子どもの虫歯治療は削らなくてもできますか? blog

2022.09.21

杉並区の歯医者さん、浜田山おとなこども歯科・矯正歯科です。
今回のテーマは「子どもの虫歯治療は削らなくてもできるのか」です。
虫歯を治すためには、虫歯になってしまった患部を削り取らなければならないと思っている方も多いかと思います。実はお子様の大切な歯を守るための治療は、削るだけではありません。

虫歯を作らないことが大事ですが、もし虫歯になってしまったら・・・。
できるだけ痛みを伴わず、負担の少ない方法で治療できることをご存じでしょうか?
ここでは、子どもの虫歯治療について解説していきます。

MI(Minimal Intervention)治療

虫歯ができた悪い部分は削らなければいけないというのは、昔ながらの虫歯治療において標準的な治療方法でした。
今は国際歯科連盟(FDI)により2000年に提唱された概念「ミニマルインターベーション」という治療方針が主流となっています。

ミニマルインターベーションとは直訳すると「最小限の侵襲」という意味で、できるだけ歯を削らない、抜かない、可能な限り歯の神経を保存するという、侵襲の少ない方針で歯科治療を行うことです。

虫歯治療は日々進化しています。新しい治療法や新薬の開発などにより、「削らない虫歯治療」が可能になっているのです。
乳歯の虫歯治療においても、治療の選択肢が広がっています。

虫歯になりやすい子どもの歯

乳歯はカルシウムが少なく、永久歯と比べるとエナメル質や象牙質の強度・硬度が十分ではありません。さらに、乳歯のエナメル質は永久歯の半分程度の厚みしかなく、とても薄いのです。そのため、乳歯は永久歯よりも虫歯になりやすく、虫歯の進行も早いのが特徴です。
また、乳歯は噛み合わせ面の溝が深く、食べかすが残りやすくなっています。子どもの顎はとても小さく歯ブラシが奥まで届きづらいので、毎日ケアをしていても虫歯になりやすい傾向にあります。

削らない虫歯治療とは?

保険適用の薬で虫歯の進行を抑える治療

削らない虫歯治療のひとつに、虫歯の進行を抑える薬剤を塗る方法があります。
「フッ化ジアンミン銀」という成分が含まれている薬剤で、虫歯の進行を抑え歯の再石灰化を促す効果があります。
歯を削ることなく患部に塗るだけなので、治療時の痛みはありません。まれにしみることがある程度です。

削る必要のない初期の虫歯の処置、年齢が低く虫歯治療が難しいお子さんに使用することが多いです。
虫歯を治すのではなく、あくまでも虫歯の悪化を防ぐことが目的なので、治療後は虫歯が進行していないかなど、定期的なチェックも大切です。

進化している虫歯治療

虫歯をできるだけ削らずに虫歯菌を殺菌し治療する「ドックスベストセメント」という治療法があります。ミネラルにより患部を殺菌、虫歯菌を無菌化し再石灰化を促します。
ドックスベストセメントで使用する薬剤には「リン酸亜鉛セメント」という成分が含まれており、銅イオンの殺菌力により虫歯部分を殺菌します。銅イオンには持続的な殺菌力があり、患部に充填することで長期にわたっての無菌化が可能となりました。

歯を削らない、もしくは削ったとしても少し削るだけで済むので治療時の痛みも少なく、また、人の体に優しい成分のためお子さまでも安心して受けられる治療方法です。
銅イオンによる持続的な殺菌効果により、虫歯が再発しにくいのも特長です。

ドックスベストセメントは保険適用外の治療になります。また、施術にはドックスベストセメントに精通した歯科医院を選ぶことも大切です。
お子さんの虫歯の状態により最適な治療方法は異なりますので、削らない治療も選択肢の一つとして、歯科医院でよく相談してみましょう。

まとめ

今は「ミニマルインターベーション」という考え方が浸透し、できるだけ自分の歯を温存する治療方法が多くとられています。小さな初期段階の虫歯であれば、削らずに虫歯の進行止めを塗って経過を観察することができます。
また、乳歯の虫歯だからといって放置していると、次に生えてくる永久歯にも影響があります。
乳歯の段階であっても虫歯を放っておかず、早めに受診することが大切です。