インプラントができない人はいますか? blog

2016.06.02

インプラントは虫歯や歯周病の治療と違い、手術を伴う大掛かりな治療です。
このため、患者さんの状態によってはインプラントできないこともあるのです。
逆に、何らかの持病を持っていたとしても、症状が軽ければインプラントすることは可能です。
ここでは、インプラントできない可能性があるケースを挙げ、その理由も合わせて説明していきます。

1. 腎疾患がある

腎疾患の患者さんは免疫力が低下しやすく、その影響で傷が回復しにくい傾向があります。
インプラント治療では二度の手術を行いますし、その際には出血もあるので注意が必要です。
特に、重度の腎疾患で血液透析を受けている患者さんは骨も脆いので、インプラント治療はまず不可能です。

血液透析をしていることで細菌が臓器に回ってしまう可能性もありますし、
これらの点から考えると、インプラント治療するのはおススメできません。
軽い腎疾患ならともかく、血液透析を受けるほど重度の腎疾患の患者さんだと、手術も危険だからです。

2. 18歳以下である

これは、安全性というよりはインプラント治療の成功率に関係してきます。
この年齢の患者さんは顎の骨が成長段階にありますし、この先の成長は予測できません。
そして、インプラントは長期間の治療になるため、治療の途中も顎の骨が成長を続けます。

このため、治療が終わった時、顎の骨の成長の仕方によってはインプラントに不具合を生じさせます。
歯科医が顎の骨の成長を計算できない以上、このように治療が失敗してしまうリスクがあり、
それが理由でインプラント治療できないケースがあるのです。
ちなみに、18歳というのは目安なので、これを20歳未満と設定している歯科医院もあります。

3. 糖尿病を持っている

糖尿病の患者さんも、インプラント治療できないことがあります。
まず、糖尿病は身体の抵抗力や免疫力を低下させるため、従来よりも歯周病へのリスクが高くなります。
歯周病はインプラントにとって天敵であり、進行するとインプラントが抜け落ちる要因にもなるのです。

また、抵抗力が弱いために傷も癒えにくく、これが手術による傷の回復を遅らせます。
ただし、糖尿病だからといって必ずしもインプラント治療できないわけではなく、
血糖値のコントロールができる場合は、インプラント治療することが充分可能です。

4. 体力的に問題がある

これは、高齢の患者さんにありがちな問題です。
インプラントは長期間の治療になりますし、手術を伴い、大掛かりなものになります。
このため、体力的に困難と判断される患者さんは、インプラント治療を受けることができません。
特に、インプラント治療できる歯科医院は少ないですし、患者さんによっては遠方から通院します。

また、治療後もメンテナンスの通院が必要なので、虫歯治療のような手軽さはないのです。
インプラント治療に年齢制限はないものの、若い患者さんや高齢の患者さんは治療できないことがあります。
若い患者さんがインプラント治療できない可能性がある理由は、上記で説明したとおりです。
一方、高齢の患者さんがインプラント治療できない可能性がある理由は、体力的な問題が関わっています。

5. 噛み合わせが悪い

噛み合わせが悪いと、インプラントに必要以上の力が掛かってしまうため、
インプラント自体の寿命を縮め、グラつきや抜け落ちてしまう要因にもなります。
このため、あまりに噛み合わせが悪い患者さんは、インプラント治療できないことがあります。

最も、この場合は噛み合わせの悪さを改善せれば問題が解消するため、
多くの患者さんは矯正治療などを行い、噛み合わせを改善した後に治療を希望します。
噛み合わせの悪さは身体に悪影響を及ぼすため、
仮にインプラント治療に興味がない場合も、治療して改善することをおススメします。

6. 骨粗しょう症で骨密度が少ない

インプラントは、手術によって人工の歯の根を顎の骨に埋め込みます。
このため、骨密度が少なかったり、骨が脆い患者さんは、インプラント治療できないことがあるのです。
つまり、インプラントを埋め込めるだけの骨が足りない状態のケースです。

その意味では、歯周病によって骨が多く溶けてしまっている患者さんも、
同じようにインプラント治療できないことがあります。
ただしこれらの場合、骨移植などの治療を行うことで対処できることもあります。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、インプラントできない人についてまとめます。

  1. 腎疾患がある :血液透析を受けていると、骨が脆くなっていて安全性に関わる
  2. 18歳以下である :18歳というのは目安。顎の骨が成長しきっていないと難しい
  3. 糖尿病を持っている :血糖値のコントロールをできるかどうかが判断基準になる
  4. 体力的に問題がある :長期間の通院や手術に耐えうる体力がないと、インプラント治療は難しい
  5. 噛み合わせが悪い :インプラントの寿命を縮めたり、抜け落ちてしまうリスクが発生する
  6. 骨粗しょう症で骨密度が少ない :インプラントを埋め込めるだけの骨の量が不足している場合

これら6つのことから、インプラントできない人について分かります。
重要なのは、今回挙げた症状や特徴を持った患者さんでも、治療を受けられることがあるということです。
あくまでも“できない可能性がある”というだけで、“絶対にできない”というわけではありません。
このため、これらの症状を持った人でも、まずは歯科医に相談してみてください。