歯磨きしていても子供の歯はどうしてすぐ虫歯になるの? blog

2022.12.17

杉並区の歯医者さん、浜田山おとなこども歯科・矯正歯科です。
今回のテーマは「子どもの虫歯」についてです。

仕上げ磨きや定期検診を受けていても、すぐに子供が虫歯になってしまうとお悩みの親御さんも多いのではないでしょうか。
また、子供の歯が虫歯になっているかもしれないけど、生え変わる乳歯も治療する必要はあるの?といった疑問を抱く方もいらっしゃるかもしれません。

そこで今回は、子供の歯「乳歯」の虫歯についてお話します。

乳歯の虫歯の特徴とは

子供の歯は永久歯や大人に比べて虫歯になりやすいといわれています。その理由は乳歯の歯の質が関係しています。

乳歯は硬いエナメル質の層が薄く、すぐ下の象牙質の層は柔らかいため、一度虫歯になると進行が早いことが特徴です。乳歯は永久歯よりも神経が占める割合が多く、虫歯になるとすぐに痛みが生じてしまうので、虫歯になったというのがわかりやすいことも子供の虫歯の特徴といえます。

また、子供は大人と比べてまだ歯磨きがうまくできません。
とくに大人でも磨きにくいとされる奥歯や重なり合ってる歯は、汚れが溜まりやすく虫歯になりやすい場所です。
そのため、もしも子供が虫歯になった、もしくはその兆候を見つけた場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。
「乳歯はいずれ生え変わるから大丈夫だろう」と放置していると、あとになってから影響がでる可能性があります。

子供の虫歯を放置してはいけない理由

成長とともに乳歯から永久歯に生え変わっていきますが、だからといって虫歯を放置しておくことは危険です。
虫歯の治療をしないで放置しておくと、虫歯菌が増え続け、お口の中が菌だらけになります。
そのような口腔環境では、生えてくる永久歯が虫歯になりやすくなるのは当然ともいえます。

また、乳歯の虫歯が悪化して神経にまで及び、虫歯菌が歯の根の先端まで達すると、そこに膿が溜まることで、あとから生えてくる永久歯が黄色くなるなどの影響が出ます。

乳歯の虫歯を放置していると、歯を抜くことになったり、通常よりも早く抜け落ちてしまう場合があります。
そうすると、抜けた歯より奥にある歯が前に倒れてきたり手前に動いてきて、永久歯が生えてくるスペースが確保できず、変なところから生えて歯並びが乱れてしまう可能性があります。

ほかにも、虫歯があると子供は痛みを避けようと、あまり噛まずに飲み込んでしまったり、虫歯がないほうで噛んだりする癖が身についてしまいます。
それによって顎が順調に成長せず、歯並びや噛み合わせなどに影響が出る場合もあります。

また、大人でも虫歯治療は痛かったり音が怖いという理由で嫌な方が多いと思います。
子供のころに無理やり治療をして嫌な思いや痛い経験をしてしまうと、「歯医者=嫌な場所、苦手な場所」というイメージがついてしまい、成長してからもそのイメージが残ったまま離れず、虫歯になっても歯科医院に行けないといったことにもなりかねません。

怖い思いをして治療しないためには、子供のころから虫歯にならないお口の中にすることが大切です。

そもそも虫歯にならない人はいるの?

もともと生まれたての赤ちゃんのお口の中は無菌状態です。
虫歯菌がない状態なので、この状態で歯が生えてきても虫歯にはなりません。

口の中に虫歯菌が住み着いているかどうかは、2歳半〜3歳くらいで決まるといわれています。
3歳まで虫歯菌の感染を防ぐことができれば、大人になっても虫歯にならない、または非常になりにくいお口の中の環境になるということです。
ですので、今まで虫歯になったことがない、治療したことがないという方ももちろんいらっしゃいます。

しかし、多くの方が虫歯になってしまうのはなぜでしょうか。それは虫歯菌はほとんどが家族から感染しているからです。
家族の誰かが虫歯菌を持っていると、同じ箸やスプーンを使ったり、飲みものを回し飲みすることで、家族に感染させてしまうといわれています。

