜歯は本当に必要なのでしょうか。
そこで、ここでは矯正治療と抜歯をテーマにしたお話をしていきます。

抜歯が必要な理由

そもそもなぜ矯正治療で抜歯が必要なのかについて説明します。
例えば5人掛けのソファがあったとして、そこに6人掛けている状態だとします。
当然ソファは窮屈になり、横一列に綺麗に掛けることはできません。

無理に掛けているため、6人は凸凹を入り乱れた状態で掛けているでしょう。
では横一列に綺麗に掛けるにはどうすれば良いか?…そのためには1人をどかさなければなりません。
実はこの例が矯正治療の流れそのものを表しています。

5本しか並ばない歯が6本並んでいることで窮屈になり、歯が綺麗に並べずに凸凹しています。
そこで1本抜歯して5本にした上で、改めて綺麗に横一列に並べます。
つまり矯正治療における抜歯とは、歯を綺麗に並べるためのスペース作りが目的です。

非抜歯で矯正治療できる可能性

抜歯の目的は歯を綺麗に並べるためのスペース作りです。
と言うことは、スペースに問題なければ非抜歯で矯正治療を行えます。
このため、非抜歯で矯正治療できる可能性はゼロではありません。

ただし、それには診断してみないことには分からないですから、
最初に「当院では非抜歯で矯正治療を行います」と断言している歯科医院での治療はおすすめできません。
仮に抜歯が必要なほどスペースがない場合、その歯科医院では無理やりの治療を行う可能性があるからです。

<無理に非抜歯で矯正治療した場合に起こる問題>
抜歯が必要なケースであるにもかかわらず非抜歯で矯正治療を行った場合、治療後に2つの問題が起こります。

・口元の見た目が悪くなる
無視やり非抜歯で矯正治療を行うということは、無理やり歯を並べるのと同じことです。
当然歯は並びきらないですから、この場合は歯が外側で出てしまいます。
そうなると口元が前に出るため、口元の見た目が悪くなってしまいます。

・後戻りしやすい
正しい矯正治療においても後戻りは起こりますが、無理に非抜歯で行うと後戻りがより起こりやすくなります。
ちなみに後戻りとは動かした歯が元の位置に戻ろうとすることで、
本来はこれを防ぐために矯正治療後に保定装置を装着して対処します。

非抜歯で矯正治療を行うには

状態次第では非抜歯で矯正治療を行えますが、
その可能性をより高めるには子供の時に矯正治療を行うことです。
言わば小児矯正で、乳歯と永久歯が混ざった時期に矯正治療を開始すると、非抜歯で行いやすくなります。

なぜなら、この段階で矯正治療をすると永久歯が正しい位置に生えるためのスペース作りができるからです。
抜歯の目的は歯を綺麗に並べるためのスペース作りですから、
スペース作りが可能な状態であれば抜歯は必要ないのです。

また、歯を削ることによって非抜歯で矯正治療を行えることもあります。
例えば前歯の6本を矯正治療する場合、全ての歯を1ミリずつ削れば合計6ミリのスペースを確保できます。
この場合、6ミリの隙間を使って矯正治療が可能であれば抜歯する必要はありません。

矯正治療の抜歯について

矯正治療における抜歯は腫れや痛みが比較的小さく、例えば親知らずの抜歯のような辛さはありません。
時間も10分ほどで終わりますが、歯の根の状態によってはもう少し時間が掛かることもあります。
また、抜歯の費用の相場は1本5000円~10000円ほどになります。

この費用は高額に感じますが、これは矯正治療において健康保険が適用されないからです。
ただし矯正治療の費用は医療費控除の対象になるため、
その証明として治療の際の領収書やレシートの類は必ず保管しておきましょう。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、矯正治療における抜歯についてまとめます。

1. 抜歯が必要な理由 :抜歯することでスペースを作り、歯が綺麗に並ぶようにする
2. 非抜歯で矯正治療できる可能性 :非抜歯で行える可能性もあるが、診察前の段階では断言できない
3. 非抜歯で矯正治療を行うには :小児矯正を行う、歯を削って対処するなど(100%非抜歯とは言えない)
4. 矯正治療の抜歯について :従来の抜歯に比べて腫れや痛みは比較的小さい

これら4つのことから、矯正治療における抜歯について分かります。
大人の矯正治療では、抜歯が必要になる可能性が高いと捉えておいた方が良いでしょう。
患者さんとしては非抜歯での矯正治療を希望したい気持ちがあるでしょうが、
無理に非抜歯で矯正治療を行うと、口元の見た目が悪くなるなどの問題が起こってしまいます。