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痛くもないのに、歯医者さんで「虫歯がある」と言われました。治療の必要はあるのですか? blog

2016.08.23

大抵の人は歯が痛んだ時、その理由を虫歯だと考えます。
言い方を変えれば、痛みさえなければ歯は健康だということにもなります。
しかしそれは大きな間違いで、虫歯だからと言って必ずしも痛みを感じるとは限らないのです。
ここでは、そんな痛みのない虫歯のパターンと治療の必要性を説明していきます。

1. 初期段階の虫歯

そもそも、痛いという自覚症状がある虫歯はある程度進行してしまった状態です。
初期段階の虫歯は痛みがないですし、見た目も健康な歯とほとんど変わらないのです。
具体的には虫歯は5段階で、それぞれC0、C1、C2、C3、C4と表されます。
数字が高いほど進行した状態になるため、初期段階と言えるのはC0やC1あたりになります。

これらの段階では痛みはなく、特にC0に至っては厳密には虫歯になりかけの状態です。
C1に関しても冷たいものがしみる程度で痛みはなく、やはり虫歯であることに気付きにくいのです。
このように、C0やC1の段階の虫歯では痛みを感じないものの、歯科医で検査すれば発見できます。
つまり、痛くないのに虫歯と診断された場合、こうした初期段階の可能性が挙げられます。

2. 末期段階の虫歯

虫歯なのに痛くないと言うと、初期段階の虫歯であることが真っ先に考えられます。
そしてもう一つの可能性として、逆に末期状態の虫歯である可能性です。
と言うのも、末期の状態では神経も死んでしまっているため、その影響で痛みを感じないのです。
最も、この場合は患者さんにも心当たりがあるはずです。

神経が死ぬ以前は相当な痛みを感じていたでしょうし、何よりここまでくると歯の見た目でも分かります。
穴が空くどころか、歯そのものがほとんど失われているからです。
痛みがないとは言え、それは神経が死んだためで虫歯菌が死んだわけではありません。
簡単な治療では済まないでしょうが、それでも治療しなければ脳梗塞や心筋梗塞のリスクまで生じます。

3. 初期段階の治療は簡単

虫歯の治療と言えば、何度も歯医者に通って歯を削るイメージしかないと思います。
しかし、初期段階の虫歯であればそこまで嫌な治療にはなりません。
例えば、C0の段階ならフッ素で虫歯菌を撃退し、削らずに治療できることもあるのです。

また、削ったとしても範囲はわずかですし、歯の奥の象牙質まで削らずに済むため治療に痛みはありません。
もちろん治療が簡単になる分、治療も短期間で終えられるのです。
せっかく早期発見と早期治療が実現しているわけですから、歯科医の治療の勧めに悩む意味はありません。

4. 定期検診の勧め

今回のテーマでは、痛くないのに虫歯と診断された時の悩みについて回答していますが、
むしろそうやって早く虫歯に気付きたいと思う人もいるでしょう。
そこでお勧めとなるのが、歯医者で定期検診を受けることです。
歯医者の存在意味は治療のためではなく、予防の意味も持っているのです。

できれば毎月、そうでなくても三ヶ月に一度の定期検診を受けておけば、
今回テーマにしたような痛くない状態の虫歯、いわゆる初期段階の虫歯を見つけることもできるのです。
逆に言えば、早期発見や早期治療を望むなら、歯医者での定期検診は欠かせないのです。

5. 歯周病についても考える

せっかくなので、この機に歯周病についても少し考えてみましょう。
と言うのも、歯周病も初期の虫歯と同じように自覚症状がないからです。
さらに歯周病の場合は、相当進行するまで自覚症状がない点が厄介です。

だからこそ誰もが気付きにくく、いざ気付いた時には歯を残せない状態まで進行しているのです。
そして、自覚症状のない歯周病を見つけるためには、やはり歯医者の定期検診が欠かせないのです。
少なくとも、「歯が痛くない=歯が健康」という間違った認識は捨てなければなりません。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、痛くもないのに歯医者さんに「虫歯がある」と言われるケースについてまとめます。

  1. 初期段階の虫歯 :C0やC1の初期段階の虫歯には自覚症状がなく、痛みも感じない
  2. 末期段階の虫歯 :神経が死ぬと痛みを感じなくなるが、この場合は患者さんも虫歯だと自覚している
  3. 初期段階の治療は簡単 :初期段階なら削らずに治療できることもあり、痛むほど削ることもない
  4. 定期検診の勧め :こうした初期段階の虫歯に気付くには、歯医者で定期検診を受けるしかない
  5. 歯周病についても考える :歯周病も自覚症状がないため、やはり早期発見には定期検診が欠かせない

これら5つのことから、痛くもないのに歯医者さんに「虫歯がある」と言われるケースについて分かります。
こうしたケースで治療に戸惑ってしまうのは、「歯が痛くないのは健康の証」と思っているからです。
そして、今回説明したことをきっかけに、そういった間違った認識は捨ててしまってください。

虫歯の進行状況、それはガンと同じです。自覚症状があった時には進行してしまっており、
初期段階で気づくことが大切だからこそ、健康診断というものがあるのです。
歯科の世界でもそれは同じで、やはり早期発見が大切だからこそ、歯医者でも定期検診を受けられるのです。

そして、言うまでもなく痛くないのに虫歯と診断された場合は、
早期発見と早期治療ができると考え、迷わずに治療する選択をしてください。