いつ始める?子どもの矯正治療 blog

2022.11.19

杉並区の歯医者さん、浜田山おとなこども歯科・矯正歯科です。
今回のテーマは「子どもの矯正治療の時期と装置」についてです。

子どもの矯正は1期治療と2期治療に分かれています。それらの違いはどのようなものなのでしょう?
ここでは、1期と2期の矯正治療の流れやよく使用される矯正方法について解説していきます。

子どもの矯正は2段階

子どもの矯正治療には2つのステップがあります。

まず最初のステップは「1期治療」と言われ、6歳臼歯が生え始めてから永久歯が生えそろうまでの期間に行う矯正治療です。この期間は乳歯と永久歯が混在して生えていて、顎の骨を含む体の骨格が大きく成長する期間でもあります。
この時期は、歯列矯正に必要となる土台、つまり顎の骨がしっかりと成長できるように促していく治療を行うのが良いとされています。

次のステップは「2期治療」と言われます。2期治療は永久歯が生えそろった状態で開始する矯正治療のことです。1期治療で十分に広げた顎の骨格に対して、歯がきれいに並ぶように歯列を調整していく治療が中心となります。顎などの骨格に問題がなく、歯並びだけの矯正をする場合には2期治療から矯正治療を開始することもあります。

なぜ2段階必要なのでしょうか

すでに述べたように、乳歯と永久歯が混ざりあった歯列の混合歯列期には、骨の成長を促すことに重点を置いた矯正治療となります。

特に骨格が要因となっている「反対咬合(受け口)」や「上顎前突(出っ歯)」などの場合、顎の骨の大きさがその後の歯列矯正の大切な要となります。顎の骨のバランスを整えて、正しく歯が生えるように十分なスペースを確保しないといけないからです。

そのため、骨格が要因となっている受け口や出っ歯などの矯正を希望する場合には、1期治療から開始するのが望ましいでしょう。

子どもが使う矯正装置の種類

1期治療と2期治療では、使用する矯正装置が異なります。

1期治療で使用する装置は、永久歯が並ぶためのスペースを確保することが主な目的となります。
2期治療では、大人の矯正と同様の矯正装置を使用し、歯列を整えていくことを目的としています。

次に、子どもの矯正治療において使用されることが多い矯正装置をご紹介します。

拡大床

「拡大床」とは、乳歯の段階でこれから生えてくる永久歯が並ぶためのスペースがないと予想される時に使用します。器具を使って顎の骨格を外側(頬側)に拡大していくための装置です。「アクティブプレート」や「床装置」といった名称で呼ばれることもあります。

拡大床の中心部のねじを回して器具自体を広げることで、顎の骨格が広がるように矯正していきます。少なくとも1日8時間以上の装着が必要で、場合によっては1日18時間以上の装着が必要となることもあります。1回につき30分以上の連続装着が勧められていますが、連続して8時間以上装着しなければならないわけではありません。飲食時や外出時などには自分で取り外すことができます。

バイオネーター

「バイオネーター」とは、噛むための筋肉を利用し、下顎の骨格の成長を前に向けて促す装置です。「機能的矯正装置」とも言われます。
下顎が小さいことが要因の上顎前突(出っ歯)を矯正する際に使用します。

ワイヤーとプラスチックによる素材でできており、マウスピースのように歯に装着して使用します。取り外しができ、自宅にいる間や就寝時に装着します。1日10時間以上の装着が推奨されています。

骨格に負荷をかけて矯正するのではなく噛む力を利用して矯正するので、痛みが少ないのが特徴です。

ムーシールド

「ムーシールド」とは、就寝時にマウスピースを装着して矯正する装置です。反対咬合(受け口)の矯正に使用されることが多く、すべての歯が乳歯である段階(3歳ぐらいが目安)からの装着が可能です。反対咬合(受け口)により噛み合わせが逆のままに放っておくと下顎が過成長する可能性があり、それを予防するために行います。

成長期における下顎の過成長を予防するためのものなので、使用できる時期は成長期だけであり、年齢によっては使用できない場合もあります。
舌や口の周りの筋肉に働きかけて行う矯正なので、痛みがほとんどないのも特徴です。

マウスピース

自分の歯に合わせた透明なマウスピースを装着し、歯を移動させていく矯正方法です。1日20時間以上装着する必要がありますが、透明な素材でできているので目立ちません。飲食時や歯磨きの時などには取り外すことができます。

マウスピースは矯正の進み具合に合わせて交換するので、衛生的に保つことができます。またマウスピースには金属を使用していないため、金属アレルギーが心配なお子さまも安心して矯正治療ができます。

ブラケット

歯に「ブラケット」という装置を付け、そこにワイヤーを通して固定し矯正していく装置です。ワイヤーを少しずつ動かしていくことで歯並びを矯正していきます。歯列矯正といってまず思い浮かぶのがこの装置ではないでしょうか。

ブラケットには、歯の表面(頬側)に装置をつける「バッカル・ブラケット」方式と歯の裏側(舌側)につける「リンガル・ブラケット」方式があります。その2つを組み合わせた「ハーフリンガル・ブラケット」方式もあります。ハーフリンガルは、目立ちやすい上顎側を裏側矯正し、下顎側は表側矯正にすることで費用を抑えて矯正することができます。

ブラケットやワイヤーは、金属だけでなく、セラミックやジルコニアでできた白や透明の審美性の高いブラケットもあります。

まとめ

歯並びによっては早めに矯正治療を開始することで、その後の矯正が楽に進む場合があります。

特に1期の矯正治療はご家族の協力が必要不可欠です。決められた装着時間を守れるように誘導してあげたり、メンテナンス不足で虫歯になってしまわないように注意して見守るなど、お子さんと一緒に治療を進めていきましょう。

お子さんの歯並びで心配なことがあれば、まだ早いかもと思わずに一度カウンセリングを受けてみることをおすすめします。