唾液の量が少ないと虫歯になりやすいと聞きましたが、それはなぜですか? blog

2019.05.22

杉並区の歯医者さん、浜田山おとなこども歯科・矯正歯科です。
今回のテーマは「唾液と虫歯の関係」です。
虫歯になりやすい人となりにくい人の違いの一つとして、唾液の分泌量が挙げられます。

唾液の分泌量が高い人は虫歯になりにくく、一方で唾液の分泌量が低い人は虫歯になりやすいのです。
この事実から、唾液が虫歯と深く関係があることが分かりますが、
そもそも唾液の分泌量が低い人はなぜ虫歯になりやすいのでしょうか。

唾液の役割

唾液は歯に付着した糖や細菌を流す役割を担っており、分かりやすく例えるなら歯を洗浄するのが仕事です。
ですから、唾液の分泌量が高い…つまり多くの唾液が出る人は洗浄効果が高くなりますから、
そのため虫歯になりにくく、唾液の量が少ない人は虫歯になりやすいのです。

さて、唾液の分泌量は人によって違いますが、それは単に個人差だけの問題ではありません。
毎日の生活習慣、食事の仕方などによって差が出るため、
意識すれば誰でも唾液の分泌量を高めることが可能です。

唾液の分泌量を高める方法

唾液の分泌量は次の方法が高めることができます。

方法1. よく噛んで食べる

食事の時に口の中が唾液で満たされるのは、噛む動作をしているためです。
つまり、唾液の分泌量は噛めば噛むほど高くなり、そのため食事の時はよく噛むことを心掛けましょう。

方法2. 鼻呼吸をする

口呼吸だと、乾燥した空気を口の中に取り込むため唾液が蒸発します。
ですから呼吸は鼻呼吸を意識すべきですし、口呼吸だと空気中の細菌も喉に送り込んでしまいます。

方法3. 水分補給をする

身体の水分量が不足すると、それを補うために唾液の分泌が抑制されます。
このため、適度に水分補給をして身体の水分量の不足を防ぎましょう。

方法4. ガムを噛む

噛む動作によって唾液の分泌量が高まりますが、もちろん常に食事するわけにはいきません。
その点、ガムなら適度に噛むことができ、シュガーレスのキシリトール配合のガムなら虫歯予防にもなります。

方法5. リラックスする

緊張すると口が渇くとおり、交感神経が優位になると唾液の分泌が抑制されます。
それを防ぐには副交感神経を優位にする必要があり、そのためにはリラックス状態にならなければなりません。

唾液の分泌量が低下して起こる問題

唾液の分泌量が低下すると、糖や細菌が流れなくなるため虫歯になりやすくなります。
また、それだけでなく次の問題も引き起こします。

歯周病になる

歯周病菌は嫌気性菌と呼ばれる空気を嫌う細菌です。
唾液の分泌量が低下した口の中は酸欠状態となり、嫌気性菌にとって絶好の環境です。
このため働きが活発になり、歯周病にもなりやすくなります。

口臭がする

口臭の原因は様々なため、ここで挙げるのはあくまで口臭の一例としてのケースです。
歯周病になればそれだけで口臭がしますし、そもそも嫌気性菌は口臭の原因となるため、
唾液の分泌量が低下して嫌気性菌の働きが活発になれば口臭がするようになります。

歯磨きの重要性

唾液は糖や細菌を流してくれますが、もちろんそれだけで虫歯の予防はできません。
糖や細菌の除去には歯磨きが必要であり、それも精度の高い歯磨きが必要です。
とは言え、適当に磨いては半分近くの磨き残しが発生するため、次の方法で歯磨きの精度を高めましょう。

デンタルフロスを使おう

一般的に、ブラッシングのみの歯磨きではプラークの除去率は約6割とされています。
その点、デンタルフロスを使えばそれが2割高まり、8割のプラークを除去することが可能です。
毎回の歯磨きで使う必要はなく、1日1回就寝前の歯磨きの時に使うのが良いでしょう。

プラークテスターを使おう

プラークテスターを使えば、目に見えないプラークを染色して目に見える状態にできます。
このため、歯磨き後に使うことで磨き残しを目で確認しながら確実に除去することが可能です。
また、数日使用すれば染色のパターンを把握でき、それは自分の歯磨きの弱点を知る参考にもなります。

ブラッシング指導を受けよう

歯磨きには正しい歯の磨き方があり、それは歯並びによって異なります。
自分の歯並びに合った効率の良い磨き方を知るには、歯科医院でブラッシング指導を受けることです。
ブラッシング指導は定期検診や予防歯科を受診することで、治療の一つとして受けられます。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、唾液と虫歯の関係についてまとめます。

1. 唾液の役割 :歯に付着した糖や細菌を流す
2. 唾液の分泌量を高める方法 :よく噛んで食べる、鼻呼吸をする、水分補給をする、ガムを噛むなど
3. 唾液の分泌量が低下して起こる問題 :歯周病、口臭
4. 歯磨きの重要性 :デンタルフロスを使うなどして、精度の高い歯磨きをする

これら4つのことから、唾液と虫歯の関係について分かります。
一つ補足すると、口呼吸をすると唾液が蒸発してしまうと説明しましたが、
意識しても鼻呼吸ができないようであれば、それは歯並びや噛み合わせが悪い可能性があります。
歯並びや噛み合わせの状態によってはどうしても口呼吸になってしまい、
それを改善するには原因そのものの改善…つまり矯正治療などが必要です。