歯周病は歯の病気ではないため、歯が痛いのは歯周病とは無関係ですか? blog

2019.01.22

杉並区の歯医者さん、浜田山おとなこども歯科・矯正歯科です。今回のテーマは「歯周病の症状、治療、予防方法」です。歯周病は「歯の周りの病気」と書くとおり、歯を支える骨の病気です。

起こる症状も歯肉の腫れや変色など、歯とは無関係な症状が多いですね。と言うことは、歯が痛い場合は歯周病である可能性はゼロなのでしょうか。そこで、ここでは歯の痛みと歯周病をテーマにした説明をしていきます。

歯周病と歯は無関係ではない

結論から言うと、歯周病と歯は無関係ではありません。と言うのも、歯周病になると最終的に歯が抜け落ちてしまうからで、歯周病と歯は無関係どころか大いに関係があり、歯周病は歯を失う要因になるのです。

さらにそれは稀ではなく、日本人が歯を失う要因として最も多いのが歯周病です。確かに、歯周病は静かなる病気とも呼ばれており、発症した時点ではほとんど自覚症状はありません。しかし進行すると様々な症状が起こり、決して歯と無関係ではないことが分かります。

歯が痛む時に歯周病である可能性

歯が痛む時に歯周病である可能性はゼロなのか?…その答えはノーで、ゼロではありません。次のケースはいずれも歯が痛み、なおかつ歯周病になっている状態です。

歯肉退縮が起こるほど歯周病が進行している

歯周病が進行すると歯槽骨が溶かされ、その影響で歯肉退縮が起こります。そして、歯肉退縮が起こることで歯肉が下がり、本来歯肉に覆われているはずの歯の根が露出します。露出した歯の根は象牙質が剥き出しになっているため、少し刺激を受けるだけでしみたり痛んだりします。

歯がグラつくほど歯周病が進行している

歯周病が進行して歯槽骨が溶かされると、やがて歯はグラついて不安定な状態になります。これは歯槽骨が歯を支える骨であり、その歯槽骨が溶かされることで歯が支えを失うためです。この状態だと歯がしっかりと支えられておらず、噛み合わせ時に強い痛みを感じることがあります。

歯周病と同時に虫歯が起こっている

歯周病と虫歯は全く別の病気ですから、当然同時に起こることもあります。その場合、虫歯によって歯が痛み、なおかつ歯周病になっている状態です。痛みの原因は虫歯ですが、結果的に「歯周病と歯の痛み」が同時に起こっていることになります。

歯周病の治療方法

歯周病の治療方法は、歯周病の進行度によって異なります。基本は口の中を綺麗にすることで、具体的に次のような治療方法があります。

スケーリング

スケーラーと呼ばれる医療器具で歯石を除去します。歯石はプラークが石灰化してもので、歯石があると歯周病は進行しやすくなります。また歯石は歯磨きでは除去できないため、歯科医院での歯周病治療の中で除去します。

プラークコントロール

実際に行うのは患者さん自身です。歯磨きを中心とした、プラークを効率良く除去する方法をプラークコントロールと呼びます。プラークコントロールがしやすくなるよう、歯科医院ではブラッシング指導を行います。

デブライドメント

スケーリングは歯石の除去が目的ですが、デブライドメントはプラークの除去が目的です。プラークは歯磨きで除去できるものの、歯磨きでは全てのプラークを除去することはまず不可能です。その点、デブライドメントなら口の中のプラークを徹底的に除去できます。

フラップ手術

歯周病が進行すると、歯周ポケットが深くなります。一定以上深くなった歯周ポケットは、スケーリングでは対応できなくなるため、フラップ手術で歯肉を切開し、歯の根を露出させた状態で直接歯周ポケットのプラークや歯石を除去します。

歯周病の予防方法

歯周病は静かなる病気と呼ばれており、いつの間にか発症して進行するのが怖いところです。このため虫歯同様、次の方法でしっかりと予防しなければなりません。

精密な歯磨き

歯周病予防の基本は歯磨きですが、プラークコントロールと呼ばれる歯磨きには精度が必要です。デンタルフロスや歯間ブラシを使い、少しでもプラークの除去率を高める歯磨きを心掛けましょう。

定期検診の受診

定期検診では歯のクリーニングやブラッシング指導を行うため、受診すれば歯周病の予防効果が高まります。そしてもう1つの大きなメリットは、歯周病になった場合も早期発見して早期治療できることです。

生活習慣の改善

歯周病は生活習慣病です。例えば、疲労やストレスの蓄積は歯周病菌に感染するリスクを高めます。そこで生活習慣を改善し、日常生活の中に潜む歯周病発症のリスクを高める要因を排除しましょう。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、歯周病の症状、治療、予防方法についてまとめます。

1. 歯周病と歯は無関係ではない :歯周病が進行すれば、最終的には歯が抜け落ちてしまう
2. 歯が痛む時に歯周病である可能性 :歯肉退縮による知覚過敏など、可能性はゼロではない
3. 歯周病の治療方法 :スケーリング、プラークコントロール、デブライドメント、フラップ手術
4. 歯周病の予防方法 :精密な歯磨き、定期検診の受診、生活習慣の改善

これら4つのことから、歯周病の症状、治療、予防方法について分かります。歯周病も進行すれば、歯肉退縮による知覚過敏や噛み合わせた時の痛みなど、歯に痛みを感じることがあります。また、虫歯も同時に起こっている可能性もあるでしょう。このため、歯の痛みの有無で歯周病の有無を判断することはできません。