インプラント治療は骨の量が少なくても大丈夫ですか? blog

2016.07.26

インプラント治療では、インプラント(人工の歯の根)を顎の骨に埋め込むことで安定させています。
このため、顎の骨の状態が治療の成功率に大きく関わってくるのです。
ここで問題になってくるのは、顎の骨の量が少ない患者さんです。
ここでは、顎の骨の量が少なくてもインプラント治療できるのかについて説明していきます。

1. 顎の骨が少ないとインプラントできない

結論から言ってしまえば、顎の骨の量が不足している患者さんはインプラントできません。
実際に、それが理由でインプラントできなかったという声も聞きますが、
中にはそれでもインプラントできたという声もあります。

こうした違いが生じる理由の一つとして、骨の量を増やす治療を行ったどうかの違いがあります。
顎の骨が少ないとインプラントできないのは事実ですが、
そのための対策として、全く別の治療で骨を増やすことも可能なのです。

2. 骨移植

骨の移植手術を行い、顎の骨をインプラントできるだけの充分な量に増やせる方法です。
実際に骨の量がどれくらい不足しているかによって、治療方法は大きく変わります。
大きく不足している場合、骨移植で先に骨の量を確保しておき、一定期間経過後にインプラントを行います。

また、移植する骨の量がわずかな場合は、インプラント治療と同時に骨移植を行うこともあります。
こうした方法を使えば、顎の骨の量が少なくてもインプラント治療が可能です。
ちなみに、骨移植ができるかどうかの判断は歯科医師が行います。

3. 骨移植のメリットとデメリット

メリットは言うまでもなく、インプラント治療が受けられるようになることです。
また、骨移植をしたからと言って治療の成功率に影響するわけではないので、
充分な骨の量がある患者さんと全く同じ感覚で治療できます。

一方、デメリットも存在します。これは、骨移植という想定外の治療を行うことになるため、
それが治療期間や費用に影響するという点です。
また、骨移植では手術を必要とするため、患者さんの身体への負担も大きくなります。

4. その他の方法

顎の骨を増やす方法は骨移植だけではなく、骨再生といった方法も存在します。
骨再生の仕組みを簡単に説明すると、骨が失われた部分に補填材を移植して骨の再生を促します。
上記の骨移植も含め、部位や状態によって様々な対処方法が存在するのです。

とは言え、どの方法で骨の量を確保するかは歯科医師の判断ですし、
実際にこうした治療を施すかどうかも歯科医師が決めることです。
このため、「ある歯科医院では断られたけど、別の歯科医院ではインプラントが可能と言われた」、
なんて状況になることもあり得ます。

5. インプラントできない条件

今回のテーマになっているように、顎の骨の量が少ないとインプラントすることはできません。
ただし、顎の骨の量が充分だからといって、絶対にインプラントできるというわけでもないのです。
と言うのも、インプラント治療可否の判断基準は骨の量だけではないからです。

確かに顎の骨の量だけの問題なら、ここで説明した骨移植などで対処は可能です。
しかし、重度の肝疾患や重い心臓病を患っている患者さんは、骨の量とは無関係に治療不可能です。
このため、骨の量が充分なら確実にインプラントできるというわけでもないのです。

6. いろいろな歯科医院で相談すべき

「骨の量が足りないからインプラントできない」、そう断られてしまった時は、
別の歯科医院で相談してみるといいでしょう。
もしかすると、別の歯科医院では骨移植などを提案され、治療可能と判断される可能性もあります。

もちろん、骨移植の詳細を聞いて患者さん自身が断ることもできますし、まずは相談することが大切です。
また、こうした相談は無料で行えるケースが多いですし、メールで相談できる歯科医院もあります。
一方的に諦めず、いろいろな歯科医院で相談すれば解決策も見つかるでしょう。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、インプラント治療は骨の量が少なくても大丈夫かについてまとめます。

  1. 顎の骨が少ないとインプラントできない :顎の骨の量が少ないと治療できない。ただし解決策はある
  2. 骨移植 :骨の量が足りない時の手段の一つ。不足している量によって方法は異なる
  3. 骨移植のメリットとデメリット :インプラントできるようになるが、その分費用や治療期間に影響する
  4. その他の方法 :骨再生など、骨移植以外の対策もいくつかある
  5. インプラントできない条件 :骨の量が充分だからといってインプラントできるとは限らない
  6. いろいろな歯科医院で相談すべき :骨移植を行うかの判断は歯科医が行うため、まずは相談するべき

これら6つのことから、インプラント治療は骨の量が少なくても大丈夫かが分かります。
骨の量が少ないとインプラント治療はできないものの、そのための解決策は充実しています。
このため、仮にインプラント治療できないと判断された患者さんでも、
別の信頼できる歯科医院で相談することで骨移植などを提案され、治療可能と判断されることもあるのです。