虫歯はあるけど歯周病はありません。虫歯と歯周病は予防方法が違うのですか? blog

2018.02.10

杉並区の歯医者さん、浜田山おとなこども歯科・矯正歯科です。
今回のテーマは「虫歯と歯周病で一方だけ起こる理由」です。
虫歯か歯周病…どちらか一方の症状で悩む患者さんから、よくこんな質問をいただきます。

「虫歯と歯周病は同じ予防方法じゃないのですか?もし同じなら、なぜ一方だけ起こるのですか?」
確かに虫歯も歯周病も予防方法は同じですから、一方だけ起こるのを不思議に感じてしまうでしょう。
虫歯が予防できているなら歯周病も予防できているはず…そう思うのは自然ですからね。

ここではその理由、つまり虫歯と歯周病で一方だけ起こる理由について説明します。

原因となる細菌の違い

虫歯と歯周病の予防方法は同じですし、どちらも口腔内の病気で細菌に感染することで起こります。
しかし、症状を引き起こす細菌の種類は全くの別物です。
虫歯の場合は虫歯菌、歯周病は歯周病菌によって引き起こされるため、一方だけ起こることもあるのです。

これについてピンとこなければ、風邪とインフルエンザを例に挙げて考えると分かりやすいと思います。
風邪とインフルエンザでは、どちらも手洗いうがいが予防の基本になります。
しかし、風邪の菌とインフルエンザの菌は全くの別物です。

手洗いうがいによって風邪の菌を除去できれば、その人は風邪を予防できるでしょう。
しかしその時にインフルエンザの菌が残っていれば、その人はインフルエンザになってしまいます。
この場合、結果的に風邪は予防できてインフルエンザは予防できなかったことになります。

虫歯と歯周病もこれと同じです。
予防することで虫歯菌を除去できれば虫歯は予防できるでしょうが、
その時に歯周病菌が残ってしまっていたら歯周病にはなってしまうのです。

虫歯や歯周病になるリスクの違い

虫歯や歯周病になるリスクは、それぞれ同じというわけではありません。
人によっては虫歯になりやすい、もしくは歯周病になりやすい人がいます。
例えば、甘いものを頻繁に食べて糖の摂取が多い人は歯周病よりも虫歯になりやすいでしょう。

また、タバコを吸う人や糖尿病の人は歯周病になりやすいと言われていますし、
妊娠中の女性など女性ホルモンが過剰に分泌するタイミングでも歯周病になりやすくなります。
このように、生活習慣などによって虫歯や歯周病になりやすいリスクが異なるのです。

虫歯はないけど歯周病はある…そういう人は日頃からタバコを吸っていないでしょうか。
歯周病はないけど虫歯はある…そういう人は日頃から糖の摂取が頻繁ではないでしょうか。
こうした生活習慣次第では、一方は予防できるけどもう一方は予防できないことは珍しくありません。

人からうつされるケース

虫歯も歯周病も細菌による感染症で、その点では風邪に似た部分もあります。
そして、虫歯も歯周病も風邪同様に人から人にうつります。
最も、虫歯や歯周病の症状がそのままうつるわけではなく、正確には原因菌がうつる形になります。

ちなみにうつる経緯としては唾液を介すこと…つまりキスや食器の共用、回し飲みなどの行為です。
例えば家族で虫歯の人がいたとして、その人と歯ブラシが接触したとします。
この場合、虫歯の原因菌がうつってしまうことがあり、そうなると虫歯になるリスクが高まります。

虫歯も歯周病も徹底予防していたとしても家族の誰かが虫歯になっていれば、
依然として歯周病は予防できるものの虫歯になるリスクが高まるわけです。
このように、人からうつされることで虫歯か歯周病のどちらか一方だけ起こることもあります。

自覚症状の有無による違い

「虫歯はあるけど歯周病はない」と言う人がいたとして、
その根拠が歯科医院の診断によるものであれば何も言うことはありません。
しかし根拠が自覚症状の有無によるものなら、もしかすると歯周病にもなっているのかもしれません。

と言うのも、歯周病には虫歯の痛みのような分かりやすい自覚症状がないからです。
歯周病は「静かに進行する病気」とも表現されることがあり、実際になっていても気付かない人が多いのです。
その結果重症化するまで気付けず、気付いた時には歯を失ってしまうというケースが多いのです。

つまり、自覚症状の有無で「虫歯はあるけど歯周病はない」と判断するのは軽率です。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、虫歯と歯周病で一方だけ起こる理由についてまとめます。

1. 原因となる細菌の違い :虫歯の原因菌と歯周病の原因菌は全くの別物
2. 虫歯や歯周病になるリスクの違い :例えば甘いものを食べる人は虫歯になりやすい
3. 人からうつされるケース :唾液を介すことで、虫歯や歯周病が人にうつされることもある
4. 自覚症状の有無による違い :自覚症状の有無で歯周病を判断するのは難しい

これら4つのことから、虫歯と歯周病で一方だけ起こる理由について分かります。
虫歯と歯周病は同じ予防方法ながらも、どちらか一方だけ起こることがあります。
それは発症の原因となる細菌が異なるからで、さらにそれぞれの病気が起こるリスクの違いも関係してきます。

また、「虫歯だけ起こる」と言う人は何を根拠にそう自覚しているのかも問題です。
仮に単に自覚症状の有無だけでそう考えているのであれば、
実は虫歯だけでなく歯周病にもなっている可能性があります。