「妊娠すると歯が弱くなる」は事実ですか? blog

2020.05.20

杉並区の歯医者さん、浜田山おとなこども歯科・矯正歯科です。
今回のテーマは「妊娠と口腔内の健康状態」です。
近年ではインターネットで様々な情報収集が可能になりました。

しかし、間違った情報には注意する必要があり、
例えば「妊娠するとお腹の子供に歯のカルシウムを取られる」は間違いです。
ただ、妊娠すると歯が弱くなるのは事実で、妊娠中は虫歯や歯周病にかかるリスクが高まります。

妊娠すると虫歯になりやすい理由

妊娠すると虫歯になりやすいのは、お腹の子供が原因ではなく、次のことが理由になります。

理由1. 歯磨きの精度低下

妊娠すると悪阻(つわり)が起こりますが、それが歯磨きの妨げになる女性もいます。
女性によっては歯磨き粉の香りで気分が悪くなるケースがありますし、
奥歯を磨く時に吐き気を感じてしまうケースなど、歯磨きがしづらくなって磨き残しが増えます。

理由2. 唾液の変化

妊娠すると唾液の量が減り、ネバネバするようになって細菌が流れにくくなります。
そうなると虫歯の原因菌が口の中で停滞しますし、
唾液の量が減ることで歯の再石灰化も不充分になり、脱灰が進んで虫歯になりやすいのです。

理由3. 間食の頻度の増加

妊娠すると食事が摂りづらくなり、これは子宮が大きくなって胃が圧迫されるためです。
ただそれでもお腹は減るため、どうしても間食する機会が多くなるでしょう。
頻度の高い間食によって歯の再石灰化が追いつかなくなり、虫歯になりやすくなります。

妊娠中の虫歯を予防するには

妊娠中の虫歯予防として、次のことを実践すると良いでしょう。

方法1. 歯磨きの仕方を工夫する

悪阻で歯磨きが辛い時でも、歯磨きしなければ虫歯になってしまいます。
そこで、歯磨きの仕方を工夫して苦痛のない歯磨きの仕方を覚えましょう。
例えば、奥まで歯ブラシを入れない、歯磨き粉を使わずに磨くなども一つの工夫ですね。

方法2. マウスウォッシュを使う

本来、歯磨きは歯ブラシとデンタルフロスの使用をおすすめしますが、
妊娠中で歯磨きが辛い時にはマウスウォッシュを使って口の中を綺麗にするのも良いですね。
その場合、虫歯予防を考えてフッ素が配合されているタイプのものが良いでしょう。

方法3. 糖の摂取を控える

妊娠中は間食の機会が増えますし、食べたいと思うものが限定されるでしょう。
ただ、できるだけ糖の摂取を控えることを意識して、甘いものを多く食べないようにしてください。
糖の摂取は虫歯の原因菌に力を与え、より多くの酸を出すようにさせてしまいます。

歯周病への注意

妊娠中は歯周病にも注意する必要があり、その理由は次のとおりです。

理由1. 妊娠中は歯周病になりやすい

妊娠中は歯周病になりやすく、なぜなら上記で説明したとおり口腔内の充分なケアができないためです。
また、妊娠することで女性ホルモンの分泌が過剰になるケースもありますが、
歯周病の原因菌は女性ホルモンをエネルギーとしているため、働きが活発化するのです。

理由2. 早産や低体重児を出産しやすくなる

妊娠中に歯周病になると、その影響で早産や低体重児を出産するリスクが高くなります。
そのリスクの向上もわずかな数値ではなく、5倍ほどまで高まってしまいます。
健康な赤ちゃんを出産するためには、歯周病の予防は欠かせないのです。

理由3.  妊娠性エプーリスの発生

妊娠中すると、口腔内の異常として起こることがあるのが妊娠性エプーリスです。
これは歯肉にできる良性の腫瘍であり、妊娠性のものであれば出産後の自然に治ることもあるでしょう。
ただ、場合によって悪化して歯周病に発展してしまうこともあります。

歯科検診のすすめ

ここまでの説明で分かるとおり、女性は妊娠すると口腔内に多くの変化が起こります。
とは言え、その変化に自分で気づくのは難しく、そのため歯科検診を受けましょう。
歯科検診は妊娠中でなくても受診をすすめますが、妊娠中の場合は尚更です。

ただ、妊娠中だと検診の時間が辛く思うことがありますし、体調も充分ではないと思います。
そのため、検診を受ける際には自分が妊娠中であることを医師に伝えるべきですし、
費用についても自治体によっては助成のシステムが整っているところもあります。

まとめ

最後に、妊娠と口腔内の健康状態についてまとめます。

  1. 妊娠すると虫歯になりやすい理由 :歯磨きの精度低下、唾液の変化、間食の頻度の増加
  2. 妊娠中の虫歯を予防するには :歯磨きの仕方を工夫する、マウスウォッシュを使う、糖の摂取を控える
  3. 歯周病への注意 :妊娠中は歯周病になりやすく、歯周病が早産や低体重児出産のリスクを高める
  4. 妊娠性エプーリスの発生 :「妊娠性」であれば自然に治ることがあるが、歯周病に発展することもある

これら4つのことから、妊娠と口腔内の健康状態について分かります。
このように妊娠中は虫歯や歯周病になりやすく、またそのためのケアも不充分になりがちです。
そのため普段以上に虫歯や歯周病に注意する必要があり、必ず検診を受けるようにしてください。