歯周病で歯を失うのはどうしてですか? blog

2019.12.16

杉並区の歯医者さん、浜田山おとなこども歯科・矯正歯科です。
今回のテーマは「歯周病で歯を失う理由」です。
日本人が歯を失う要因として最も多いのが歯周病…これはもう何年も前から変わりません。

そこで気になるのが、そもそも「歯周病になるとなぜ歯を失ってしまうのか」、
そして「なぜそこまで歯周病で歯を失う人が多いのか」、これら2つのことでしょう。
ここではその理由が分かるよう、歯周病で歯を失う理由について説明していきます。

歯周病は歯の骨の病気です

そもそも歯周病はどんな病気なのでしょうか。
歯の周囲の病気と書く歯周病は、文字が示すとおり歯を支えている骨の病気です。
歯周病が発症すると歯肉が炎症を起こし、発生した歯周ポケットの中で細菌が繁殖していきます。

この時、炎症が影響して歯肉は腫れたり変色したりするのですが、
それを歯周病の症状の全てと勘違いする人も多く、「歯周病=歯肉が腫れる病気」のイメージがあるでしょう。
しかしそれは初期段階の症状でしかなく、正しくは「歯周病=歯の骨を溶かす病気」です。

歯周病が進行すると歯周ポケットはさらに深くなり、細菌が悪さをすることで歯の骨を溶かします。
その骨は歯槽骨と呼ばれるもので、歯を支える役割を担っていますから、
それが溶かされることで歯は支えを失い、グラグラと不安定になって抜け落ちてしまうのです。

治療で抜歯が必要になることもあります

歯周病治療の基本は口の中を清潔にすることです。
歯にこびりついた歯石を除去して、的確なプラークコントロールの継続によって治していきます。
プラークコントロールとはプラークの蓄積を防いで除去することで、それを行うのは患者さん自身です。

その方法として一般的なのは歯磨きですが、プラークのコントロールをする歯磨きとなると精度が必要で、
ただ磨くだけでは効果が低く、デンタルフロスや歯間ブラシを使った歯磨きが求められるでしょう。
また、プラークの蓄積を防ぐ意味では食生活の改善も立派なプラークコントロールに含まれます。

これが歯周病治療の基本なのですが、あくまで基本は基本であり例外もあるのです。
進行した歯周病の場合、歯周ポケットに溜まった細菌を除去するために歯肉を切開することもありますし、
あまりに重症化しすぎて歯が残せないと判断された場合、治療において抜歯も検討されます。

歯周病で歯を失う人が多いのは自覚症状が理由です

みなさんは、歯周病が「静かなる病気」と呼ばれているのをご存知でしょうか。
そしてそう呼ばれる理由は歯周病には目立った自覚症状がなく、
自分が歯周病だと気づかない間にいつの間にか進行してしまうからです。

歯周病には虫歯の痛みのような自覚症状がないのですが、
ほとんどの人は歯の健康状態を歯の痛みの有無で判断しがちですね。
例えばあなたの歯に現在痛みがなければ、イコール健康だと思ってしまうのではないでしょうか。

しかし、それでも歯周病が発症している可能性は充分にあり、
一方で健康だと思っているあなたは歯科医院に行こうと思わず、結果歯周病はどんどん進行していきます。
そうすればやがて歯は抜け落ちてしまい、多くの人が実際にこの流れによって歯を失っているのです。

歯周病の発症に年齢制限はありません

歯を失うことから、歯周病がまるで高齢の人に限られた病気のように思う人がいますが、それは間違いです。
例えば、子供の歯科健診で歯肉炎と診断される子供は多いですが、
歯肉炎とは初期の歯周病に相当するものであり、その子供は軽い歯周病になっているとも言えるのです。

実際、歯周病の低年齢化は問題となっていますし、成人に至ってはおよそ7割が歯周病とされており、
そのことから歯周病は国民的病気とも言われています。
最も、子供が歯周病で歯を失うことはまずないでしょうが、それでも永久歯が抜ける例はあるのです。

高齢の病気であるイメージから、若い人は自分が歯周病になるとは考えもせず、
そのため予防を怠ってしまうことも歯周病で歯を失う人が多い理由の一つではないでしょうか。
歯と歯肉と歯の骨がある時点で、年齢関係なくその人は歯周病になる可能性があるのです。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、歯周病で歯を失う理由についてまとめます。

1. 歯周病は歯の骨の病気です :歯周病は歯を支える骨を溶かす病気。骨が溶かされることで歯が抜ける
2. 治療で抜歯が必要になることもあります :重症化した歯周病の場合、治療において抜歯も検討される
3. 歯周病で歯を失う人が多いのは自覚症状が理由です :目立った自覚症状がなく進行を許しやすい
4. 歯周病の発症に年齢制限はありません :子供がかかる歯肉炎は初期の歯周病に相当する

これら4つのことから、歯周病で歯を失う理由について分かります。
歯周病は歯の骨を溶かす病気であり、骨が溶かされることで歯は支えを失います。
そして、支えを失った歯は不安定になってしまい、やがて抜け落ちてしまうのです。

さらに歯周病が重症化している場合、歯が残せないと判断されると抜歯しなければなりません。
こうした理由によって歯周病で歯を失うのですが、そこまで歯周病で歯を失う人が多いのは、
虫歯のように目立った自覚症状がなく、重症化するまで歯周病の発症に気づかない人が多いからでしょう。