妊娠中は、なぜ普段以上に歯周病に注意しなければならないのでしょうか? blog

2021.01.08


杉並区の歯医者さん、浜田山おとなこども歯科・矯正歯科です。
今回のテーマは「歯周病のリスク」です。
女性は妊娠すると、出産までに歯科健診を受診して歯の健康状態をチェックします。

さて、妊娠中の女性が注意すべきとされているのが歯周病ですが、なぜそこまで注意が必要なのでしょうか。
それにはもちろん理由があり、そこで今回は妊娠と歯周病の関係性について解説していきます。
また、あわせて歯周病の症状についても触れていくので、この機会に歯周病の知識を深めておきましょう。

虫歯の痛みがさらに増す

妊娠中の女性が歯周病に注意しなければならない理由は2つあります。

・妊娠中は歯周病にかかりやすい
・妊娠中の歯周病にはリスクがある

ここで気になるのはリスクですが、そもそも歯周病は妊娠の有無関係なく発症すること自体にリスクがあり、
進行すれば健康な歯を失う事態になってしまいます。しかし、妊娠中に歯周病になるとさらなるリスクが生まれ、
それは「低体重児出産」「早産」のリスクが高まってしまうことです。
お腹の赤ちゃんを健康な状態で出産するには、歯周病は絶対に予防しなければなりません。

妊娠すると歯周病にかかりやすい理由

みなさんの中には、「男性より女性の方が歯周病にかかりやすい」と聞いたことのある人がいるかもしれませんが、
それは女性の妊娠中の歯周病へのかかりやすさが根拠となっています。
では、なぜ女性は妊娠すると歯周病にかかりやすくなるのか?…その理由として次の3つが挙げられます。

悪阻によって口の中が不衛生になる

悪阻が起こると嘔吐によって口の中が細菌で汚れますし、
歯磨きすることも辛くて不快になるため、普段のような時間をかけた精密な歯磨きができません。
そのため口の中が不衛生になりやすく、それだけ歯周病にかかりやすくなってしまうのです。

女性ホルモンが過剰に分泌する

女性は妊娠すると女性ホルモンの分泌が乱れ、過剰に分泌してしまうことがあります。
そして、この女性ホルモンを栄養源としているのが歯周病の原因菌であり、
過剰に分泌した女性ホルモンによって歯周病の原因菌は多大なエネルギーを得て、活発に働いてしまうのです。

食生活が変わる

妊娠すると食生活が変化して、好きな食べ物や嫌いな食べ物が変わることがありますし、
ある特定のものを無性に食べたくなることもあり、これらは全てお腹の赤ちゃんが影響しています。
この時、糖を含んだものが食べたくなると歯周病にかかりやすくなってしまうのです。

歯周病の症状

次に、実際に歯周病にかかってしまうとどのような症状が起こるのかについて覚えておきましょう。
歯周病が発症して真っ先に変化が起こるのは歯肉であり、
歯周病の発症によって歯肉が変色する・腫れる・張りがなくなるなどの症状が起こります。

さらに、歯周病が進行すると細菌が歯の骨に対して悪さをするようになり、歯槽骨を溶かしてしまいます。
この歯槽骨とは歯を支える役割を担った骨ですから、歯槽骨が溶かされるのは歯が支えを失うことに等しく、
支えを失った歯は不安定になってやがて抜け落ちてしまうのです。

<歯周病の可能性がある自覚症状>
・口臭がある
・朝起きると口の中がネバネバする
・歯肉が腫れている、もしくは変色している
・ささいな刺激によって歯肉から出血する
・歯肉の高さが下がっている、もしくは歯が伸びて見える
・知覚過敏が起こる
・歯が動く
・噛み合わせた時に痛む

歯周病にかかりやすい人

女性は妊娠すると歯周病にかかりやすくなりますが、歯周病にかかりやすいのは妊娠中の女性だけではありません。
次のことに当てはまる人は妊娠中の女性同様、歯周病にかかるリスクが高いので注意してください。

口呼吸をしている人

口呼吸によって乾燥した空気が口に取り込まれ、唾液が蒸発してしまうのが理由です。
細菌の自浄作用が不充分になりやすし、酸欠状態の口の中は歯周病の原因菌にとって最適な環境です。

歯並び・噛み合わせが悪い人

歯並びが悪いと歯磨きがしづらいため、磨き残しが増えて細菌が蓄積されやすくなります。
また、噛み合わせが悪いと歯肉に負担をかけてしまうため、歯肉に炎症が起こって歯肉炎が発症します。

疲れやストレスが溜まっている人

疲れやストレスの蓄積は身体の免疫力を低下させます。
これによって細菌に感染しやすく、つまり歯周病の原因菌にも感染しやすくなってしまいます。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、歯周病のリスクについてまとめます。

1. 妊娠中の女性が歯周病に注意しなければならない理由 :発症しやすい、早産や低体重児を出産しやすい
2. 妊娠すると歯周病にかかりやすい理由 :悪阻によって口の中が不衛生になりやすいなどの理由が挙げられる
3. 歯周病の症状 :歯肉が炎症を起こし、進行すると歯を支える骨が溶かされて歯が抜け落ちてしまう
4. 歯周病にかかりやすい人 :口呼吸をする人、歯並びや噛み合わせが悪い人、疲れやストレスが溜まっている人

これら4つのことから、歯周病のリスクについて分かります。
女性は妊娠すると歯周病にかかりやすい上、実際にかかると早産・低体重児出産のリスクが高まります。
そのため妊娠中の歯周病はしっかり予防する必要があり、
妊娠中は常に「歯周病にかかりやすい」と危機感を持ち、予防に努めるようにしてください。