歯周病が親から子にうつるのは本当? blog

2022.07.15

杉並区の歯医者さん、浜田山おとなこども歯科・矯正歯科です。
今回のテーマは「歯周病の母子感染」です。
歯周病は人から人にうつるといわれており、だとすれば母子感染も起こるということになります。

とはいえ、「歯が抜け落ちる」という症状を考えると、歯周病はシニアの方に発症する病気のイメージがあり、
とくに子どもの歯周病の発症について、正直ピンとこない方も多いのではないでしょうか。
そこで、ここでは歯周病の母子感染について解説していきます。

1.子どもの歯周病

親から子への感染と聞いて、子供が歯周病になることに驚いた人も多いのではないでしょうか。
と言うのも、「歯周病=歯を失う病気」のイメージから、
歯周病は高齢の人のみに発症する病気と思っている人が多いからです。

しかしそのイメージは間違いで、歯周病は歯や歯肉がある時点で子供でも発症します。
最も、確かに子供の歯周病が歯を失うほど進行することはまずないでしょうし、
それは子供の場合は年齢的に代謝が活発なのが理由です。

ただし、初期の歯周病に該当する歯肉炎なら発症する可能性は充分にあり、
実際に小学校の歯科検診で歯周病と診断された経験のある人もいるでしょう。
このため、親から子への感染を抜きしても、子供の歯周病には注意してあげなければなりません。

2.母子感染

さて、ここからは歯周病がどのように人から人にうつるのかについて解説していきます。
まず誤解のないように言っておくと、これは歯周病が直接うつるわけではなく、
「歯周病の原因菌が人から人に移動する」が正しい表現です。

つまり、親が重度の歯周病だったとして、子供に重度の歯周病がそのままうつるわけではなく、
親の口の中で繁殖している歯周病の原因菌が子供の口の中に移動してしまうのです。
そして、感染の手段となるのは唾液を介すことで、これは色々なケースが考えられます。

キス、親と子が同じ食器を使って食事をする、歯ブラシが接触する、
親と子で飲み物を回し飲みする…唾液を介す行為としてこれらのことが挙げられますね。
親が歯周病になっている場合、こうした行為によって親の持つ歯周病の原因菌が子供にうつるのです。

3.親子で予防する

歯周病の親から子への感染を防ぐには、親子で歯周病を予防することです。
歯周病の予防方法は虫歯の予防方法とほぼ同じであり、
そのため虫歯予防を徹底していれば同時に歯周病も予防できるでしょう。

ただ、その予防を子供にだけ求めていてはいけません。
例え子供が歯周病を予防しても、親が予防できていなければ親に歯周病が発症しますし、
その原因菌が唾液を介すことによって子供にうつってしまうからです。

さらに言えば、親から子に限らず兄弟など家族間で子供にうつってしまう可能性もあるわけで、
そう考えると歯周病の予防は家族全員で行うべきでしょう。
実際、家族揃って歯科医院に定期検診を受けにくる人も少なくないですよ。

4.歯周病の要因

歯周病は生活習慣病でもあり、文字どおり日常生活の中にも発症の要因が潜んでいます。
歯周病は口の中で発症する病気であることから、歯磨きで予防できると思われがちです。
確かに歯磨きが大切なのは事実ですが、次のことはいずれも歯周病が発症する要因になります。

疲労やストレスの蓄積

疲労やストレスが溜まると、身体の免疫力が低下して細菌に感染しやすくなります。
歯周病も、その原因菌によって感染することから細菌による感染症であり、
そのため疲労やストレスが溜まると歯周病の原因菌に感染して発症しやすくなるのです。

喫煙

喫煙はその行為自体が発症のリスクを高め、
数値で示すなら喫煙者が歯周病になるリスクは、非喫煙者の5倍以上にもなります。
これはニコチンによって免疫機能が狂わされることや、歯石が付着しやすくなることが理由です。

口呼吸

口呼吸をすると、乾燥した空気を直接口の中に取り込む形になって唾液が蒸発します。
そうすると口の中は酸欠状態に等しくなり、空気を嫌う嫌気性菌の働きが活発になるのです。
この嫌気性菌は歯周病の原因菌であり、つまり口呼吸によって歯周病の原因菌の働きが活発になります。

まとめ

いかがでしたか
最後に、歯周病の母子感染についてまとめます。

  1. 子どもの歯周病:子どもでも歯周病になる。例えば、歯肉炎は初期の歯周病に相当する病気
  2. 母子感染:唾液を介すことで原因となる細菌が移動する。行為としては食器の共用や歯ブラシの接触など
  3. 親子で予防する:母子感染を防ぐには、母と子……つまり親子で予防するのが効果的
  4. 歯周病の要因:疲労やストレスの蓄積、喫煙、口呼吸

これらのことから、歯周病の母子感染について分かります。
歯周病がそのままストレートにうつるわけではないですが、唾液を介すことで原因菌は移動してしまいます。
また、そうでなくても子どもが歯肉炎を発症することはあり、これは初期の歯周病に相当するものです。
つまり、歯周病は子どもにとっても無関係の病気ではないということです。