なぜ虫歯の痛みを感じない人がいるのですか? blog

2019.09.02

杉並区の歯医者さん、浜田山おとなこども歯科・矯正歯科です。
今回のテーマは「痛みを感じない虫歯」です。
虫歯になると歯が痛くなりますが、必ずしもそうとは限りません。

時には虫歯になっているのに痛みを感じないケースもあり、その理由は個人差などではなく理由があります。
そして、その理由を知るにはまず虫歯になると歯が痛くなるメカニズムを知る必要があり、
その点も含めて虫歯でも歯が痛まないケースについて説明していきます。

虫歯で歯が痛くなるメカニズム

そもそも、虫歯に限らず歯は刺激に対して敏感で、そのためささいなことで歯は痛みます。
例えば食事の時には熱いものや冷たいことを食べることがありますが、
こうした熱さや冷たさといった温度も歯にとって刺激となり、本来なら痛みを感じてしまうのです。

しかし、普段痛みを感じないのは、歯の表面のエナメル質が象牙質を刺激から保護しているからで、
エナメル質が失われてしまうと象牙質が刺激を受けて歯が痛むようになります。
虫歯になってそれが進行すると歯に穴があきますから、象牙質が直接刺激を受けるようになるのです。

つまり、虫歯の痛みは象牙質が刺激を受けたことによって起こる知覚過敏ですが、
さらに虫歯が進行した場合はまた違い、神経が炎症を起こして激痛をもたらします。
知覚過敏と神経の炎症…これらが虫歯の痛みの原因です。

虫歯でも歯が痛くならないケース

虫歯になっても歯が痛くならないケースがあり、それは虫歯で歯が痛むメカニズムからも分かります。

初期の虫歯

虫歯で歯が痛む理由の一つは、虫歯の穴が象牙質に達したことで起こる知覚過敏です。
ただ、虫歯は最初歯の表面に発症しますから、その時点ではまだ歯に穴はあいておらず、
そのため知覚過敏は起きません。つまり、進行前の初期の虫歯においては歯が痛くならないのです。

進行して神経が死んだ歯

虫歯が進行するとやがて神経が炎症を起こし、そうなると知覚過敏どころではない激痛をもたらします。
こうして細菌に感染した神経はやがて死んでしまい、神経が死ぬことで感覚が伝わらなくなります。
当然痛みも感じなくなり、つまり虫歯が進行して神経が死ぬと歯に痛みを感じなくなるのです。

神経を失った歯の二次虫歯

神経が死ぬにせよ、治療で除去したにせよ、最初の虫歯治療において神経を失ったとします。
そうすると虫歯は治っても神経は失ったままですから、
以後虫歯治療した歯に虫歯が再発しても、神経を失っているため痛みを感じないのです。

虫歯の本当の怖さ

虫歯になると何より辛いのが歯の痛みだと思うでしょう。
しかし、虫歯になるとそれ以上の問題も起こり、それが虫歯の本当の怖さでもあります。
そんな虫歯の本当の怖さを次にまとめますが、虫歯を放置しなければこのような事態は起こりません。

歯を失う

歯を失う要因としてよく挙げられるのは歯周病ですが、虫歯でも歯を失います。
虫歯が末期段階まで進行すれば歯はボロボロで原型を失っていますし、
その状態だと治療しても歯を残せず、抜歯するしかなくなります。

脳梗塞や心筋梗塞が起こることがある

虫歯は歯をボロボロにして終わりではなく、治療しない限り虫歯の原因菌が死ぬことはありません。
歯を破壊した虫歯菌はやがて血液の中に入り込み、血管を回って全身の至る箇所に到達します。
この時、脳に到達することで脳梗塞、心臓に到達することで心筋梗塞が起こる危険性があるのです。

歯周病も歯は痛くならない

虫歯と並んで口の中の代表的な病気と言えるのが歯周病です。
しかし歯周病は静かなる病気と呼ばれ、それは目立った自覚症状がないのが理由であり、
基本的に虫歯のように歯が痛むことはありません。

初期の虫歯、進行して神経が死んだ虫歯、神経を失った歯の二次虫歯、そして歯周病、
これらはいずれも歯が痛むことはなく、つまり「歯が痛くない=口の中が健康」とは限らないのです。
仮に今あなたが歯の痛みを全く感じないとして、しかしそれは口の中が健康な根拠にはなりません。

口の中の健康状態を確実に知るには、歯科医院で定期検診を受けることです。
また、健康診断を受けていればこうした痛みのない虫歯や歯周病も発見できるため、
痛みがないことで病気を自覚できず、その結果重症化してしまう事態にはなりません。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、痛みを感じない虫歯についてまとめます。

1. 虫歯で歯が痛くなるメカニズム :歯に穴があいたことによる知覚過敏と神経の炎症
2. 虫歯でも歯が痛くならないケース :初期の虫歯、進行して神経が死んだ歯、神経を失った歯の二次虫歯
3. 虫歯の本当の怖さ :歯を失う、脳梗塞や心筋梗塞が起こることがある
4. 歯周病も歯は痛くならない :歯周病も痛みはなく、歯が痛くないことは口の中が健康な根拠にならない

これら4つのことから、痛みを感じない虫歯について分かります。
痛みを感じる時点でその虫歯は進行しており、初期の虫歯には痛みはありません。
ですから、歯が痛くない人でも虫歯がある可能性は否定できず、歯周病においても同様です。
歯の痛みの有無で口の中の健康を判断せず、定期的に検診を受けるようにしましょう。