虫歯の治療で根管治療が必要と言われましたが、どんな治療なのですか? blog

2018.11.01

杉並区の歯医者さん、浜田山おとなこども歯科・矯正歯科です。
今回のテーマは「根管治療の説明」です。「虫歯の治療=歯を削って詰め物で処置する」のイメージですが、あくまでそれは一例です。

虫歯の状態によってはそれ以下の治療で治せることがありますし、逆にそれ以上の治療をしなければ治せないこともあります。今回は後者のパターン…つまりそれ以上の治療となる根管治療について説明します。

根管治療とは

根管治療とは、言ってみれば歯の根の治療です。根管治療は虫歯が神経まで進行した場合に必要で、神経の通り道である根管の神経を取り除き、細菌を除去して歯の根を綺麗に清掃する治療方法です。治療の過程で神経を除去する必要がありますし、根管治療の目的は分かりづらいと思います。

そこで説明すると、根管治療の目的は虫歯菌に感染した神経を取り除くことで根管を無菌状態にし、虫歯菌を含む細菌の侵入を防ぐことです。このため、最終的には薬を詰めて根管を完全に封鎖します。神経を失うのは大きな問題ですが、逆に言えばそうしなければならないほど虫歯が進行しているのです。

根管治療のリスク

根管治療の最大の問題は治療の難易度が高いことです。何しろ根管の形状は人それぞれ異なる上、治療時に直接目で見て治療することができません。このため細菌を取り逃す可能性があり、その場合は痛みが再発して再治療しなければなりません。

ですから根管治療を受ける際には信頼できる歯科医院に行く必要がありますし、その歯科医院の医療設備にも注目しなければなりません。根管治療を成功させるには、最低でもCTやマイクロスコープの設備が必要になるでしょう。

神経を失うことについて

根管治療を行うことで神経を失います。最も、根管治療が必要なほどの状態だと神経は残せないでしょうし、それどころか既に神経が死んでしまっている可能性すらあるでしょう。では神経を失うとどんな問題があるのか?…その点についてまとめてみます。

痛みを感じなくなる

辛い虫歯の痛みから解放されるのは一見メリットに思えますが、その後のことを考えると問題です。痛みを感じなくなれば虫歯になってもそれを自覚しにくく、そのため虫歯は進行しやすくなります。つまり痛みを感じなくなることで歯の異常に気づくきっかけが失われてしまうのです。

歯が脆くなる

神経は歯に栄養を届けていますから、神経を失えば歯に栄養も届かなくなります。そうなると歯は脆くなり、細菌に対する抵抗力も失われてしまいます。さらに歯が黒く変色し、見た目も悪くなってしまいます。

虫歯が進行しやすくなる

神経には防御機能が備わっており、虫歯になった時に歯を強くさせる働きを持っています。さらに虫歯菌の進行経路を防ぎ、虫歯がそれ以上進行しないように食い止めようとします。神経を失うことでこうした防御機能は全て失われ、そのため虫歯が進行しやすくなります。

…神経を抜くことにはこのようなデメリットがあるため、「抜くか」「抜かないか」で考えれば当然抜かない方が良いでしょう。しかし、虫歯が進行するとどうしても抜かなければならず、その時に根管治療が必要になります。つまり、本来なら根管治療しなくても良い時点で虫歯を治さなければならないのです。

根管治療をしないで虫歯を治すには

根管治療をしないで虫歯を治す方法は簡単で、虫歯を初期の段階で治せば良いだけです。とは言え、実際には初期の段階で虫歯を治すのは難しく、なぜならその時点では虫歯の自覚がしづらいのです。みなさんは、虫歯になると歯が痛むイメージを持っていると思います。

しかし初期の段階の虫歯では歯が痛むことはなく、つまり歯が痛む時点で既に虫歯が進行しているのです。このため虫歯を初期の段階で治すには、痛みのない時点で虫歯を自覚して治療を受けなければなりません。そこで問題なのが、痛みのない虫歯にどうすれば気づけるかという点です。

それは一見難しく思えますが、これも実は簡単です。定期的に歯科医院に行き、検診を受ければ良いのです。検診では歯科医が歯の健康状態を確認するため、初期の段階の虫歯でも発見して治療できます。また、検診を受けること自体虫歯の予防効果が高まります。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、根管治療の説明についてまとめます。

1. 根管治療とは :歯の根の治療で、虫歯が神経まで進行した場合に行う
2. 根管治療のリスク :根管の形状や目で見て確認できない点から、治療の難易度が高い
3. 神経を失うことについて :痛みからは解放されるが、歯が脆くなるなどの問題がある
4. 根管治療をしないで虫歯を治すには :初期の段階で虫歯を発見して治療する

これら4つのことから、根管治療の説明について分かります。歯科医の視点で言えば、根管治療の説明から感じてほしいのは、「こんな治療はしたくない」という気持ちです。虫歯は進行するほど症状が深刻になり、それに比例して大きな治療が必要になってきます。

虫歯を放置すると神経が死んでしまいますし、そこまでになると治すにも根管治療が必要です。しかし初期の段階で虫歯を治療すれば根管治療は必要なく、神経を残したまま治療が可能です。このため虫歯を予防するのはもちろんですが、虫歯になった場合も早期治療をしなければなりません。