こういった行為は気を付けるに越したことはないですが、日々の生活で何気なくしている行動なので、あまり神経質になりすぎるのもよくないことです。

大切なのは、虫歯菌がお口にいても虫歯になりにくい口の中の環境、歯にすることです。

虫歯になりにくいお口の環境づくり

お口の中に虫歯菌がいたとしても、虫歯になりにくい環境であれば今後治療をする必要がなくなるかもしれません。
虫歯になりにくい環境づくりは「食生活」と大きく関わります。関係がある食生活は以下になります。

①食べものの内容

「甘いものを食べるから虫歯になる」と聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
正確にいうと、甘いものに含まれる「砂糖」を多く摂ると虫歯になりやすい、ということです。

砂糖は虫歯菌の大好物で、虫歯菌は砂糖などの糖分をエサにして酸を出し、歯を溶かしていきます。砂糖の摂取量が減ると虫歯菌がエサにするものが少なくなり、虫歯になるリスクも減ってきます。
砂糖が多く含まれているものを食べる回数を減らしたり、糖分が少ないものや代用甘味料が使われているものに変えていくのもいいでしょう。
ほかにも、歯を強くするためにカルシウムを多く含む食材を意識して食べるのも一つです。

特に気をつけたほうがいい食べものは、「歯にくっつきやすいもの」と「口の中に長く入れているもの」です。
キャラメルのような歯にくっつきやすいもの、飴など口の中に長く入れておくものは、砂糖が長く歯や口の中にあり続けることになります。
虫歯菌のエサがあり続ける=酸を出し続けることになるので注意してください。

②食事にかける時間

食事をだらだらと食べ続けるのも虫歯になりやすい習慣の一つです。

口の中は中性の濃度を保っていますが、なにかものが入ると酸性に傾きます。
酸性に傾くと歯の表面が溶け始めて虫歯になりやすい状態になりますが、唾液の成分によって徐々に中性に戻って再石灰化が行われます。
だらだらと食べ続けているとなかなか中性に戻らず酸性に傾いたまま、つまり虫歯になりやすい状態が続いてしまう、ということです。
また、テレビを見ながら、スマホをいじりながらなど「ながら食べ」もだらだら食べることに繋がりやすいので気をつけましょう。

③食事と食事の間隔

食事にかける時間と通じていますが、虫歯になりにくくするためには酸性から中性に戻る時間を確保することが大切です。
口寂しさにちょこちょこつまむ、おやつの回数が多い、というのは酸性に傾いてから中性に戻りきる前にまた酸性になってしまうので、虫歯になるリスクが高くなります。

④噛む回数

唾液の成分には酸性から中性に戻す作用があり、噛む回数が多いと唾液の量も増えます。
しかし、早食いや、柔らかい食べものばかりだと噛む回数が減ってしまい、唾液の量が少なくなります。
つまり、酸性から中性に戻す力も弱くなってしまいます。
食事の時は「よく噛む」「歯ごたえのあるものも食べる」ということも意識しましょう。

⑤虫歯になりやすい意外な落とし穴

食べものだけでなく意外な落とし穴として「飲みもの」があります。
甘いジュースはもちろん、スポーツドリンクも虫歯になりやすいといわれています。
なぜなら、どちらも砂糖が多く含まれているので、口に含むと虫歯菌が集まってきて酸を出します。

また、飲みものは水分補給としてこまめに摂取することが多いので、お口の中が頻繁に酸性に傾いてしまうからです。
とくにスポーツをしているお子様は、頻繁にスポーツドリンクを飲む機会があります。
運動している時は比較的唾液の量も減って口が乾燥しやすいため、虫歯菌にとって活発に動ける最高の環境になってしまいます。
スポーツドリンクを飲んだ後は水で口をゆすぐなど、砂糖をなるべく口の中に停滞させないようにしてください。

まとめ

虫歯は歯の質や食べもの、時間、唾液の成分、いろいろなものが重なってできるものです。
どれか一つを意識しても防げるものではありません。
お子様が虫歯でつらい思いをしないためにも、歯科医院へ定期的に行きながら、ご家庭でできる対策をしてみてはいかがでしょうか?