虫歯になると歯が痛みますが、どういう理由で痛みが起こるのですか? blog

2019.01.25

杉並区の歯医者さん、浜田山おとなこども歯科・矯正歯科です。今回のテーマは「虫歯で歯が痛む理由」です。虫歯になると歯が痛みますが、そもそもなぜ歯が痛むのでしょうか。

実際、「虫歯=歯が痛む」とは限らず、痛みが全くないのに虫歯と診断されることもあります。虫歯なのに歯が痛くなったり痛くなかったり…その不規則さに戸惑う人もいるでしょうが、このような状態が起こるのには理由があり、それを知れば虫歯で歯が痛む理由も分かるようになります。

歯の構造

虫歯で歯が痛む理由を知るには、まず歯の構造を知っておかなければなりません。歯の表面にはエナメル質、その奥には象牙質、さらにその奥には神経があり、これが歯の簡単な構造です。中心となるのは象牙質ですが、実はこの象牙質は神経が近いため刺激に対して非常に敏感です。

例えば普段食事で熱いものや冷たいものを飲食する機会がありますが、熱さや冷たさの温度でさえ象牙質には刺激となり、それを感じることで歯はしみたり痛んだりします。そうならないのは象牙質がエナメル質に保護されているからで、その仕組みが虫歯の痛みと関係します。

虫歯で歯が痛む理由

虫歯になると歯に穴があき、治療しない限り虫歯はどんどん進行していきます。そして、虫歯の進行に比例して穴もどんどん深くなり、やがて象牙質まで到達します。そうなると象牙質が直接刺激を感じるようになり、少しの刺激で歯が痛むようになります。

これは知覚過敏と呼ばれる症状ですが、虫歯である以上、次第に何もしなくても痛むようになります。さらに虫歯が進行すると、今度は虫歯菌が神経に感染して炎症を起こさせます。感覚を伝える神経が炎症を起こすことで痛みは激痛となり、ズキズキと激しい痛みを感じるようになります。

虫歯で歯が痛まないケース

虫歯で歯が痛むのは、虫歯が象牙質や神経まで進行したためです。一方で虫歯になっても歯が痛まないこともあり、それは次のケースの虫歯が挙げられます。

発症したての虫歯

いわゆる初期段階の虫歯です。初期段階では歯の表面だけが虫歯菌に感染した状態であり、歯の表面には刺激から象牙質を保護するエナメル質があるため、虫歯の痛みを感じることもありません。

神経が死んだ虫歯

虫歯はどんどん歯の奥…象牙質、神経と進行していきます。そして虫歯が神経まで進行するとやがて神経は死に、そうなると感覚を失って痛みを感じなくなります。

神経を失った歯の二次虫歯

虫歯治療をした歯が再度虫歯になることを二次虫歯と呼びます。虫歯治療をした時に神経を除去していると、その歯が二次虫歯になった時に痛みを感じなくなります。

…このようなケースの虫歯では痛みを感じません。ですから、例え歯が痛くないとしても虫歯になっている可能性があるということです。

虫歯の痛みが変化する理由

虫歯の痛みは一定ではなく、軽い痛みが徐々に酷くなり、やがて激痛を感じるようになります。このように虫歯の痛みが変化する理由は、上記でも少し触れたことが関係しています。虫歯が象牙質まで進行すると歯に痛みを感じますが、治療しないと今度は神経まで進行します。

神経は感覚を伝える器官ですから最も敏感であり、その神経が炎症を起こすことで激痛を感じます。さて、その後は一変して痛みを感じなくなりますが、それは神経が死んでしまうのが原因です。神経を失えば感覚を失うため、当然痛みの感覚も失われて歯の痛みを感じなくなるのです。

<神経を失うことで起こる問題>
神経が死ぬことで虫歯の痛みを感じなくなるため、それをプラスと考える人もいます。しかし神経が死ぬ…つまり神経を失うことには多くのデメリットがあります。

・歯に栄養が届かなくなるため歯が脆くなる
・歯に栄養が届かなくなるため歯が変色する
・虫歯の進行を食い止める防御機能が働かなくなる
・痛みの感覚を失うことで、今度歯に異常が起こった時に気づきにくくなる

…虫歯治療で神経を抜くことがありますが、それはそうしなければならないほど虫歯が進行しているためで、本来神経を失うことには何もメリットはないのです。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、虫歯で歯が痛む理由についてまとめます。

1. 歯の構造 :歯の表面にエナメル質があり、その奥に象牙質、さらに奥に神経がある
2. 虫歯で歯が痛む理由 :虫歯が象牙質まで進行すると、象牙質は刺激に敏感なため痛みを感じる
3. 虫歯で歯が痛まないケース :発症したての虫歯、神経が死んだ虫歯、神経を失った歯の二次虫歯
4. 虫歯の痛みが変化する理由 :神経まで進行すると神経は感覚を伝える器官のため、激しい痛みを感じる

これら4つのことから、虫歯で歯が痛む理由について分かります。今回の説明で最も知っておいてほしいのは、「虫歯で歯が痛むのは、虫歯が象牙質まで進行したため」という点です。

つまり虫歯で歯が痛んだ時には、その虫歯は既に進行していることになり、歯が痛くなってから治療を受けるのはタイミングとしては遅いのです。痛みを感じないほど初期の虫歯なら治療も簡単で、歯を削らずに治せることもあります。