虫歯の痛みがおさまったということは虫歯が治ったということですか? blog

2019.07.15

杉並区の歯医者さん、浜田山おとなこども歯科・矯正歯科です。
今回のテーマは「虫歯の痛みについて」です。
おそらく、多くの人は虫歯の状態について歯の痛みで判断するのではないでしょうか。

例えば、歯が痛くなければ虫歯はないと自信を持ち、歯が痛くなれば虫歯を自覚する、
そして歯の痛みがおさまれば虫歯が治ったと判断しがちです。
しかし、こうした判断の中には間違ったものもあります。

虫歯で歯が痛む理由

虫歯で歯が痛むのは、知覚過敏や神経の炎症が原因であり、
これらの痛みが起こるのは虫歯の進行度が関係してきます。

知覚過敏による痛み

虫歯が象牙質まで進行すると起こる痛みで、歯の象牙質は刺激に対して非常に敏感です。
ただ、本来なら歯の表面のエナメル質によって象牙質は刺激から保護されているのですが、
虫歯が進行して象牙質に到達する穴があくと、エナメル質の保護が失われて知覚過敏が起こります。

神経の炎症による痛み

虫歯が神経まで進行すると起こる痛みで、知覚過敏に比べて痛みは酷くなります。
常にズキズキとした激しい痛みを感じてしまい、痛み止めでも完全な解消は難しいでしょう。
虫歯が神経まで進行すると虫歯菌の影響で神経が炎症を起こしてしまい、その炎症が激痛をもたらします。

虫歯の痛みの変化

虫歯になると歯が痛むイメージがありますが、実は初期の虫歯においては全く痛みがありません。
象牙質まで進行することで歯が痛むようになり、さらに神経まで進行することで痛みは激痛に変化します。
しかし、その後は一変して痛みがおさまるのですが、これは虫歯が治ったわけではありません。

痛みがおさまったのは炎症を起こした神経が死んでしまったためで、むしろ虫歯は悪化しているのです。
そもそも、一度でも進行した虫歯は自然には治らず、歯が痛む時点でその虫歯は進行しています。
このため虫歯の痛みを感じた以上、自然に治ることはないのです。

さて、この説明から分かる重要なポイントをまとめると次のようになります。

歯が痛くないのは虫歯がない根拠にはならない(初期の虫歯の可能性がある)
虫歯の痛みは酷くなっていくが、神経が死ぬことで痛みはおさまる
一度でも進行した虫歯は自然に治ることはない

…虫歯の痛みがおさまったからと言って、虫歯がなおったものだと思わないでください。

神経を失うこと

虫歯の痛みがおさまったのは、神経が死んでしまったことが理由です。
つまり言い換えるなら、神経を失うことで虫歯の痛みを感じなくなるのです。
この点をメリットと捉える人もいますが、神経を失うことには次の大きな問題があります。

歯の異常に気づけない

虫歯を自覚するきっかけと多いのは歯の痛みであり、歯が痛むことで自分が虫歯だと気づきます。
では、歯に痛みを感じなければどうなるのでしょうか。虫歯が発症してもそれに気づかず、
知らない間に虫歯はどんどん進行して重症化してしまい、歯の異常に気づけなくなってしまうでしょう。

歯が弱くなる

「弱い」と言っても色々な弱さがありますが、神経を失った歯は細菌にも感染しやすくなり、脆くもなります。
これは神経が歯に栄養を届ける役割を担っているためで、
神経を失った歯は栄養が行き届かなくなり、抵抗力も耐久力も弱くなってしまうのです。

虫歯が進行しやすくなる

神経には防御機能が備わっており、虫歯になると虫歯菌の進行路を塞ごうとします。
しかし、神経を失えばその防御機能も働かなくなりますから、言わば無防備な状態になるのです。
このため、神経を失った歯はそうでない歯に比べて虫歯の進行が早くなります。

虫歯を放置し続けて起こる問題

虫歯の痛みがおさまった時点で神経は死んでしまったことになります。
ここで虫歯が治ったと勘違いしてしまい、そのまま放置するとどのような問題が起こるのでしょうか。
それは、虫歯の痛みの辛さとは比較にならないほど深刻な問題が起こります。

歯を失う

虫歯を放置し続ければ、歯が虫歯菌の出す酸によってどんどん溶かされていきます。
末期段階になれば歯は残っているか分からないほどボロボロになってしまい、
そうなると例え治療しても歯を残すことはできません。

大きな病気を招く

歯を完全に破壊した虫歯菌は、治療しない限り生きています。
やがては血液に入り込み、血管を通じて全身に回ってしまうでしょう。
この時、稀なケースではありますが脳や心臓に回ることで脳梗塞や心筋梗塞が起こります。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、虫歯の痛みについてまとめます。

1. 虫歯で歯が痛む理由 :知覚過敏による痛みと、神経の炎症による痛みがある
2. 虫歯の痛みの変化 :進行するに比例して痛みは酷くなるが、神経が死ぬと一変して痛みがおさまる
3. 神経を失うこと :痛みの解消はメリットに思えるが、歯の異常に気づけないなど様々なデメリットがある
4. 虫歯を放置し続けて起こる問題 :歯を失う、脳梗塞や心筋梗塞が起こる危険性がある

これら4つのことから、虫歯の痛みについて分かります。
虫歯の痛みが自然におさまることはありますが、それは虫歯が治ったわけではありません。
虫歯の痛みがおさまるのは神経が死んでしまったからで、むしろ虫歯は悪化しているのです。
そのまま治療しなければさらに虫歯は進行していき、歯を破壊した上に病気の原因にもなってしまいます。
このため虫歯が治ったと誤った判断をせず、歯科医院に行って虫歯を治療してもらいましょう。