食育から考える子どもの虫歯予防 blog

2022.10.22

杉並区の歯医者さん、浜田山おとなこども歯科・矯正歯科です。
今回のテーマは「子どもの食育と虫歯予防」についてです。
お子様の大切な歯を虫歯から守りたいと思う親御さんは多いのではないでしょうか。
虫歯にならないためにはどんな食事がいいのかと考えた時、虫歯予防と食育は実は密接につながっているのです。
ここでは、子どもの食育と虫歯予防について解説していきます。

食育とは

農林水産省では、食育について「生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるもの」とされ、また文部科学省では「子どもたちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身につけること」と定義されています。

参考:農林水産省における食育の推進
参考:文部科学省における食育の推進

食育とは、子どもの豊かな人間性を育て、食べることを通じて生きるための力を身につけるための教育です。そして、食べるという行動において重要な歯を守ることは、食育を考える上でも重要な要素のひとつです。

気を付けたい食習慣

虫歯の原因となる虫歯菌は、早いと生後3カ月の乳児から見つかることがあります。まだ離乳食も始まっていないような段階から、虫歯の元凶となる虫歯菌が口腔内に留まっていては大変です。また、口腔内の細菌バランスは3歳までに決まると言われており、小さい頃から気をつけてあげることで、その後の虫歯リスクを抑えることができます。
ついつい見逃してしまいがちな虫歯になりやすい3つの食習慣を見直し、食育へとつなげていきましょう。

注意!おやつのタイミング

虫歯になりやすいおやつと言えば、チョコレートやクッキーなど甘いものを想像しがちですが、実は甘いから悪いというわけではありません。虫歯のなりやすさは糖分量にも左右されますが、食べ物が口腔内にどれだけ長く滞在したかといったことが重要なのです。
食後の口腔内は酸性に傾きます。時間の経過とともに唾液により中和され、中性に戻ります。もしも、だらだらと長い時間おやつを食べ続けていてはどうでしょう。口腔内はなかなか中性に戻ることができず、虫歯菌の住みやすい環境である酸性に傾いたままになってしまいます。そして、その間に虫歯菌はどんどん増殖してしまいます。
おやつは何を食べるかも大切ですが、だらだら食べをせずメリハリを持った管理も心掛けましょう。

ジュースで歯が溶ける?

酸性度の強い食べ物や飲み物に歯がさらされ続けると、歯のエナメル質が溶けてしまうことがあります。これを「酸蝕症(さんしょくしょう)」と言います。
酸性度の強い食べ物や飲み物というと酸っぱいものがだめなのかと思われるかもしれませんが、そうではありません。
食べ物では柑橘類やマヨネーズ、ドレッシングなどがあります。飲み物では炭酸飲料やスポーツドリンク、オレンジジュースなどが挙げられます。
乳歯は永久歯に比べてエナメル質が薄いため、大人に比べて短い時間で酸蝕症になってしまう可能性があります。
歯の角が丸くなったり、歯が透けて見えるといった症状を発見したら、酸蝕症かもしれません。もしそのような症状が見られたら、食生活を見直し酸性度の強い食べ物や飲み物は控えるようにしましょう。

噛み応えのある食事をしよう

幼児期には、歯はもちろんですが顎の成長を促すことが大切です。乳歯の数は20本ですが、永久歯に生え変わると歯は28本になります。親知らずを入れると全部で32本です。すべての永久歯が生え変わるまでに、それらの歯を並べ収めることができるように顎を大きく成長させることが必要となります。
顎を成長させるのに大切なことは「よく噛む」ことです。1口につき30回程度、食べ物を噛むのが理想的とされます。
豆腐のように柔らかいものを30回以上噛むのは難しいでしょう。メニューとしては焼き魚やお肉、繊維の多い野菜の入った煮物など、噛み応えのある食事は必然的に噛む回数が多くなるのでおすすめです。
歯の生え変わりの時期は、子どもにとって重要な成長期でもあります。歯応えのあるバランスの取れた食事で、身体だけでなく顎の成長も促していきましょう。

まとめ

「食育」とは「食べること」が大前提です。そして、食べるために必要不可欠な歯を健康に保つことは、食育における最初の第一歩です。歯の健康と食育は、切っても切れない密接な関係にあるのです。
健やかな歯を保つために大切なことをひとつひとつ守っていくと、食育の定義である「子どもたちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身につけること」につながっていくのではないでしょうか。手の込んだ料理を作るだけが食育ではありません。難しく考えず、まずは「歯を守るための食習慣」から「食育」を始めてみましょう。